認識分化論入門(05)
第五章 同時に複数の概念を操作する
第一節 認識力の強化
認識が分化していない場合、相手の話を受け取ることができませんから、相手の話を、本当の意味で理解することができません。
また、自分の考えに適合しない事実は、認識することができません。
たとえば、きっとこのやり方で成功するはずだと思っている場合、うまく進んでいないという事実が発生しても、その事実を素直に受け取ることができないのです。
事実を曲げて、自分の都合のよいような状況になっていると認識するか、何者かが邪魔をするなり、誰かが失敗しているなり、ともかく自分の考えは正しいのだという方向で、認識することになるのです。
これらは、同時に複数の概念を操作することができないという、認識の未分化の、直接の結果なのです。
この意味でも、相手の話や、事実を、できるだけ正確に認識するために、認識を分化させることが、認識力の強化につながるのです。
第二節 思考能力の強化
認識が分化していないと、今持っている考えと、異なる考えをもつことができません。
どこまでも、自分の考えが正しいのだということしか、考えることができなくなるのです。
何かを工夫して改善したり、あたらしいやり方を考察したりすることが、できません。
また、今現在のことしか認識できないので、目先のみを見ることになります。
今現在と異なる将来の予測や、未来への準備ができないのです。
これらも、同時に複数の概念を操作することができないということの、結果なのです。
思考能力を強化するためにも、認識を分化させることが、ぜひとも必要なのです
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