ホス狂いを公金で救済すべきか否かで考えるべきいくつかのこと
時間のない方のために先に結論を
Xにポストしたことの一部を整理して転載します。サムネイル?後でやるよ。多分。後日加筆修正があるかもしれません。
ワタシはホストクラブの件は、本人の支払い能力を超えたクレジットカード契約を是正する目的で改正された、2014年の改正割賦販売法に倣い、客の支払い能力超えるツケ払い(売掛金)はできないようにすることと(上記同様に収入の1/3を超えて売掛金を利用できないようにすることをひとまずの目安にしてはいかがでしょうか)
同時にこれをホスト側の労働問題と捉えて、ホスト個人に売掛金飛んだ責任を押し付けないよう法整備してやるだけで良いと思っています。
借金をチャラにすることには同意しません。何年掛かっても本人に分割で払わせるべきだと思います。なぜそう考えたかは下記で説明します。
昔々あるところに。過去の事例から学ぶべきこと
昔々ピッチことPHSが世に出始めの頃、ケータイもそうだったけど料金は従量課金制でした。今みたいな放題プランはなく、使えば使うほど通話料が天井なしでかかりました。
PHSはケータイに比べて特に加入料も基本料金も安かったけど、好きな人とはずっとおしゃべりしたいよね。ついつい話し過ぎちゃって通話料がかさんで100万単位の借金を作った人もありました。これは法的に救済しなかったと記憶しています(間違ってたら教えてね)。
まず第一に自ら主体的に行なった契約の内容を理解しなかった消費者に問題があります。商行為として特に違法性もなかったのだから当然そうなりました。とはいえ、今や携帯電話事業者各社は契約の際にウンザリするほどしつこく確認するようになりました。それはこういった問題が過去にあったためと考えています。
話の時系列を戻しますとこの時、携帯電話各社はそれら負債を負った若者の支払いについて分割条件は飲みましたが、チャラにはしなかったと聞いております。何年もかかってきちんと払い終えた人たちもいると聞きました。親の手は借りたかもしれませんが。
むしろ完済せず踏み倒せばブラックリストに載り新しく使える端末を持てないのですから、消費者にとっても販売者にとってもそれは正しい救済の在り方だったと考えます。
これはワタシがかつて仕事上必要になった研修で受けた内容で、オープンにしても特に問題のない話だと思いますがいかがでしょうか。
借金が過ぎるも事情により破産を避けたいという場合、借金をした人=債務者は法廷の場で債権者=消費者金融に対して残金を分割で支払っていくことを約束したりもします。そうした条件で和解するということです。ワタシの母がそうでした。父は破産しました。
またワタシはかつて弁護士事務所で「引き直し計算」の入力事務を担当していました。グレーゾーン金利の差額がいくらになっているかを計算するというものです。
ワタシは、借金を踏み倒す人には基本的なリテラシーが欠けていると感じます。つまり、相手は多少利益が目減りしても完全に踏み倒されるよりは多少なりとも回収したいのです。そのため、あなたが思う以上にちゃんと交渉できる相手なのだということです。
そして貸している側は連絡がないことを1番不安に思います。後ろめたいからと逃げるよりはきちんと電話に出て、できれば自分からかけて事情を話し、自分の力でどうにもならない時には外部に助けを求めるべきです。もっと気軽に相談して良いのですよ。
とはいえ、借りたものは返さねばならないという原則には従うべきです。それを壊してしまうことは商行為の否定だと思います。よほど悪質な場合を除いて公権力が介入するべきではありません。
本来「リベラル」とは可能な限り公権力の干渉を受けない社会を目指すものですよね。それこそが「権力からの自由」であります。そうではありませんでしたか?
ただし、皆それぞれ自分勝手に生きていれば、己の利益のために誰かの権利を傷つけ、その自由を奪ってしまうこともあります。そのため、ある一定程度の社会全体を維持するルールや公権力の介入が必要とされます。
ですが、「可能な限り」というのがポイントで、どこまでも無制限に手厚くゆりかごから墓場まで公権力に介入させること(なんでも規制したりなんでも緩和したりも)は、もはや政治的に自由主義ではなく経済システムでは資本主義でもないと考えます。
「ズレにズレまくった人たち」はそもそもワタシとは同じ政治経済のシステムを、それも現在使われているルールであるものを、ベースにして考えていないのだなと近年痛感するところです。
ホストクラブにハマる身の丈を知らない亡者について
なぜ高額売掛金問題がここまででかい問題になったかって、まず第一に飛ぶ女が多かったからです。払えないなら行かなきゃいいのですが、ホストクラブはパチンコが激しい音や光による演出で射幸性を煽るのに似ているなと思います。
あそこは非日常の空間で、キラキラしている。その中で疑似恋愛をし、自分を特別な存在であるように接待してもらう。そこは特別な魔法のかかった「私の居場所」なのでしょう。
時に貢いだ相手にバカにされもする女性たちが、その時点で一括でバシッと支払う能力もないのに自らの身体を売ってまで貢ぐのは
「他の女よりも自分の方が目立っていたい」
「あいつよりわたしのほうがあなたのこと愛してる。だからもっと私を見て」
という承認欲求を裏打ちにした「競り」が行われるからではないでしょうか。
もちろん全てのユーザー=客がそうだとは思いませんが、そこらの酒屋でも頼めば買える、それも数万程度で買える、もうちょっというと言うほど美味しくもない酒が、バカみたいな値段で飛ぶように売れていく様はそのままホストから媚びてもらう権利の競りですよね。
要するに彼女たちが買っているのは酒ではなく、正しく、ホストを、人を、消費しているのです。その時間を。その笑みを。その会話を。ある一定の商ルールに従って、合法的に、人買いをしている。
PRESIDENT Onlineで『「ぴえん」という病』を連載する(本も出してます→こちら)佐々木チワワの言葉を借りればこれは「誇示的消費」という言葉になります。適切なネーミングだと思います。
そもそもホストに責任負わせるのは違法じゃね?
