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ロシアのワクチン事情

「コロナで世界を学ぶ」第29回。今回は、ロシアについて見ていきましょう。

ロシアってのは、ちょっと特殊な国なんですよ。元々、「ソビエト連邦時代に社会主義国であった」コトもあって、その名残で完全な民主主義になり切れてないんです。

日本とはだいぶ違う国だと思っておいた方がいいです。コロナ対策においても、その影響がモロに出てしまいました。


ロシアは早くからワクチン開発に成功していた

実は、新型コロナウイルスのワクチン開発において、最も早く開発に成功した国なんです。

ロシアが開発したワクチン「スプートニクV(ブイ)」は、当時、感染を防ぐ効果も95%とかなり高く、ファイザーやモデルナのワクチンに引けを取りませんでした。

さらにいえば、値段も「1回あたり10ドル以下」という安さ!(他のワクチンは、2~4倍します)

ところが、これが全然流通しなかったんですね。

なぜでしょうか?


国民の信用を得られなかった

「スプートニクV」の開発に成功し、ロシアが国として使用を承認したのが、2020年の8月11日。なので、ファイザーやモデルナよりも4ヶ月も早かったんです。

ところが、この段階ではまともに治験も終わっていませんでした。なので、ロシア国民から「ほんとにそんなモノ打って大丈夫なの?」「実は体に悪いんじゃないの?」と疑われちゃったんです。ま、当然ですよねw


ロシアは、量産化するのが苦手

そこで、ちゃんと治験を進めていって、今度こそ「大丈夫だよ!」っていうデータを得たんです。

でも、1度不信感を持ってしまったロシア国民の信頼を取り戻すのは大変です。これが、ロシアのワクチン接種が進まなかった理由の1つ。


もう1つの理由は「ロシアという国は、量産化が苦手」なんですよ。せっかく早くからワクチンの開発に成功していたにもかかわらず、数を作れなかったんです。それくらい国内の製造力が失われてるんです。

ワクチンを大量生産するにも、いろいろと機材が必要になります。「ただ、鍋の中で薬を混ぜればいい」というものではないんです。そういう意味では、半導体や電化製品と同じ。部品もいるし、量産化のノウハウも必要になります。

ロシアとは逆に、こういうのが得意なのは日本なんですね~

日本という国は、世界的に見ると1歩も2歩も出遅れちゃうんです。ところが、波に乗りさえすれば世界トップに躍り出ちゃう!誰かが発明したモノを「効率化」したり「量産化する」のが超得意!

ワクチンの接種を見ても明らかですよね?最初は何ヶ月も遅れていたのに、ペースが上がってくると、他国を追い抜いちゃう!

なので、「ロシアが開発したワクチンを、日本が量産化すれば、もっとワクチン接種は進んでいたのではないか?」とも言われています。


ロシアの接種率、日本にも追い抜かれる

そうこうしている内に、後発でワクチン接種を始めた日本にすら、ワクチン接種率でロシアは追い抜かれてしまいます。

せっかく去年の8月にはワクチンの開発に成功していたのに、これでは全く意味がありません。

ロシアというのは「一部の天才を育てて、大多数の国民は置いてけぼり」という特性があるようです。

コロナという大災厄が訪れたおかげで、世界各国のそれぞれの弱点が露呈していったんですね。つまり、コロナってコロナだけの問題じゃないんです。「それぞれの国の社会システムの長所と短所をさらけだす試験」みたいなものだったと言えるでしょう。


ロシアのワクチン、世界標準になれず

その後、ロシアは「スプートニクV」に続いて、1回の接種で済む「スプートニクライト」など、次々と新しいワクチンの開発に成功します。

…が、ヨーロッパからは「データ不足だ」と言われ、正式なワクチンとして承認されません。「ワクチンパスポート」からも外されてしまいます。

中国製のワクチンにしてもそうなのですが、「早くから開発に成功したからいい」とは限らないんですね。

2021年は「コロナのワクチン元年」だったので、早発組が有利でしたが、現在も新しいワクチンの開発が進んでいます。これから、次々と新型のワクチンの承認が進んでいくでしょう。

2022年以降は「変異株に効果の大きいワクチン」「リスクのより小さいワクチン」「欧米人やアジア人の遺伝子に適したワクチン」など、効果や安全性が重視される時代が来るはずです。そうなれば、日本初のワクチンにも、まだまだつけいる隙があると思われます。

noteの世界で輝いている才能ある人たちや一生懸命努力している人たちに再分配します。