ラ党の人々(その1)
以前つかこうへいの芝居を観に行ったとき、上演後にプレゼントコーナーが設けられたことがありました。サービス精神が旺盛な劇団なので、本編以外にもこのようなプレゼント大会や次作の予告編、過去作の名場面集などがつけ加えられることがあります。内田有紀が寸劇とともに“Only You”を歌ったこともありました。上演後オフの顔で出てきた内田有紀が、『夢をあきらめるなと芸能界入りへ背中を押してくれた学生時代の先輩が、今夜かわいい奥さんと子供さんを連れて芝居を観に来てくれました。小さな幸せに満足するなと言ったのは、あなただったのに・・・(うろ覚え)』と言った後、『オーンリユーゥウウー』と歌い始めたのです。これはしびれる設定の贅沢なおまけでした。話は逸れましたが、この日は上演後に役者が数名出てきてプレゼントコーナーが始まったのです。
一人が司会者となり、他の人は持ってきたパイプ椅子に座ります。景品が勝新太郎の事件によってお蔵入りになったラガービールのCMが入ったビデオテープだとアナウンスされ、観客の目の色が変わりました。つかファンならどんな手を使ってでも見たいと思っていたドラマCMです。当選者は5名。司会者がBOXから紙片を引き、そこに書かれた席番号を読み上げます。ドキドキ。するとパイプ椅子に座っていた役者の一人が、「ハイ、ハイ、ハーイ、やったー」と立ち上がりました。当たったと言うのです。そしてそれが5回続きました。つまり当選者は全員役者ということになったのです。ん!?なんだこの茶番は。さすがに無理な景品だったか、まあ仕方ないなと思っていたら、司会者が「みなさん、残念でした。ただ、世の中には間違いというものがあります。同じ席番号がふたつあった、ということもあるかもしれません。もしそういった方がいらっしゃったら、受付までお越しください」と言って退場しました。なるほど、やはり色々と問題があるのでこういう体裁をとってプレゼントしたのですね。
そのときの景品のものか、あるいはまったく別のルートのものかは知る由もありませんが、時折この秘蔵映像が動画サイトにアップされることがあります。よくないものかもと思いつつもやはり見てしまうわけですが、これが本当につか節全開のすばらしいもので、当時放映されなかったことが残念でなりません。
内容に関しては回を改めて。