対象を消費すること自体はキャバクラも変わりませんよね。キャバクラが存在できるように、ホストクラブも法を犯さない限りは営業可能です。
だからこそ、「なんで自分でハマって借金作ったくせに俺らの税金で帳消しにしてもらおうとしてんだよ。ふざけんな」という批判が起こるのです。また「そんなことすればここぞとばかりにホストが高額のツケ払いを推奨するに決まってるだろ!」という批判もあります。
それ自体は当然の批判といえます。
ところが、全くノータッチというわけにもいかないのではないか。と、ワタシは思います。
なぜならば、問題は「支払い能力を超えた高額の売掛金」にあるからです。これはホストクラブに特徴的で、一見さんお断りの高級店でない限りキャバクラなどの女性が接待するお店では見かけないシステムです。
なぜホストクラブにだけ売掛金制度がこれほどまで浸透しているのでしょうか。佐々木チワワも述べているように売掛金こそがホストクラブの売上を押し上げる要因になっているからというのが本音でしょう。
下記のような満たされない寂しい女の子の気持ちを上手に利用することが売上につながるわけです。
では、ホストが絶対悪なのかと言われれば、どうも事はそう単純ではないみたいです。
元々は逃げられたツケ金の負担を昔は店=経営者が取ってたんだが、それだとしんどいのでホスト個々人に負担させたというわけです。
そこから「色々の手練手管」を使って後払いで貢がせ、強烈な取り立てを行うようになったと読むことができます。
でもそれさぁ、それ労働基準法16条違反じゃねえの?普通、レジ金合わなくてバイト個人に負担させるのは違法やぞ?
ぜひこれくらいのことは、人が刺されてもろくに仕事をしない新宿警察署歌舞伎町交番のすぐ裏にある新宿区立大久保公園前で、違法な売春に身をやつしている立ちんぼ女性を「可哀想ヨシヨシ」してあげようとゲスな下心で連帯するエセリベラルの皆様にはお気づきいただきたいものです。
お前ら労働者の権利守れじゃねえのかよ。
そのくらいのこと気づけないとか大丈夫か?
ホストを悪魔に仕立て上げても問題は解決しないよ?と、鍛え抜かれた馬まきキャスリスナーの皆さんはもう一歩踏み込んで考えましょう。批判されるのに耐えられないナイーブな方はここらでそっとnoteを閉じてください。
巧妙な労働形態を見抜け
そんなすぐにバレるようなやり方でビジネスが継続できるとは思っていないでしょう。当たり前です。そういう批判に備えて、現役ホストを支配人(店長との違いは取締役に準ずる権限を持つか否か。支配人は持つ。店長は持たない)や代表取締役にするわけです。
まだあどけなさの残るイケメンホストちゃんのバカデカいラッピングカー。よく走ってるでしょ?先日まさに歌舞伎町にラーメン食いに行った時にも見ましたが。
本人自身が気づいてるのかどうかは分かりませんが、決裁権を持っているのであれば使用人でもありながら責任者としては店長よりもはるかに重い責任を負います。
もしかすると実権は持たない表見支配人という立場の可能性もありますが、それはパッと見ではこちら側では判断できません。ちなみにホストのヒエラルキーを解説したこちらの記事を読む限りでは、おそらく決裁権は持たない表見支配人ではないかと思われますがどうでしょうか。
このヒエラルキーの頂点はオーナーであり、それが株式会社であれば株主の中にもその名があることでしょう。株式会社は社長のものでも代表取締役のものでもなく、株主のものだからです。
今のところ全く批判されていませんよね。
政治家もここに触れたくないから表層だけいじってやった気になっているように感じてしまいます。
また先の労働基準法16条違反じゃねえのかよ?についてですが、ごめんなさい。騙すようなことを言いました。実はここにも抜け道があります。
ホストクラブの給与形態はほとんどが歩合制です。昔は完全歩合制だったそうですが、今は最低給与保証を取る店がほとんどだそうです。
一般論ですが、完全歩合制は雇用契約ではなく業務委託契約の形にのみ採用できます。これを定めているのは労働基準法です。
そして業務委託であれば、ホスト個人は労働者ではなく、個人事業主ということになります。
ホストクラブという会社と個人事業主であるホストとが対等な立場で契約しているという形になります。
つまり、売掛金が回収不能な場合、労働者であれば自己負担の強要は労働基準法に守られて違法となりますが、彼らが個人事業主である場合には労働基準法の適用外となるのです。だって労働者じゃないから。
また、ホスト個人が切羽詰まって過激な取り立てを行い逮捕された場合も、ホストクラブは無傷です。だって従業員じゃないから。
このパターンどこかで見たことはありませんか?
