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ウソつき友くん

さて、話は変わって、美嘉ちゃんの登場です。美嘉ちゃんは、あの後どうなったのでしょうか?

時を「苦悩教室」上演前まで戻してみましょう。


何度もアタックをかけながら青年に冷たくされた美嘉ちゃんは、ついにあきらめて別の人とつき合い始めます。

相手は中井くん。「中井友也」という名前で、美嘉ちゃんは「友くん!友くん!」と呼んでいました。

友くんは、ある日突然「ボランティア募集!」の張り紙を見て、中野区のボランティアにやってきた男の人です。そこから「苦悩教室」の舞台にも立つことになっていました。

ただ、友くんには大きな欠点があったんです。なんというか…ナチュラルにウソをつくのです。本人が自覚しているかしていないかに関わらず、平然と大ウソを語ってみせるのでした。

世界を揺るがすほどのスケールの大きなウソではありません。もっと些細な、身近な人々についてのウソなのです。最初は、みんなも友くんの言葉を真に受けて真っ向から信じていました。でも、段々「あ!これ、いつものヤツだッ!」ってわかってくるんですね~

たとえば、その当時、近所の児童館にボランティアとして遊びに行っていたんですけど…

「あそこの児童館に通ってる子供が、児童館の庭にある木にライターで火をつけて、木が丸ごと1本燃え落ちたんだ!」みたいな感じです。

当然、木が燃えていないのはわかるんです。実際に児童館に見に行けば。でも、それを「さも、ほんとにあったか!」のごとくリアリティを持って語るわけです。アレも一種の才能ですよね~

で、人によっては縁を切っちゃうと思うんですよ。あまりにも頻繁にウソをつかれると。でも、青年はそういうタイプではありませんでした。

「人にはみんな欠点がある。人にはみんな長所もある。欠点と長所と合わせて1人の人間なんだ。だから、悪い部分があるからといって即座に縁を切ってはならない」

そんな風に考えるんです。

確かに、友くんは息をするように平然とウソをつくタイプの人ではありました。でも、同時に魅力的な部分もいっぱいあったんです。それを青年は「おもしろいな!」と感じていました。

だから、長く縁が続いたんです。


美嘉ちゃんと友くんが恋人としてつき合い始めて、いいコトもありました。美嘉ちゃんの執拗なアタックが青年に向けられなくなったのが1つ。

もう1つ。もし、この時2人がつき合ってなければ、おそらく「苦悩教室」は失敗してたんです。なぜかというと、舞台当日に友くんは会場に姿を現さなかったから。

友くんには、そういうとこあったんですよ。大事な約束をしておいて、直前になってバックれるみたいな。この時も「ほんとは来るのやめようかと思ってたんだ…」って言ってました。

それを美嘉ちゃんの説得で、どうにか参加してもらえたんですね。


それから、青年は美嘉ちゃんとも友達で、友くんとも友達でした。なので、2人がケンカしている時に、仲介役になることがよくあったんです。

「まあまあ、そんな細かいコトは気にせず、仲良くやりなよ~」みたいに、いつものポジティブシンキングを発揮して。いわば、2人の仲を取り持ってた形です。

友くんと美嘉ちゃんは、非常に頻繁にケンカしてました。顔を突き合わせれば、いつもいがみ合ってる状態。でも、それでいて凄く仲がいい瞬間もあるんです。

「ケンカするほど仲がいい」とはよく言ったものです。

青年と「友くん美嘉ちゃんカップル」との関係は、今後も奇妙な形で続いていくことになります。ある意味、常軌を逸した形で…

noteの世界で輝いている才能ある人たちや一生懸命努力している人たちに再分配します。