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青年、ホストを目指す!
さて、停滞していた「就職活動」の方ですが、たまに入るイベントの設営作業などでは安定した収入になりません。
そこで青年は思い切って、自分から面接を受けに行くことにしました。向かった先は新宿の歌舞伎町。
そう!ホストクラブで働こうと思ったのです!
数日前…
東京ビッグサイトでイベントのお手伝いとして働いている時に、同僚の人に見た目を褒められたコトがありました。
相手は2人組の若い男の子。20歳になるかならないかくらいだったでしょうか?「女の子と遊びたいオーラ」をプンプン放出しており、いかにもチャラい感じです。
「いや~、君みたいにカッコイイ人、生まれて初めて出会ったよ!」「相当モテるでしょう?」「普段、どんな女の子と遊んでるの?」「デートの秘訣は?」みたいに質問攻めにされてしまいました。
「いや、別にそんなにモテたりしないけど…」と言いつつ、デートの秘訣などは口から出まかせを言って適当にはぐらかしておきました。
だって、普段は家でゲームしたりアニメ見たりして過ごしているのです。
…とはいえ、2人組のチャラい男の子たちの言葉は大げさとしても、「もしかしたら、女性相手にお金を稼ぐことができるのではないだろうか?それだったら、小説を書くための経験にも大いになるはず」と青年は考えます。
そして、「ホストできんじゃないの?」みたいに勘違いしてしまったのです。
新宿の歌舞伎町に立った青年は、きらびやかなネオンに光る歓楽街を見学して回り、それっぽいホストクラブを何軒か発見します。その中から一軒を選び出し「ホスト募集!」のポスターに書かれている連絡先をメモして返りました。
家に帰るとさっそく電話をし、面接の約束を取りつけました。
成人式の時に着て行ったスーツ(スーツは、これ1着しか持っていなかった)に身を固め、面接に向かいます。
ホストクラブの面接官にいろいろ質問されて、最後に「結果は追って連絡します。連絡がなければ、残念ながら不採用だと思ってください」と言われました。
家に帰り、合格の連絡をワクワクしながら待ち続けました。けれども、翌日も翌々日も連絡は来ませんでした。
そこで、「あ!落ちたな…」と思い、仕方がなく次の短期バイトをスケジュールに入れてしまいました。
ところが…
月曜日の夜に電話がかかってきて、「何やってるんですか?早く出勤してください」とホストクラブの人に言われてしまいます。
「え?合格してたんですか?連絡が来ないものだから、てっきり落ちたのかと思ってました」と、青年はすっとんきょうな声を上げて驚きます。
でも、翌日は1日だけの短期バイトが入ってしまっています。今、ここでホストクラブで働き始めたら、間違いなく明日の朝からの仕事には行けないでしょう。
青年は義務感から、正直にそのコトを話しました。
「実は、明日は別の仕事が入っていて。今から寝ないと間に合わないんです…」と。
すると、相手の人も理解を示してくれたようで、「確かに事前の約束を守るのは大事なコトですよね。じゃあ、仕方がありません」と、言葉の上では納得してくれました。
翌日、予定通り電車に乗ってイベント会場に向かいます。現場に到着して初めてわかったのですが「折込のチラシを挟む」という実にくだらない仕事でした。
「こりゃ、誰でもできる仕事だ。これだったら、昨日の夜あっちに行っておけばよかったかな…」と青年は後悔しますが、時すでに遅し。
例のホストクラブからは2度と連絡はありませんでした。
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