左翼の人たちならそれ散々見てきたじゃないですか。実質的な「使用従属性」が存在すれば業務委託契約書を交わしていても労働者なんだって訴え、闘い続けてきたんじゃないんですか。
ホストクラブのヒエラルキーを見れば使用従属性が存在するのは明らかです。そういうことをなぜ、ここでは、思い出すことができないのでしょうか。
繰り返し伝えるべきこと
先般、とある西国の芸能団体の給与形態等のシステムが「まるで遊郭のシステムみたいだ」と呟く投稿を見かけました。ワタシもそれには同意です。
それと同じことを、ここでは、単に対象が「男である」というだけで、途端に見えなくなってしまうのはなぜなのでしょうか。
払えもしない借金を背負った可哀想な女の子には目を向けても、ビジネスとして面倒くさくなれば、はい、さようなら、と、切り捨てられる男の子には目を向けない。
食い詰まる女が風俗に行くのと同じように(ホス狂い風俗嬢がいても貧困から風俗行く女がいないわけではないことをちゃんとみんな毎回言えよ?)、食い詰まった若い男の行き先にホストがあることはあまり知られてないよね。
様々な事情でホームレスになり新宿某所でごろ寝していたら、「お前まだ若いからホストにならないか?」と勧誘されてホストになった人を数人知っています。
今の政治家の愚かさの一つは、
何か一つの悪を是正してやろうとする時に、積極的に不均衡な状態を作ろうとすること。これでは社会はいずれ成り立たなくなる。
何かの問題に手を加えようとするなら、一見すれば遠くにあるだろう問題にも手を入れなくてはならなくなる。そのうちの一つは貢がせ女子なんとかちゃんに代表されるパパ活でしょう。むしろめちゃくちゃ近い問題だけど。
何がパパ活だよ。パパ活女子なんてかわいい言い方するんじゃないよ。アホか。あれはただの違法売春なんですよ。
女の子だから逮捕しないで、可哀想、救済して、じゃないんです。違法行為に手を染めてるのは買春するおっさんだけじゃないんです。パパ活女子は厳然たる共犯者なんだ。
自ら主体的に法を犯しに行っているのです。そのことから目を背けまくって彼女たちに違法売春やめろと言えないでしょう。それは違法だとはっきり告げるべきです。あなたは今様々な法的リスクを踏んでいるんだよと。それでも踏み越えるのなら逮捕され、一生の履歴に傷がついても自分が選択したことなんだから同情の余地はないのです。
だけれども。同情なんて換金もできない、食えないもんは要らんけど、どうしてその子は立ちんぼになったのでしょうね。
そこに立つ前は風俗嬢だったのかもしれないですね。大学に行く費用が欲しかった人もいたでしょう。ホストに貢いですっからかんになっても、身を売ってでも欲しい笑顔は、もしかするとずっと学校でいじめられ、あるいは家庭内が安心できる居場所じゃなくて、友達も、信頼できる大人もいないその子にとって唯一確かなもの(に感じられた)のかもしれません。
もしかしたらかつて自殺掲示板で見かけたようにその立ちんぼ女子は感情が疲弊する辛い職場で頑張っていて、誰にも感謝されない虚しさをホストクラブに癒されにきているかもしれませんね。ここにしか自分の居場所はないと感じる気持ちはワタシにもよくわかりますよ。
その子その子によって、中身は違うけど、今の状態に至るには何か理由があったはずなのです。自分のくだらない正義感で没入できるお前の「カワイソウ!」なんか要らないのです。そんな大層な理由じゃなかったとしてもいいのです。
こころに向き合わないことは、そのまますなわち人間に向き合わないってことだと思うから、小さな感情を大事にしない政治なんかクソだなと思ってます。
全体を見られない近視眼的で認知の歪んだ奴らに政治の舵取りをさせてはならないし、政治家はそういう人たちを自らの耳に近づけてもいけないと強く申し述べておきます。
あちらを立てればこちらが立たず。だから妥協点を的確に突いていかないといけないのです。慎重な議論が求められるのです。
壊れた一部の歯車を叩いて粉々にし、それらを取り除けばなんとかなると思ってるかもしれないけれど、巡り巡ってみんな止まって、全体としても死んでしまうのですよ。
可哀想だからで法を作るんじゃないんですよ。
システム全体の幸福を考えて法を作ろうとしない者は国会壇上を去るべきだ。と、常々考えています。強く。強く。