ワシントンスクエアパークのトイレで危ない目にあった話
散々迷ったニューヨークのマンハッタンなんですけど…
実は、街の作り自体は凄くシンプルで。碁盤の目みたいになっています。だから、縦の線と横の線だけ覚えておけば、そんなに難しくないんです。
縦に「Avenue(アベニュー)」っていう大きな通りが走っていて、横に「Street(ストリート)」っていう道が通ってるんです。これだけ、覚えておけば大丈夫!
たとえば、「6th Avenueの34th Street」みたいな感じ(「34丁目の奇跡」って映画あるでしょ?あの34丁目が「34th Street」ですよ!)
で、大体行く場所って決まってたので、そこだけ覚えておけばいいんです。よく使うのは「4thから7th Avenue」でした。
道に迷ったら、看板を確認して「Avenue」と「Street」を調べれば、必ず目的地に行けるようになってるんです。だから、困った時は、番地を確認しつつひたすら歩いてホテルまで帰るようにしてました。
地下鉄に乗っちゃうと、間違った路線に乗って余計に遠くに行っちゃうことがあるので、歩きの方が確実なんです!(ただ、疲れるだけで)
…とはいえ、なにぶん初めての海外なので、そこはやっぱり道に迷っちゃうんですよ。で、道に迷うと、何かしら危険な目にあったり、おもしろいコトが起こるわけです。
ある時、竹ちゃんと一緒に「ニューヨーク大学にランチ食べに行こう!」ってことになって(「ニューヨーク大学って、誰でも入ってよくて、食堂も一般人が自由に利用していい」って竹ちゃんが言うもので)
ところが、例のごとく道に迷っちゃって。近くまで行ってるはずなんだけど、どうしてもニューヨーク大学にたどり着けませんでした。
結局、夕方になっちゃって。「もうランチの時間も終わってるし。じゃあ、帰ろう」みたいな話になったんですけど…
長いこと歩きっぱなしだったものだから、トイレに行きたくなっちゃって。近所の公園のトイレに行くことになったんです(確か、「ワシントンスクエアパーク」のトイレだったと思います)
そしたら、竹ちゃんが「絶対やめとけ!」って言うんですよ。
「え?なんで?」って問い返したら。
「いやいや、ニューヨークの公共の公園のトイレは危ないから!特に夕方以降は、地元の悪い奴らが罠を張って待ってるから、やめといた方がいい!『地球の歩き方』にも書いてあるから!」って言うわけです。
で、皆さんご存知の通り、この物語の主人公は超ポジティブシンキングで、海外もスーパーなめて行動してたもんだから、「だ~いじょうぶ!だいじょうぶ!ほんのちょこ~っと、しょんべんしてくるだけだから!」って押し切っちゃったんです。
そしたら、竹ちゃんの方も「あ、そう?じゃあ、一緒に行く?」みたいな話になって、ワシントンスクエアパークの公共トイレに入りました。
その瞬間、「ヤベッ!」ってことになって。明らかに殺気が漂ってるんですよ!トイレに1歩足を踏み入れた瞬間、それがわかるんです。
男子用のトイレの小の便器が5つ並んでたんですけど。見るからに地元のヤンキーっぽい男ども3人が、左右にわかれて3つの便器でおしっこしてるふりをしてるんです。真ん中の2つだけ空けて!
どう考えても怪しいでしょ?
で、子供の頃から地獄の世界で生まれ育ってきた青年は、オーラでわかるんですよ。「あ!これ、トラップだな」って。かといって、ここでおしっこせずに逃げ出したら、虎に追いかけられるみじめなウサギさんみたいに餌食になるのが目に見えてるでしょ?
だから、とっさの判断で虚勢を張ったんです。余裕こいて便器でおしっこしたんですよ。もちろん、竹ちゃんもあとについて隣の便器にやって来ます。
この瞬間、魔王の能力を発動して負のオーラ全開にして、横目でギロリ!ギロリ!と左右の男どもをにらんでやりました。
そしたら、地元のヤンキー3人がアイコンタクトを取ってるのがわかるんです。
「どうする?どうする?」「やるなら今じゃね?」「でも、コイツなんかヤバそうだぜ。ただのアジア人旅行者じゃねーかも」みたいに。
で、そのまま30秒くらい余裕で用を足して、ザッ!と着ていたロングコートを颯爽とひるがえして、手も洗わずにトイレを出てきました。
もちろん、内心、心臓がバクバクなんですよ。だから、手を洗う余裕もないんです。
でも、「神様!この時だけはトイレで手を洗わずに出てきたことを許してください!」って気持ちで、そそくさとその場を立ち去りました。
いや~、危なかったですね~
みなさん、アメリカでトイレに行く際は、気をつけてください!公共のトイレで罠を張ってる連中がいるかもしれないので。「特に女性は公共トイレでよくレイプされてる」って竹ちゃんが言ってましたから。