見出し画像

「推しの子」まだ全部読んでないけど…素直に♡面白いっ!

遅まきながら「推しの子」についての考察を。

ネタバレなし、ってかまだ11巻までしか読んでません(笑)

ところで何でこれだけ話題になった作品なのにネットでの評判が最悪なんだろうね? バッドエンドっぽいんだけどそれが不評の原因? 面白いのは歌のオープニングだけだ、とかアニメ一期以降つまらんとか、なかなか辛辣な意見も…

しかし私の感想としては、さすが話題作、面白っ!です。

ただ、私は現役で演劇に携わっていますし、芸能界にも隅っこ に細々と居たこともありますので一般の方と見方が違い、 まずは一番にこの原作者さん、業界のことを良く知ってるなぁ、と感心しました。
書いてある内容は大方合ってるし、取材したのならすごいリサーチ力 だと思うし、或いは演劇とかその世界に劇作家として居た 方ではないかな?と推察します。

演劇あるあるの数々のトラブル、主張が強い役者連中(特に女優は ホント負けず嫌いが多いし実際ケンカしたw)、プロデューサーの苦悩、ホントそのまんま の世界です。

2.5次元とか全く興味ないからその世界は詳しくないけど…セットチェンジ などの間、暗転が多いと集中力が途切れて物語に没入できない、 という苦情は私んとこも実際よく頂いている(笑)

少し大きな企画になるとプロデューサーにお願いすることになるが 私んとこみたいな小さな劇団でも、もう少し恋愛要素多くして演者が 引き立つように…とか劇作に台本の変更を依頼され、それで作家との 調整が生じたり…いや大変です。

原作を台本起こしするライターって仕事?正直この漫画読むまでバカにしてた。
ただ単に漫画全巻読んで編集すりゃいい、ってわけじゃないんだね。
恐れ入りました。 演劇だと(映像でもだけど)説明ゼリフってのがどうしてもあって、それを如何に少なく するかってのは大変。
セリフなく表情、動きだけで表現出来れば確かにベストなんだけどねー

なんか橋本忍さんのことを思い出したわ。

有名な脚本家、てかライターとしては凄く優秀。
砂の器」なんて原作そのままやったら駄作で終わっていたそう。
凄い編集力で あんな名作に仕上がったってのは有名な話。
それは主人公がどんなつらい幼少期であったかの再現のシーン。 一切セリフなし。
抒情的な音楽のみで映像を流し、その音楽が現在の主人公の演奏しているピアノに リンクする、という大技でより作家の伝えたい思いをお客さんの心にストレートにムダ無く流し込んだ。

しかし本人が脚本原作やると「幻の湖」というトンデモ脚本が出来上がっちゃう。
原作起こしのライターって特殊技能なんだろうな。

劇団の長として、いいキャスティング、お客さん呼べる役者に出演して貰いたい ので人脈広げたいんだけど、私んとこは2.5次元とかじゃなくホントに真面目に 人の人生、命についてのテーマで普通の演劇を公演をしてるんで、知り合ったプロダクション の社長とかに活動内容聞かれて話すと
「あぁ、お金にならない演劇ね」 って剣もほろろで、バカにされるし相手にされない。
(うちはお客さん引っ張れるし、B級グラドルなんて演技力ない人を多少でも力をつけて あげられるのでホントはWINWINの関係になれるんですけどねぇ…)

赤字にだけはならないように運営してるんだけど、やっぱ漫画原作 とか、わかりやすくて知名度がある団体でないとタレントを出して くれないんですよね。
(でもまぁ2.5に出てる役者についてるお客さんはちょっと考えさせる 内容の演劇なんて見たくもないだろうしなぁ。疑似恋愛したいだけだろうし、 極端ストーリーなんてどうでも良くって縁者さえ拝めりゃ何だっていいんだろうね…)

漫画は門外漢で知らない世界ですが、それこそ原作者がいらっしゃる世界 なんで、あんな世間知らずというかコミュ障の作家さんが実在でいらっしゃるんで しょうねぇ。或いは自伝?

