季語六角成分図「夏の海」
俳句ポスト 第275回 2022年6月20日週の兼題。
季語六角成分図「夏の海」より。
(視覚)輝く紺碧、瑠璃、マリンブルー、エメラルドグリーン、…あらゆる青の色相。波、波頭、磯、砂浜、水平線、青空と白い雲。海水浴やヨットを楽しむ人々。ビーチパラソル、水着、水中眼鏡、浮き輪、サーフボード、ビーチボール、貝殻、砂の城。蟹、磯巾着、やどかり、小魚など海辺の生き物も。私はイルカが好きです!(残念、冬の季語~)
(嗅覚)潮の匂い、むっとした生臭い匂い。
(聴覚)打ち寄せ砕ける波の音。潮騒。歓声。
(触覚)温い海水、塩吹きべたつく身体、まとわる砂、焼ける素肌。クラゲに刺されると痛いなぁ…
(味覚)塩辛い、しょっぱい。
(連想力)健康的、青春、明るさ・目映さ、一瞬、レジャー、開放感、大胆。思い出、戦友、切なさ。
★視覚が強いが、触覚、聴覚、嗅覚、味覚、連想力のすべての要素をバランス良く持ち合わせた季語。
★エネルギッシュで明るい、美しい青い海。他の季節と比べても際立って華やぎのある海でしょう。海水浴、海の家、ヨット、砂日傘、朝凪・夕凪など、関連する季語も沢山あるので、うっかり季重なりに注意です。
★夏の海には、前述の明るいイメージがある一方、センチメンタリズムも感じます。二度と戻らない子供時代や青春の象徴のような、思い出を呼び覚ますような。そもそも海の雄大さや懐の深さは、人を感傷的・思索的にさせるものなのでしょう。とはいえ、やはり生命力の溢れるイメージが基本か。
★類想沼も広そうなので、ちょっと海から離れて句材を探し組み合わせた方が成功しそうな気がします。以下気になる例句です。
踏切を渡れば一気夏の海 大輪靖宏/
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