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エッセイ ラブレターのようなもの(猫の悪だくみ 2023年5月)

 今年は地域の組合の係になっておりまして、早速組合長さんに自分の所属する区の組合会費の徴収を頼まれたのですが、いきなりもう、誰が同じ区なのかわからなくて、お願いしてリストを作ってもらったりしています。どうにか自力で調べられないものかと区の会報なんかをひっくり返したものだから、家の書類がしっちゃかめっちゃかです。とほほのほ。

 4月に少しお話したように、5月、実際には6月に文学フリマ岩手に出る予定です。つまりなにか印刷物を作る、ということですね。出店サークル名は「珈琲まねきねこ」です。

 実はnoteでも私の自己紹介やサムネイルは珈琲のパッケージなどを模したものです。noteを始めたばかりの頃からそうで、今思うとだいぶわかりにくいですね。

 自覚はあるのに譲れないのは、憧れの珈琲やさんがあるからです。会社勤めで一人暮らしを始めた時、すぐ近くに出来たお店です。いわゆるサードウェーブというやつで、自家焙煎でスペシャリティコーヒーを扱うお店でした。「アメリカン」や「ブレンド」ではなく、「ケニア」や「ゲイシャ」が並んだメニューに20代の私は驚きました。どうしたらいいかわからない初心者にマスターと奥さんが優しく味を紹介してくれました。

 お店を始めたばかりのマスターは張り切っていたのでしょう。当時は夜遅くまで営業をやっており、お酒が飲めない私は、『帰り道にいっぱい』を、ここでやろうと決めました。お金がないので週に1回、水曜日だけです。水曜日の帰りはまっすぐ家に帰らずにコーヒー屋さんで飲んだくれる(カフェオレを)。それだけで一週間わくわくして働くことができました。

 それから、十数年。ご自身や周りの環境の変化で当初とはだいぶ形を変えた形態でまだお店をやっていらっしゃいます。会社のある限りお給金のある勤め人とは違って、個人の方がお店を長く続けるのは本当に大変なことだと思います。

 私が勤めてきた年数だけ、営業を継続なさった(そしてそれと同じ長さだけ自分が通った)お店なので、特別な愛着があるわけなんですが、そういう尊敬とは別に、ああ、一杯の珈琲みたいなお話が書けたらなあ、と思うんです。

 おやつの時間や、疲れた夜に、いい匂いがして飲むとちょっと元気がでる。難しいことなんかわかんなくても、ただ、おいしい。飲んだらなくなってしまう、というところも憧れです。

 お話、というのは読んだらなくなるくらいでいいんじゃないかな、と思っているんです。私の書くような軽いお話の場合は。

 いつまでも大事に残るお話は、きっとその人の人生を心の中で支えてくれるけれど、同時にその人の行動や思考を縛ったりもすることもあると思います。それで逆に、息苦しく生きにくくなってしまうケースもあると思う。(男性の『男らしさ』の系譜などでその議論をしているのを拝見したことがあります)

 栄養たっぷりのご飯とはいけないけれど、ひとくちかじって消える、お菓子みたいなお話もあっていい。

 ……というわけで、コーヒーに関係した小冊子で出る予定です。ショートショート集だと思う。コーヒー屋さんへのリスペクトです。愛なのです。
 いつかマスターにわたしてみたい。(恥ずかしくて多分渡せない)
 モノは、これから作ります。
 ゴールデンウィークですからね(過信)

エッセイ No.050

第8回 文学フリマ岩手は2023年6月18日(日)11時〜16時
岩手教育会館2階にて開催予定です。
前述のとおり私は「珈琲まねきねこ」と言う名前で参加します。
委託で別の方の詩集も販売します。自分の出す印刷物等がちゃんとまとまったら、また改めてご紹介しますね。

https://bunfree.net

よし。ゴールデンウィークがんばるぞ!


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