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「僕の改革 世界の改革」 第19夜(第3幕 プロローグ ~ 5)

~第3幕~

ープロローグー

僕らは、僕らの街へと帰ってきた。
僕とリン…大木さんに、学生服君、シノザキ博士。そして、新しくホーとマンガンを加えて。

僕らは、この街で『この街の本来あるべき姿』を取り戻すために戦う。
あるいは、それは、かつての姿とは異なる姿かも知れない。でも、少なくとも、僕は…この街を『無気力生物』などに支配させたくはなかった。


ー1ー

僕らは、本部のある街を出て『僕の街』へと帰ってきた。
ここは、僕が生まれた街であり、ずっと住んできた街でもあった。だから、どうしてもこのまま放っておくコトはできなかったのだ。

無気力生物に侵攻され滅んでしまった街に比べれば、この街はまだマシだった。
人々はあたりまえに働き、あたりまえに日常生活を営んでいた。ただ、その目には光はなく、まるで人形のようであった。人々は、ただ誰かに操られているかのように動き続けるだけだった。


ー2ー

そういえば、『彼女』は元気だろうか?
最後に会った時、彼女はとても疲れているように見えた。きっと、まだあの街で滅びゆく人々の世話をしているのだろう。
でも、一体、いつまでもつことか…

人々よりも先に、彼女の方が倒れてしまうのではないだろうか?
それとも…彼女もまた、無気力生物の仲間入りをしてしまうかも知れない。そうならないという保証はどこにもありはしないのだから。

もしかしたら、僕は、彼女と共にあの『滅びゆく街』で一緒に働くべきだったのかも知れない。
そうすれば、いろんなコトがうまくいっていたのかも…

いや、それではいけなかったのだ。
たとえ、あそこで彼女と一緒に残っていたとしても、僕はいつか滅んでしまっていただろう。

それに、僕には、その『資格』は、まだないような気がした。彼女と共にいる資格は…


ー3ー

僕らがやって来たのは、昔懐かしい『あの基地』だった。
「ここは、爆破したんじゃなっかったの?」
僕がそう尋ねると、リンはこう答える。
「いいえ、結局、破壊しなかったのよ。あなたの意志で…」
「僕の意志?」
「あ…いえ、なんでもないわ。言い間違ったの。『あの人の意志』でよ」
「『あの人』って誰?」
「ほら、前の隊長さんよ。覚えてるでしょ。あなたをスカウトした…」
「ああ。そういえば、あの人は一体どこへ行ってしまったのかな?無気力な人にも、大きな気力を持っている人にも大勢会ったけれど、結局、あの隊長に再び会うコトはなかったな」
「きっと、元気に暮らしているわよ」
「なんで、そんなコトがわかるんだい?」
「なんとなく…なんとなくよ」
リンは何かを知っているようだった。
…というよりも、僕が何かを忘れているだけのような。とても、とても、大切な『何か』を。


ー4ー

懐かしいな…
昔、ここで一緒に活動していたっけな。
僕と、リンと、ホーと、マンガンと…そして、隊長。
あの頃は、何も知らなかった。
いや、今だってそんなに多くを知っているわけではないけれど。それでも、あの頃よりは、まだマシだろう。

今では僕が新しい隊長で、新しいメンバーも加わった。少しずつだけど、世界は変わりつつあるのかも知れない。
僕の心が変わりつつあるように。

昔は自分のコトだけで精一杯だった。
それが、今はいつの間にか、人のコトまで考えられるようになっている。彼女をほっぽってまでこの街に戻って来たのは、ひとつにはそれが理由だった気がする。
たった1人の人のためにではなく、より多くの人を救ってあげたかった。それが正直な気持ちだ。もちろんそれだけではないけれど…
今は彼女から離れて生きていたかった。そういう気持ちもある。そして、もっと大きく成長するのだ。
いつか彼女に認めてもらうために…


ー5ー

それからは、結構地道な活動が続いた。
なにしろ、僕ら以外は全員と言っていいほど人々はやる気を失っていたのだから。

それでも街は少しずつ変わっていた。人々はやる気を取り戻し、その目には光が戻りつつあるように見えた。
僕らの隊にも新しいメンバーが増え、彼らに仕事を教えたりで、忙しくはあったが楽しい時間を過ごした。
僕らの努力は着実に実りつつあるように思えた。

僕は、かつてないほど忙しい日々を過ごし、代わりに充実感を手に入れた。唯一心残りだったのは『リン』のことだった。
もはや仕事で共に行動することもなくなり、あまりの忙しさに2人で会う時間すらなくなっていた。

noteの世界で輝いている才能ある人たちや一生懸命努力している人たちに再分配します。