認知的不協和によるバイアスとの向き合い方
認知的不協和とは自分が認知している2つの異なった事象や理解がある場合に不快感を抱く現象のこと
この矛盾が発生すると人間は自ずと考え方や行動に変化をさせてしまう
よく例に挙げられるのが「タバコ」である
ニコチン依存による「タバコを吸いたい」気持ちに対して「タバコは健康に悪い」という理解
「吸いたい」と「吸わない方がよい」の真反対の矛盾が生じ、不快感をもたらし「吸いたい」という気持ちを自己正当化するために「タバコを吸うことでストレスが軽減される」などの理由付けを行い不快感を解消しようとする
航空に当てはめてみるとミッションの重要性「助けたい」「誰よりも早く現場に到達したい」周囲からの期待や自己満足感の達成欲などに対し天候不良などのリスクに矛盾が発生する
「飛びたい」気持ちが先行してしまうと、認知的不協和を解消するために自分にとって不都合な情報を排除し都合の良い情報のみを取り入れてしまう
またチームで活動する場合は特に注意が必要で、チーム全体にバイアスがかかり不都合な情報や意見を出さない傾向になる
これにより正常な判断が阻害されてしまう
認知的不協和を解消≠問題の解決であるので、思考を理解し向き合うことが解決策であり
認知的不協和と向き合うためには前提の条件を変える方法があり、飛行に対しての価値を見出していると「飛ぶ」理由を探してしまうので「飛んでもよい」という中立的な思考でいることが策である
例に挙げたタバコに関しては一般的に吸わない方が良いとされるが、我々プロパイロットとしては必ずしも「飛ばない」選択が正義ではないので上記を踏まえバイアスを排除し正常な判断を行うことが重要である
海外のレスキューヘリでは要救助者の状況をパイロットには伝えず、場所のみを伝えて飛行の可否を問う対策をしている部隊もある