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天空の落としもの シーン4

推奨楽曲
SPIN MASTER A-1 feat. Kyotaro Katsuragi
《Keyaburi / 蹴破り》
収録アルバム
SPIN MASTER A-1
《RASHINBAN / 羅針盤》



5体の化け物、2mをゆうにえる(2.5〜3mあたりの)巨体たちが廊下ろうかをかっぽする。

ハンサムがぶち壊れた顔面がんめん、毛が全て抜けた頭部、破けた服の残骸ざんがいをまとう盛り上がりすぎた筋肉、紫色むらさきいろの肌……
さっきまでのととのった身だしなみが消え失せ、中年ゾンビたちは残念かつ醜悪しゅうあくな見た目に様変さまがわりしていた。
言いかえるなら「ハゲチャビンどもの群れ」といったところだろう。

化け物のパレードが、レストランの照明、観葉植物かんようしょくぶつ、無個性を主張する風景画ふうけいが、そのような内装ないそうを破壊しながら ねり歩く。

ふくれ上がった筋肉からり落とされるこぶしは、中年たちがいた部屋とは別の部屋の木製のドアを、発泡スチロールでできたパネルのように破壊。
部屋に入ると、一人用のソファを壁に向かって放り投げ、2〜3人が座れる大きなソファにいたっては軽々かるがると持ち上げてから、叩き折る。


だが……
個室だらけのレストランの内部は、化け物たちの騒々そうぞうしい物音、呼吸音こきゅうおん以外 なに一つとして聞こえてこない。
どの部屋もテーブルに皿が置かれ、食いかけの料理があっても"いない"。

誰かのカバンやバック、片方しかないハイヒールのパンプス(黒)、カーキ色のスーツの上着、イヤリングなどなど、ここにゾンビたちがいたであろう痕跡こんせきはあっても、店員も、客も、ゾンビは一人もいない。


化け物たちは襲ってみたい(‼︎)対象をいたまま……部屋の中にあった残飯ざんぱんを食うか、モノを遊び半分に壊していた。
(壁にどんどん投げつけたり、仲間めがけて当てたりしている)
不気味ぶきみ沈黙ちんもくが自分たちをおおっていても、それに気をとめることもなく……たわむれつづける。

廊下ろうかに一体の化け物が出てきた。


化け物の目の前、2〜3m先に小さな球体(直径ちょっけい 70〜75mmくらいの球体)が浮かんでいる。

なにか小型ドローンか なんかなんだろうか?
球体にはセンサー、白くて丸いスイッチのような突起物とっきぶつがあり、さらに銀色の金属的な光沢こうたくを放つフレームが三つほど、球体にからみつくように取りつけられている。

その球体がヒュッ、ヒュッ、と左右に動く。
その動きに興味きょうみしめしたのか、化け物が球体に近づいていく。
浮かぶ球体はそのまま廊下ろうかの奥に向かって飛び、化け物に歩調ほちょうを合わせるようにして下がっていく。


薄暗くて長い廊下を一歩ずつ奥へ奥へ……


やがて廊下の曲がり角がハッキリと見えてきた。
球体は角を曲がって奥へと飛び去り、姿が見えなくなる。
化け物が曲がり角の奥に進む。

その先に暗闇くらやみの廊下が


<はたらく> クレア[Claire]
「ファイアッ」


静かな一言がはなたれ
人形たちによる6.8mm弾のパレードがけ抜ける。
ダァンダァンダァンというハンマーでクギを打ちつけるような打撃音だげきおんが廊下にひびく。

フォーメーション
おうの字
(映像で見える範囲に6人の人形がいる)

△前面にいる人形 
両壁側りょうかべがわに二人。片膝かたひざをついた姿勢しせいで射撃。

△後方にいる人形
四人。立った姿勢(やや前傾ぜんけいの姿勢)で射撃。


化け物の身体中に弾丸だんがんが突き刺さり、肥大ひだいした身体を破壊しながら貫通かんつうする。

壁に肉と血とたまがめりこみ、同時に巨体が前のめりに倒れ
破壊されたハゲチャビンの頭部からベージュ色の物体が、ドボっと床にこぼれ落ちる。


残り4体



室内にいた化け物たちが、3体 廊下にゾロゾロ出てくる。


残りの一体は まだ室内にいる。
残飯ざんぱんを、指でつまみながら食っていた。
室内に突然とつぜん、ドアぐらいの大きさのゲートが出現。


ゲートの外は、化け物が出現したビル手前の道路の上。
アフリカ系の女性の人形が、ゲートから100mぐらい離れた距離きょりからRPG-7をかまえ、化け物にむけて発射。
RPGのバックブラストが街にとどろく。

