「アニメーター科の海村さん」「ケン兄貴の弟ユー次郎、東京にやって来る」
前回のお話の最後に登場した「もう1人の変わった友達」とは、海村さんのコトです。
海村さんは同じ学校のアニメーター科に通っている男の人でした。髪の毛は金色の長髪で、いつもは背中の方でヘアゴムを使ってしばっています。年齢は青年のいくつか上でした。確か5~6歳くらい上の年齢?
海村さんとの出会いは、マンガの学校の掲示板に張り出されていた「映画撮影スタッフ募集中!」という1枚の紙きれでした。
「出演者・撮影できる人・撮影場所提供者・作曲家・ADなどなど全部募集中!ちなみにマンガ科の担任の先生はすでに出演決定!(まだ交渉はしてないけど…)」というなんだかムチャクチャな募集内容です。
よくわからない募集内容でしたが、とにかくパワーだけは感じるので、学科授業で仲良くなったキザオ君(ついでに尊師も)と一緒に参加してみることになりました。
「変な人は変な人とひかれ合う」
どうやら、これが世の中の法則のようなのです。青年はそのコトを、東京に出てきてから痛いほど知ることになります。
海村さんは、キザオ君とは別のタイプのオーラをまとった人でした。キザオ君のオーラは「ナルシストオーラ」なのですが、海村さんもそれに近いモノがありました。でも、なんだか違うのです。
確かに自信満々でムチャクチャなエネルギーを発しているのですが、一方でトゲトゲしかったり、急に自信を喪失したりもする瞬間もあります。
キザオ君は役者とか営業マンに向いているタイプでしたが、海村さんの資質は芸術家とかプロデューサーに近いのです。それでいて情緒不安定とでも表現すればいいのか、何か非常にアンバランスな感じがします。
いずれにしろ、青年は流れに身をまかせるまま、RPG(ロールプレイングゲーム)でいうところのパーティーを組むことになったのです。
ほら?よくあるでしょ?「勇者」「戦士」「魔法使い」「僧侶」みたいなゲームの仲間。アレとおんなじ。ただ、職業がチグハグというか…ある意味で、全員「遊び人」みたいなものです。
「青年」「海村さん」「キザオ君」「尊師」それから隣に住んでいる「ケン兄貴」ケン兄貴の弟で「ユー次郎」
この辺りがメンバーです。
ユー次郎のお話はしましたっけ?
え?まだ?
じゃあ、先にユー次郎のお話をしていきますね。
実は、ケン兄貴は3人兄弟で、下に男の兄弟が2人います。
「ケン兄貴」「ユー次郎」「リュウ」の3人です。
確か、ケン兄貴が20歳か21歳の時に青年が19歳で。ユー次郎は、それより2~3歳下。リュウは、さらにもう1学年くらい下だったのではないかと思います。
ユー次郎も、青年と同じく高校を中退しており、現在はボクサーになるべくトレーニングをつんでいます。尾崎豊を崇拝してるような男でした。崇拝は大げさかな?でも、尊敬や共感はしてました。
元々は福岡に住んでいたのですが、ある日突然、自転車で東京にやって来ました。自転車と言っても、ロードバイクのような便利なモノではありません。普通のママチャリです。
途中、神戸の辺りでお金を取られたり(確か、例の「1万円貸してくれ!」と言ってくる寸借詐欺師の類)「箱根の峠を越えるのは超大変だった!特に夜に真っ暗なトンネルをママチャリで走ってる時は超怖かった」などと言っていました。
まあ、プロのボクサーになろうってくらいですから、勇気と体力はあり余っていたのでしょう。
そうして、「にいちゃ~ん!」と言いながら、ケン兄貴の4畳半の部屋に転がり込んできたのです。
その後、杉並区の辺りに月2万円の安い部屋(やっぱり風呂なしトイレ共同の4畳半の部屋)を借りて住むようになりました。現在は、適当に引っ越し屋のバイトなどをしながら、ボクシングジムに通っています。
実は、ケン兄貴のお父さんが東京にやって来るお話もあるのですが…
それは、また別の機会に♪