みんなそれぞれのジャンル・ポジションでベストのものをお客さまに提供 したい、という想いで仕事してるんだけど、それぞれの正義が衝突して 問題が生まれる。 別に芸能界に限ったことではないんですけど、世の中・社会って難しい ですよねぇ…

キャラで共感できたのは有馬かな。
私は子役の経験ないですけど、演劇に対する考えかた、受けの演技という戦法 が一緒で、ある種安心したというか、自分と同じ考えの人がいるんだ、って 思った。(実在の人物じゃないけどね)

若いころ、打ち上げの酒も入った席で後輩の女のコに「Xさんは器用で何でも そつなくこなしちゃうけど、主役はできない。野球でいうと器用な一、二番を 打つタイプ」とホンネを言われ、そんなこと言われなくてもわかってるよ、っていう苦い 記憶が蘇った。
それでもいい、作品が評価され主役が光るように立ち回るのが私の役目、って 芝居をしていた。しいては作品が評価されることに繋がるのでそれでいい、って。
自分ごとでない有馬かなの立ち回りが、なんかすごく健気っていうか愛おしく思ってしまった。

逆に自分だけ見ろ、自分だけカッコよく(かわいく)見られりゃストーリーなんか何だって いい、なんていうクソ役者も本当にいる。自分のためだけに芝居してる奴。
映画「カメラを止めるな」でも描かれてたけど、若手の人気俳優で大した実力もないのに 自分のことだけ考えて自分の好きなように芝居する奴、んでそういう輩に限って脚本に あーだこーだ言って煩い(笑)

現在は団体代表の立場なので漫画のプロデューサー役が、終演後のロビーでお客様の満足そうな 顔を見るのが幸せ、ってのも、ものすごく共感できた! ホントにそう。金じゃない。それが見たくてやっているようなもんです。

でも正直そんな志で公演打っている団体が全体のどのくらいなんだろうか?

知り合いの舞台なんか、演劇界では一応有名な役者が率いてる団体なんだけど、内容が酷くておまけに 上演時間2時間越え。拷問でしかない。

毎回終演後は蜘蛛の子を散らすようにお客さんが皆さっさと帰っていく(笑)
(そして「酷かったな」「寝ちまった」という小声の悪口を言いながら…)

人気者、ホンモノのスターの目に星があるのってすごく共感できる表現。
あんな目が大きいのはマンガの誇張だけど目の中に星ってのは本当にある人がいて。 TV越しとか、コンサートの客席からじゃわからないよ。
そんなに業界の仕事を多くやってないからたった二人だけど一般のその辺の街を歩いて いるだけじゃ見かけることはない、目に星がある人を見たことがある。

一人目は中谷美紀さん。
もうだいぶ前だけど「ケイゾク」の撮影で。特に初めての目に星の人だったんで ビックリした。世の中にこんな方がいるんだ、ってちょっと感動した。
そりゃオーディション受けりゃ誰だって選ぶわ。

二人目は意外だけど、痩せていた頃の鳥肌実閣下。
目が異様にギラギラ不気味に光っていて、でもあれは確かに目の中の星の輝きだった。
ただこの方は数年後、左翼デモのカウンターで演説している時に間近で遭遇したが、 輝きを失っていた(笑) 目の輝きって失われるんだ、って思った。

私は今は芸能界のド真ん中に出入りするような生活を送っていないから わかんないけど、今売れている人はどうなんだろうね?
目の造り、構造なんかじゃない、魂から輝きを放っているかんじ。不思議。

ストーリーについて。
バッドエンドとのことだけどそれは作者が描きたいものなんで尊重するしかないんじゃないかな?

ただ、殺人事件の犯人捜しという主軸の話がなけりゃ、単なる業界もの、だったり 単なるラブコメだったりするから飽きずに読める、引き込まれるってのはあって、すばらしい 構成だなって思った。

漫画家先生に付く出版社の担当者の仕事が、人気の出た作品を終わらせないこと、ってのは 笑った。有名なのが〇山明先生の「もうちっとだけ続くんじゃ」だね。
何と作者の意図を無視して勝手に続くことを決めちゃうっていう…いや、すごい世界だね。

わかんないけど、今回のオチとかは出版社が絡んだがために決まった結論とかじゃない?とも思ったり…

ただ、ストーリーからするとタイトルは「推しの子」でベストなんだろうけど、なんかしょーもない 内容と勘違いされるからそこだけどうかな、って思った。
実際どうせポプテでバカにされていた「星色ガールドロップ」みたいなのなんだろう、って最初見向きもしなかった けど偶然アニメをTVで見たら何コレ?ってなって、原作を読むに至りました(笑)

うちもだけど作家はやっぱ衝撃的な結末を用意し、読者・お客様を驚かせたい、って思ってて、うまくいけば感動を生むし 名作って呼ばれるんだけど、とってもリスキー。 「あなたの番です」がいい例だったと思う。

確かに意表を突くえー!って犯人、結末だったけど、あまりにも突飛すぎて、っていうか演じている方が そんなトンデモない〇チガイに見えなくてめっちゃ無理があった。

説得力なし… あと不評なのは主人公には幸せになってもらいたいっていうある種感情移入があるからでしょうかねー

そんなところ。

いいなと思ったら応援しよう!