奇妙な共同生活(夫婦生活?)
「一緒に世界を変えよう!」と誓ってから、1週間ほどが経過しました。
最初の1週間は、あの人もスケジュールが立て込んでいて、2~3日しか家に来ることがなかったので、平穏無事に過ごすことができていました。
ところが、2月の28日くらいからは、ほぼ毎日やって来るのです。これには、さすがの青年も参りました。
けれども、自分から「この日とこの日とこの日にしよう!」と言い出した手前、日数を減らすわけにもいきません。
もう1つ誤算だったのは「せいぜい1日4~5時間くらいかな~?」と思っていたのに、朝の11時くらいから夜の11時くらいまでず~っといるのです。そして、翌朝の11時頃にはまたやって来ます。
まるで、一緒に暮らしているみたいに1日中同じ部屋で過ごすのです。
「なんだこれ…」
相手は確かに好きな人なんです。「世界で一番大切な人」だし、少年時代より夢見てきた「理想の女性」なのです。でも、さすがに四六時中一緒にいると、段々と息が詰まってくるようになってしまいました。
最初、青年は「空いた時間で計画を練る」つもりでいました。いつものイノベーターの能力を使えば、きっといいアイデアも浮かんでくるでしょう。それをあの人と会っている時間に提案し、「良い」とか「悪い」とか「ここを改善すればいい」とか言ってもらうつもりでいたのです。
ところが、いつもあの人が側にいるせいで、新しい考えが浮かんできません。たまには気晴らしにゲームセンターにゲームをプレイしに行ったりもしたいんです。そういうコトで新しいアイデアって浮かんでくるものなのですから。
でも、そんな時間、全く与えられませんでした。
さらに言えば、あの人がご飯を作ってくれるようになったのです。それ、なぜかっていうと…
「役割を与えられなかった」からなんです。
当初の予定では、いろいろと計画を練って、補助の作業をやってもらうつもりでいました。資料をまとめたりだとか、コピーを取ってきてもらったりだとか、ボランティアで子供と一緒に遊ぶ時に使うおもちゃや道具を作ったりだとか。そういう作業を。
でも、あまりにもずっと一緒にいるものだから、その作業を考える時間さえなくなってしまったのです。
で、「私、何しにこの家にやって来てるの?」みたいな状態になっちゃって…
ある日、青年がお昼ご飯(実質、朝ごはん)に「一平ちゃん」っていうカップラーメンを食べてたんです。
それを見たあの人が「え!?お昼ご飯が一平ちゃんなの!?これはいけない!」ってコトになっちゃって、翌日から毎日ご飯を作ってくれるようになったんです。
それ自体は非常にありがたいことだったんですけど…
「なんか、申し訳ないな…」みたいな気持ちになってきちゃって。
しかも、それって夫婦みたいなもんでしょ?
1日中、同じ部屋の中にいて、時間になると食事を作ってくれる。実質夫婦みたいな感じになってきちゃって。読者のみなさんもわけがわかんないと思うけど、この文章を書いてる作者もわけがわかんないのです。
一緒にいると、確かに心が安らぐんです。それは間違いない!
でも、あまりにも長い時間一緒にい過ぎると、それがあたりまえになってきて、段々と「空気」みたいな存在になってきちゃうんです。
いないと寂しい。いると空気みたい。そんな状態。で、段々とその空気に耐えられなくなってきてしまう。
そう!青年は、ずっと人といたいタイプの人間ではなかったのです。
「もしも、これが結婚生活というものだとしたら、根本的に結婚に向かないかもしれない…」
そんな風に考え始めていました。
noteの世界で輝いている才能ある人たちや一生懸命努力している人たちに再分配します。