周りにいたゾンビたちから叫び声が上がる。
(上着がないスーツ姿の男性のゾンビ、片方だけしか無いハイヒールのパンプスを手に持っている女性のゾンビも、一瞬チラッと見えた)

サーモバリック弾が室内に入り込み
その瞬間ゲートがしまり
化け物の手前で爆発
(化け物に当たっていない……あれ、信管しんかんは⁉︎ 震撼しんかんっ‼︎)


爆発によって部屋をかこむ壁が破壊されると同時に、その爆風、衝撃しょうげき、壁の破片はへんが化け物たちに襲いかかる。

が、致命傷ちめいしょうにはいたらず、壁によりかかるか床にすっ転ぶぐらいで すんでいる。


爆発と同時に室内の照明も全て消えて、レストラン内は完全に真っ暗まっくらになった。

ビルの外でも、モノが高い場所から落ちたような爆発音がひびく。

周りを見ると、現場と街を切り分けるオレンジ色にきらめく立体映像りったいえいぞう壁越かべごしに、数多くのゾンビたち、あるいは一部の読者にとってはおなじみの生命体たち……〈ヘビ人〉〈ディープワン〉〈ミ=ゴ〉(あ、一応言っておくけど、みんな服を着ている)などが、時折ときおり 歓声かんせいを上げながら事件現場を興味津々きょうみしんしんながめている。

中には空中ディスプレイを人形たちに向けて写真を撮っているディープワンがいたり、動画を撮影している(と思われる)ゾンビもいたり、あげくの果てに空中ディスプレイに向けて実況者のようにしゃべりかけている(おそらく配信者の)ベビ人もいる。

なんだか……みんな楽しげだ。



レストラン内にカメラが戻る。
壁にりかかっていた化け物が、爆発があった部屋を振り返る。
部屋をかこむ壁は無惨むざんにも破壊され、綺麗きれいな部屋は土ボコリの中に消えて、なによりも真っ暗。


部屋がどうなっているのか見ようとした化け物……その身体と脳ミソに向けて、6.8mm弾がドォンドォン(音どけっ!)と、つき刺さる。


ぼんやりと輪郭りんかくが見える6体の人形を視認しにんするも、頭部が陶器とうきのように割れ、中身をぶちまけながら両ヒザがガクッと折れると、そのまま仰向あおむけに倒れた。


残り3体



後ろ側にいた化け物たち2体が、あわてて後ろ……暗い廊下の奥、店の奥へと逃げていく。

6体の人形が銃をかまえながら、二つの隊列たいれつを組み(CQBの隊列というべきなのか……コレ? ミリタリー知識ゼロだからわからん)
スタスタと早歩きで、爆破された部屋とくたばった化け物に近づく。


右の隊列、その先頭せんとうを歩く人形(わかりづらいがクレア)がドォンドォンと、くたばった化け物にトドメと確認のための射撃。


左の隊列、その先頭を歩く人形が破壊された壁の残り部分にはりつくと、後ろと右の隊列の人形たちが、その少し後ろで立ち止まる。
(壁が邪魔じゃまになって部屋の中からだと、身を乗り出さない限り、攻撃できない位置で待機たいき)

はりついた人形が銃を構えつつ、素早すばやく部屋をサッと見て確認し、また壁に隠れる。

部屋は照明が消えて暗いものの、明らかに壁だけでなく天井てんじょうも崩れ、パラッ、ガラッと断続的だんぞくてき瓦礫がれきが落ちる音が聞こえる。

さきほど部屋の中を確認していた人形が手を上げて、ドアがあった場所を指差す。
どうも後ろの仲間に対して合図あいずを送っているようだ。
合図を出した人形が、銃を構えつつ壁から身を乗り出し破壊された壁のよすみをすばやく確認。

前方に向きなおると、後ろの二人が銃を構えながらドアがあった部分から部屋に侵入する。

ヘルメットに装着そうちゃくされた黄色い透明とうめいなゴーグルには、暗視あんしゴーグルの機能でもついているのか、人形たちは迷いのない動きで部屋の中央にたどり着き、そこに散乱さんらんしている大小の肉塊にくかいをチェック。

壁の手前で銃を構えていた人形は二人の人形に対して、右側の壁付近ふきんを指差す。

そこには化け物の上部……具体的に言うと頭部と首、左肩から左腕さわんにかけての部分、その引きちぎれた肉塊が転がっていた。
頭部に目立つ傷がなかったからか、部屋に入った人形の一人が確認のためにトドメを、ドォンドォンとブチ込む。


残り2体


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