「ある案山子の話」
案山子はふと、目を覚ましました。
「私はどうして、ここに立っているのでしょう?」
そして思います。
「それは、誰かがここに私を立たせたからです。」
それから、いろいろなことを案山子は思います。
「何故、私はここからそれから動いてないのですか?」
「案山子って、なんですか?」
「何故私は案山子なのですか?」
「そもそも私ってなんですか?」
悩みが悩みを呼び、目の前の田んぼは壊れて、遠くの家々は崩れ去ってしまいました。
案山子は悩むのをやめました。そして案山子は思いました。
「私は、案山子だからここにたっているんだね。」
案山子は、一つの真実を見つけました。
遠くの家々の、その一軒の屋根に悪魔はいました。悪魔は、案山子を眺めていました。
「ちぇっ、馬鹿馬鹿しい。つまんないの。」