血みどろの湯舟
ここまで読んできた読者のみなさん。
「この青年は、他の人に心が動かないの?さっさとあきらめて、他の女性とつき合えばいいのに…」と思ってません?
実は…
青年には、アプローチしてきてくれた女性が何人もいたんです。その中には大胆にアプローチしてくる女性と、こっそり近づいてくる女性とがいました。
でも、青年は好きな人ができると、それ以外の人が恋愛対象として見れなくなっちゃうんです!恋人としてつき合ってるわけでもないのに、あの人に義理立てしてたわけです!
それって、正式に恋人としてつき合ってるんだったら、立派なコトだと思うんですけど。「一途で偉いな~」って。でも、そうじゃなかったので、余計にややこしいコトになっていきました。
一例をあげます。
北区のボランティア団体のリーダー押井さんを覚えていますか?クリスマス会の時とか、泊りがけの研修の時に登場した。あの人と一番最初に出会った時に中野区の会合にも参加していましたね。
その押井さんと同棲している女性がいました。なんか施設に入っていた入居者だったらしいのですが、ボランティアの時に知り合って、つき合うことになったみたいです。確か、あの人がクッキーを持ってきてくれたクリスマス会の時にもいたと思います。
本来、そういうのよくないはずなんです。ボランティアのスタッフと、施設の入居者がつき合うだなんて。でも、押井さんも人のいい性格をしているので、きっと強引に迫られて断れなかったのでしょう。
何かのキッカケ(確か赤羽で行われた北区の飲み会)で青年と押井さんの同棲相手は知り合うことになります。仮に相手の女性を「ユカコさん」としておきますか?
で、ユカコさんが「ふたりで会いたい」みたいなコトを言い始めるわけですよ。「産婦人科に行きたいので一緒に行って欲しい」とか言って。
しょうがないので、青年はユカコさんが住んでる府中まで出かけていきました。東京都の府中市です。押井さんは北区のボランティア団体に所属していたのに、この頃は府中に住んでいたんですね~
それで、ユカコさんって明らかに「男好き」な人なんです。もう、全身から「男欲しい~」みたいなオーラがプンプン放出されてるわけです。
で、青年も「あ、こりゃ、ヤバいな。気をつけないと…」って警戒してたんですけど。案の定、迫ってくるわけです。
ユカコさんって、実年齢は青年と同じ21歳なんですけど、見た目は30代くらいの人で。青年からしても好みじゃないし、それ以上にあの人のコトを好きだから、全然その気はないんです。
でも、凄く積極的にアプローチしてきて、「好きな人いないの?」みたいに尋ねてくるんですよ。
なので、遠回しに「いるよ」みたいなコトを青年が答えると。「どんな人?」「年齢はいくつなの?」ってきいてくるので、「凄く魅力的な人で、同い年の人」って答えちゃったんです。
そしたら、相手の方が「アレ?私のコトかな~?」みたいに期待を持っちゃって…
よせばいいのに青年の方も、それを完全に否定しないんですよ。気を持たせちゃうわけです。
で、散々引っ張った上で「実は別の人でした~」ってネタばらししたら、ムッチャショックを受けて、その場は別れました。
すると、その夜、あの人から電話がかかってきて。
「なんてことするんですか!」って開口一番、責められたんです。
「は?なんのコト?」って青年が尋ね返すと、彼女が事情を説明してくれました。
実は、あの後、青年と別れたユカコさんが押井さんの家のお風呂場で手首を切って湯舟につかったらしいんですよ。施設に入っていたような子なので、そういうコトをよくやるんです。
そこで勘のいい青年はピ~ンときました。「はは~ん!狂言自殺だな!」と。だから、あんまり本気で相手をしなかったんですよ。
そしたら、ますますあの人から文句言われて。
「なんで、あんなコトするんですか!」って、機関銃のようにまくしたてられるわけです。
で、最初はよくわからなかったんですけど。しばらくして、ようやく青年は気づきました。
「もしかしたら、怒ってるの?」
「怒ってますよ!私!」
そう!あまりにもかわいらしい声だったので、怒ってると思わなかったのです!
そこで、そのまま思ったことを口にしました。
「あまりにもかわいい声だから、怒ってるって気づかなかったよw」って。
そしたら、「はぁ~!?」ってあの人は呆れてました。
それでも、「どうして、あんなコトしたんですか?」って、しつこくきいてくるものだから…
「『君のコト好きだよ』って言ったら、あんな事態になっちゃったんだよ!」って言ったら、彼女はそのまま黙ってしまい、しばらくの沈黙が続いた後、なんて答えたらいいのかわからなかったらしくて静かに電話を切られてしまいました。
noteの世界で輝いている才能ある人たちや一生懸命努力している人たちに再分配します。