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作画が得意なアニメ、CGが得意なアニメ

今回もサンジゲンの松浦さんについて書いていきます。

この話題に関しては、書きたいことが山ほどたまってるんですけど。ちょっと時系列を無視して、「バンドリ」の話をします。


まず、ご存じない方のために簡単にバンドリについて説明を入れておきますね。

バンドリってのはアニメの名前です。正式名称は「BanG Dream!」

女の子たちが集まってバンドを組み、ライブをやるという内容。

もっと言えば、ゲームです。スマホやタブレットで遊ぶリズムゲーム。音楽に乗せてタイミングよく画面をタッチしていくというもの。このゲームと連動して、宣伝目的でアニメが作られたんですね。

さらに言えば、実在の声優さんがライブも行っています。ゲームとライブとアニメが渾然一体となって楽しめる仕組み!


このバンドリのアニメ版を2期からサンジゲンが担当することになりました。

すると、どうなったか…?

メチャクチャ大変だったんです!そして、脱落者を何人も出してしまった!


それまでサンジゲンは、主にアクション系のアニメを作っていました。
たとえば、ロボットとか戦艦、アンドロイドなんかが登場して、縦横無尽に画面内で暴れ回るといった感じで。

こういうのが得意だったんです。
なぜかというと、サンジゲンはCGでアニメを作っている会社だから。

現在のアニメというのは、大きくわけて2種類の作り方があります。
1つは作画のアニメ。これは1枚ずつ絵を描いていって動かすという昔ながらの方法。
もう1つはCGでモデルと呼ばれる人形を作って動かす方法。作りとしては人形劇に近いんです。


で、サンジゲンが得意とするのは後者の方。CGアニメなんですね。

ただし、映像を見ると作画のアニメと変わらない。何も知らない人が見たら、「1枚ずつ絵を描いてるのかな?」と勘違いするレベル!

これをセルルックと呼びます。

昔、アニメはセル画に描いてたんですね。まるでセル画のアニメのように見えるからセルルック(確か、この呼び方も松浦さんが命名したはず)


で、作画のアニメには作画のアニメの。CGのアニメにはCGのアニメの得意分野というものがあるんです。

たとえば、人間のキャラクターを描くなら作画の方が得意。特に笑ったり怒ったりといった表情は。

逆に、機械的な動きはCGの方が得意。1枚ずつ絵を描いていたら膨大な作業量になるシーンも、CGならサッと作れてたりする(もちろん、モデルを作るのには時間がかかるんですけど)

で、バンドリっていうのは、現実の世界を舞台にした女の子たちが主人公のアニメなんですね。なので、本来は作画の得意分野なわけです。CGのアニメ制作会社は、あまり手を出したがらない。

それを松浦さんは2つ返事で受けてしまった!


確か、2015年前後だったと思うんですけど…

ある時、松浦さんの携帯電話に、ブシロードの木谷きだにさんから電話がかかってきた。

「うちの会社でバンドリっていうゲームを作ってるんだけど。そのアニメを次から松浦さんとこの会社で作ってみない?」と。

ちなみにブシロードっていうのは会社の名前です。カードゲームとかスマホのゲームなんかを作っているところ。
正直言って、結構大きな会社です。サンジゲンに比べても、売上げも利益もケタ違いなくらいに!

このブシロードがバンドリを作ってるんですね。
で、木谷さんはブシロードの社長さん。


そこで、松浦さんは「あ、わかりました!やります!」って2つ返事で受けちゃったんです。

この話を聞いた時、ヘイヨーさんは「え?大丈夫?女の子がライブやるアニメなんてCGの一番苦手分野じゃないの?もっと熟考した方がよかったんじゃない?」って驚いたし、心配もしました。

ある意味、この心配は的中します。

苦手分野に手を出したばっかりに、アニメを作っているスタッフが疲れ果てちゃったんですね。で、精神的にまいったり、会社を辞めていく人も出てしまった。

ただし、これ悪いことばっかりだったかというとそうでもなくて。むしろ、松浦さんの先見性がズバリ的中した部分でもあるんです!

で、何がよかったのか?
それは経営のお話になるので、有料部分に書いていくことにします。


前回の有料部分にもちょっと書いたんですけど。
松浦さんはマイルストーンという考え方を重視しています。
目標を設定してクリアしていくことでスキルを上げていくというやり方。

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