見出し画像

認識分化論入門(06)

第六章 認識の分化を促進する方法

第一節 人の話を素直に聞く

 経営の神様と言われた、松下幸之助さんが、NHKテレビ『この人と語ろう』に出演された時のこと。

 「松下さんは、何がいちばん大切だとお思いになりますか」という質問に対して、松下幸之助さんは、こう答えたそうです。

 『いくつになっても、人の話を素直に聞く、ということですな』

 認識の分化を促進するために、人の話を素直に聞く、ということは、重要なことです。

 自分の考えや、常識とは別に、全く異なる概念を、しっかりと受け取らなければなりません。

 そのために、とても重要なことが、人の話を素直に聞く、ということなのです。

 素直に聞くということは、相手の心の中にあるイメージと、できるだけ近いイメージを、自分の心の中に描く、ということです。

 相手の心のなかにあるものの、できるだけ正確なコピーを描くことで、認識が明確に分化されてゆくのです。

 相手の言わんとすることを、正しく理解するためにも、質問をすることも重要です。

 自分の中にないものを、新たに描き出そうとするのですから、相手がなぜそう思うのか、そう考えることでどんないい面があるのか、納得ができるまで、相手に聞いてみましょう。

第二節 自分の考えや世間の常識に当てはまらない考えは、必ずキャッチする

 認識を分化させ、自分の知能水準を上げていくために、とても重要なことがあります。

 それは、『自分の考えや世間の常識に当てはまらない考えは、必ずキャッチする』ということです。

 自分の知能水準を上げ、より高いレベルに押し上げていくためには、できるだけ異なる概念を、比較検討する必要があります。

 また、自分の知らないことや、思いもよらない視点は、一生追いかけてもすべてを捕まえることはできないほど多く、また、日々新たに生まれてきます。

 常識というのは、ある意味では、認識の固着です。

 また、権力の座にある者、世の意見をコントロールできる立場にあるものは、当然、自らに不利な考えや概念は、広がらないように努めます。

 反対に、世間の常識と相入れない概念や意見を唱えるものは、なんらかの意図を持っていることが、多いものです。

 もちろん、中には、ひとりよがりのわがままな意見もあることでしょう。

 しかし、そうした意見の問題点を、的確に指摘できるようになることも、極めて重要です。

 また、それ以上に、有用な概念や意見にめぐり合える可能性があることは、協調してもしすぎることはないでしょう。

 自分の考えや世間の常識に当てはまらない考えは、必ずキャッチする。

 認識を分化させ、知能水準を上げるために、最も重要なことだと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?