ネコのこと🐈🐈⬛🐈🐈⬛🐈🐈⬛🐈🐈⬛
ヤンチャなクマオに対し、ブチコさんは実に大人しく、とても女の子らしいネコだ。ダミ声を張って主張することは滅多にない。
だけど、外に出たがるのはクマオと同じで、クマオのようにベランダから飛び降りるなんてことはしないけど、家の人間が出入りする隙に、スルッと出て行くことが何度かあった。
外に出てもクマオのように、敷地の外にまで行こうとはしない。庭の草をハムハムしながら、ソロソロと何か探しているような感じで移動して、庭を一周する。
後を付けて、玄関まで戻ると、私の顔を見上げて、ダミ声でニャアと鳴く。玄関を開けるとスルッと入って行く。満足したのだ。
ブチコの散歩は楽だ。
ブチコは娘のお気に入りで、居間にいると必ず抱き上げられ、膝の上に乗せられる。
寝る時は、必ず連れて行かれて、添い寝を強要される。私たち家族は、ああ今夜も捕獲された。と思っておやすみを言う。
そしてこれも必ずと言っていいほど、しばらくすると居間に降りてくる。娘を寝かしつけて戻ってくるのだ。一仕事終えた感を漂わせて水を飲み、ソファーで横になる。私たち家族は、お疲れ!と心で声を掛ける。
女子同士仲良くやっているのである。
そんなブチコさんに困らされたことが一つだけある。きれい好きなブチコは、トイレがちょっとでも汚れていると、するのをためらう。
そしてトイレでしないこともある。
ある日、何となく玄関付近がクサイので、匂いの元を探すと、息子の靴だった。明らかにネコのおしっこの匂い。その時はどっちの仕業かわからなかったが、ある時現場を目撃して、ブチコと分かった。
それからは注意して、靴もすぐに下駄箱に仕舞うようにしたけど、懲りない息子は何度かやられた。一度は野球のスパイクにやられて、気が付かずそのまま練習に持っていき練習中に洗って干す羽目に。
不思議なことに、してホヤホヤな時はそれほど臭わない。しばらくして強烈な一撃が襲ってくる。
そして私も一撃を喰らった。
朝、その日の仕事で若干慌てていたのだと思う。革靴を履いて会社に出かけた。履いた時にちょっと違和感があったけど、気にする間も無く急いだ。そして、会社に着いてから明らかに自分の汗とは違う右足が濡れた感覚を覚え、そしてその足元を見た時に、ただならぬ香りが立ち上がってきた。この時になってようやくブチコの顔が浮かんだ。ああ、なんて朝だ!