世界を覆う凶悪ウイルス
2020年1月…
例の凶悪ウイルスが世界を席巻します。
当初、ヘイヨーさんもこのウイルスをなめていました。
「どうせ風邪みたいなものだろうwwwwwwwww」
「マスクなんて意味ないって!だって、マスクの穴よりもウイルスの方がずっとちっちゃいんだものw素通りするに決まってるじゃん!」
「はいはい。夏になったら、気温が上がってウイルスなんて死滅するって。毎年、インフルエンザもそうでしょ?」
…などといった感じで、ひじょ~~~~に甘い認識でいました。
ところが、3月を過ぎ、4月を過ぎても、ウイルスの脅威は衰える様子を見せません。いえ、正確に言えば、衰えはしたんです。
幸いなコトに、日本は危機感があり、世界的に見れば政府の対応も早い方でした。ウイルスが拡散する前にサッと緊急事態宣言を出し、学校は閉鎖され、企業もリモートワークを推奨しました。街に出ても、電車に乗っても、99.9%の人がマスクをしています。
結果的に、この対応の早さが日本を救いました。5月の後半までは…
2020年5月25日。日本政府は緊急事態宣言を解除します。
新規の感染者は、全国合わせても2桁。わずか数十人にまで減っていました。あと1歩まで行ってたんです!あと1歩!新規感染者をゼロにして、国内のウイルスを殲滅していれば、この後の未来は違っていたかも知れません。
でも、結果的には、この判断が災いを招きました。
「ウイルスの問題ばかりに目を向けて、経済はどうするんだ!」
「経済的に疲弊して、自殺者が出てるじゃないか!去年よりも自殺してる人が増えてる!きっと、政府の政策のせいだ!」
…といった声に負けて、緊急事態宣言を解除しちゃったんですね~
ところが、これはデマでした。あとから、警視庁の公式Webサイトで調べてみたところ、この時点(20020年4月・5月)では自殺者は増えていませんでした。むしろ、自殺者の数は例年を下回っていたんです!
※参考資料「令和2年中における自殺者の状況」(警視庁公式サイトより)
「緊急事態宣言で経済活動が落ち込めば、会社は倒産し、失業者は増え、自殺者も増える!」という人々の思い込み。
思い込みはデマとなり、インターネット上を拡散し、やがては政府の判断を鈍らせます。人々はデマに騙されたのです!
いえ、正確に言えば「人々は自ら騙されにいった」のでした。「早く外に遊びに行きたい!」「いつも通りにお店を開けて欲しい!」「学校や会社に通いたい!」といった思いが最初にある。
そこに、偉い学者さんが「マスクなんて意味ない!」「ロックダウンや緊急事態宣言は効果がない」「ワクチンは恐ろしいから打ってはいけない!」なんて言ってたら、どうです?ついつい信じてしまいませんか?(ま、こんなコトを言うのはエセ学者ですけどね)
世界を変えているのは現実ではありません。「人の思い」なのです。株価であろうがナチスであろうが、みんな同じ。もちろん、先導している人は存在しますが、それ以上に一般市民の方が自分から飛び込んでいってしまうのです。
人の思いは、自らが自らを洗脳してしまうのです。
普段から海外ニュースを頻繁にチェックしていたヘイヨーさんも、この時は騙されちゃったんです。
「アレ?ここで緊急事態宣言を解除するのは、タイミング的に早くない?でも、経済も回さないといけないから仕方がないよね」って。
ところが、調べれば調べるほど、コイツがとんでもない凶悪ウイルスだというコトがわかってきます。
たとえば、当時、アメリカではトランプさんが大統領をやっていたのですが。このトランプ大統領、ウイルスは完全に無視して、経済最優先の政策を取ってしまいます。
「あんなもの恐れてるヤツはマヌケだけだwwwwww」
「奴らは風邪みたいなものだから!マスクなんて必要ねぇ!みんな、今すぐマスクを外せ!」
「ロックダウンなんてやってると、経済が疲弊して世界に置いてかれるぞ!!」
…などと人々を煽り、ウイルスをなめ切っていました。
完全に3月くらいのヘイヨーさんと同じです(今になって思い返すと、顔から火が出るほど恥ずかしい…)
冬の間にウイルスの脅威にさらされて、一時期はおとなしくしていたアメリカですが、夏が近づくにつれ油断していきます。
元々、楽観的な資質の人が多かったアメリカ国民。半分くらいの人は、トランプ大統領の言葉を真に受けて、マスクもしないし、感染対策もしない。あげくの果ては、夏の到来と共にバカンスを楽しみ、海水浴に行ったりディズニーランドに遊びに行ったりしてしました。
結果…
アメリカは、世界最大の感染国になってしまいました!
それとは逆に、早くから感染対策を徹底し、感染が広がる前にロックダウンを強行したオーストラリアや中国は、完全にウイルスの封じ込めに成功します(あとは、海外から入ってくる感染者を食い止めるだけ)
おかげで、中国は2020年に世界で唯一のプラス成長を遂げ、オーストラリアの方は2020年こそ大きくマイナスでしたが、2021年に大幅なV時回復を達成しました。まさに不死鳥のごとく!
散々だったのは、アメリカ・イギリス・その他のヨーロッパ諸国といった面々。ウイルスをなめ過ぎていたために、感染者・死亡者数は激増。経済的にもボコボコにされてしまいました…
この時には「目の前の経済を優先すると、長期的な経済が落ち込む」という考え方が、多くの人には理解できなかったのです。
「短期経済対策」と「長期経済対策」は、全くの別物だったというのに!
では、我が日本はどうだったかというと…
「中途半端にウイルス対策」をし「中途半端に経済対策」をしてしまいました。結果、ウイルスの方をそこそこに抑え込み、経済もそこそこ回すという事態に。
「アメリカやイギリスよりは遥かにマシだけど、オーストラリアや中国にはかなわない」という結果になったわけです。
再びヘイヨーさんの視点に戻りましょう。
2020年の8月。地方都市に住んでいたヘイヨーさんは、ウイルスの脅威からは少し離れた場所にいました。
「世界的には非常に危険な状態だけど、日本も今住んでいる場所も、まだ安全」という状態。
ところが、隣町でついに新規感染者が現れます。
「ヤバイな、こりゃ。他人事じゃなくなってきた。ヘタしたら、例のウイルスに感染して、最悪の場合死んでしまうかも…」
もしも、このまま死んでしまったら、頭の中にある膨大なアイデアは、誰の目にも触れるコトなく抹殺されてしまいます。
「それだけは避けなければ!せめて、過去のあの思い出だけは物語として残しておかなければ!」
そう決心したヘイヨーさん。さっそく小説の執筆にとりかかります。
最初は小学校の時、「受験戦争」という名の地獄に叩き落されたところから。
それが、みなさんご存知の通り、2020年の8月9日のコトでした。