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「僕の改革 世界の改革」 第42夜(第7幕 プロローグ ~ 5)

~プロローグ~

白き夢のリーダーとなった『彼女』と出会い、僕は決心を固める。最後にもう1度彼女と会うために。

僕は、この世界で僕のやり残したコトをやらなければならない。そろそろ終わりの時が近づいてきている。

その果てにあるモノがなんであれ、僕は全力を尽くすのみ。たとえ、最後の瞬間に待っているのが死や消滅であったとしても、残りの力を全て注ぎ込むだけ。

どうせ、終わりの時を迎えるなら、死力を尽くして満足して終わりにしたい。


~1~

革命の終わったこの国に、幸せなどありはしなかった。

ただ、マンネリ化した日々を繰り返すのみ。いや、それこそが『平和』であり『安定』であり『幸せ』であるのかも知れない。

だが、誰かにとっての幸せは、他の誰かにとっての不幸であるというだけだ。平和になれば満足する者がいる一方で、不満を感じる者も生まれる。今ある社会システムが崩壊すれば、別の誰かは喜ぶだろうが、同時に今の幸せを享受している者たちは不幸におちいる。

世界とはそういうモノだ。何もかもが完璧で、世界中全ての人間が幸せを感じるなどというコトはありはしない。

平和や安定がイヤならば、再び革命でも起こせばいい。
でも、もうそれは僕の役割ではない。次の革命を起こすなら、他のどこかの誰かがやればいい。


~2~

僕は王宮に『名前屋』を呼び寄せると、『革命家ポルトーテス』の名を売り払った。

「これで、前借していた分を利息も含めて返せるだろう?」と、僕は名前屋に尋ねる。
「ええ、ええ。もちろんですとも!利息なんてフッ飛んで、いくらでもお釣りがきます!」と、名前屋は答える。
「では、代わりにどのような名前をご所望で?」
名前屋の問いに僕は、興味なさそうに返した。
「名前なんていらない。大切なのは名目ではない。真実であり能力。中身の方なのだから」
「では、これからあなた様のコトをなんとお呼びすればよろしいので?」
「だから、名前なんて必要ない。ただの『名無し』でいい。この世界に住む大勢の人々と同じで」
そう吐き捨てると、僕は王宮を去った。

今の僕は、革命家でもなければ国王でもない。ただの旅人。それでいい。
僕は完全な自由を手に入れたのだ。


~3~

僕はマントを羽織ると、単身世界へと旅に出た。
とても心地よかった。やはり、これがいい。この状態が一番しっくりくる。名前も肩書きも地位も名誉も何もいらない。
ただ、身1つで旅ができ『自由』があれば、それだけでいい。


~4~

旅する間に、時は瞬く間に過ぎてゆく。
時が過ぎ、世界は真っ二つにわかれていた。世界は以前にも増して二極化の一途をたどっていった。『やる気のある者』と『無気力化してゆく者」とに。

ある時、子供の泣き声が聞こえた。
声を頼りに近くまで寄ると、小さな子供が泣き叫んでいる。
「おかあさんが、おかあさんが~」
「どうしたの?」と僕は尋ねる。
「おかあさんが、何もしてくれなくなっちゃったの~」

母親は無気力化し、料理も洗濯も子供の面倒をみることさえなくなり、ボ~ッと宙を眺めるだけだった。

仕方がなく、僕はその子を預かることにした。

~5~

街には、このような子があふれ返っていた。
この街だけではない。おそらく、世界各地で似たようなコトが起こっているのだろう。

自分の身を自分で守ることのできないこのような子たちは、一体どのように生き延びているのだろうか?
僕と同じような人が面倒をみているのか?それとも…
それとも、ただ消えていくのを待つだけ?

「狂っているな…」と思った。世界は狂っている。
だた、その狂った世界を作り出した要因の一部は間違いなく僕にあるのだ。かつて『革命家ポルトーテス』として、この世界に変革をもたらした僕に…

あるいは、いずれにしろこうなっていたのだろうか?
どこかの誰かが僕の代わりに革命を起こし、世界を『やる気人間』と『無気力生物』の2つにわけてしまっていたか。そうでなくとも、自然現象としてこうなるコトは時間の問題だったのかも…

それでも僕は心のどこかで責任を感じていた。世界をこんな風にしてしまった責任を。家事も育児もやる気のない親を誕生させてしまった責任を。路頭に迷う子供たちを生み出してしまった責任を。

せめて、その子たちだけにはつぐないをしなければ…

noteの世界で輝いている才能ある人たちや一生懸命努力している人たちに再分配します。