天空の落としもの　シーン5

推奨楽曲
SPIN MASTER A-1
《Zantestu / 斬鉄》
収録アルバム
SPIN MASTER A-1 & Shing02
《246911(ニシムクサムライ)》

化け物二体が走る。

出口を探し
クラヤミに飲まれないように
終わりに追いつかれないように
ここから抜け出すために


暗く入り組んだ廊下ろうかの先に、緑色の光がチラッと見えた。
非常口を示しめす誘導灯ゆうどうとうが光っていた。

化け物たちは、その扉に向かって突撃した。
先頭の化け物が扉に体当たりするとボォーンっ‼︎ という音を立てて、非常口の扉はひしゃげながら、化け物と一緒にガンガラガラと地面に叩きつけられる。

蒼あおい空に漂ただよう三日月みかづきが地面に転がる化け物を照らす。
転がる化け物の後ろを、もう一人の化け物が走り抜け、道路に出ようと……して、立ち止まる。


ここは搬入口はんにゅうこう。
トラックが停車ていしゃできるほど大きい車庫しゃこのようなスペース。

その目の前には道路が横切よこぎっているものの、それを塞ふさぐようにして人形が三人立っていた。
倒れていた化け物が慌あわてて起き上がると、化け物たちを囲かこむようにして、後ろ側にも人形が三人立っていた。

人形たちの統一された赤いボディスーツ。
その胸にあしらわれたヤタガラスが、なぜか悪魔じみたものに見えてくる。

男性の人形の一人が腰にさしている細長い筒つつのようなモノ(黒い鍔つばのようなモノがついた筒)から、スゥーっと……なにやら透明とうめいな板のようなものをカタナのように引き出す。
引き出した透明な板が、ブワッと電光のような青白い光を放つ。


〈ライトカタナ〉
カッコいい……ただ それだけの武器。


時折ときおり 放電ほうでんのようなモノがカタナから出ており、なんだかソレによって余計よけいに使用者が強そうに見える。

カタナを抜いた人形、その隣にいる人形たちは〈転送魔法てんそうまほう〉をつかってヤリのようなモノを手元てもとに出現させた。
先端せんたんにある鋭利えいりな刃物はものからは青白い光が放たれ、バリバリと放電のようなエフェクトが出ている。


〈ライトスピア〉
強そう……やっぱり それだけの武器。


後ろの人形たちも同じことをやっており……
人形たちは武器を構かまえ前後から、足がすくんでいる化け物たちに対して、ゆっくりと歩み寄よっていく。

この状況に耐たえられなかった化け物が一体、道路に向かって駆かけ出す。
もう一体の化け物はワンテンポ反応が遅れて、前に突っ込もうとするが、それを人形たちが見逃すことはない。

後方にいるヤリをもった二人の人形が、グサっと化け物の背中を刺す。
その瞬間、放電ほうでんのような光のエフェクト(※)が槍やりの先端せんたんから放たれた。
パリパリパリというスタンガンが放電してるかのような音がして、化け物が叫び声を上げながら倒れ四つんばいの姿勢しせいになる。

※魔法によるエフェクトで実際の放電ではない

その後方に女性の人形がスッと歩み寄る。
いつの間にか手に持つ青白いカタナはプラズマのような状態になっていた。
荒ぶる光の刃やいばは物干し竿ものほしざおぐらいの長さ(2.5m以上)にまで伸びて、一気いっきに振り下ろされる。


リフジン。
シラン。
切り捨て御免ごめん。


紫色むらさきいろをした巨体の化け物は……割れたスイカのように、紅あかい中身を地面にぶちまけながら真っ二つまっぷたつに両断りょうだんされた。
両断された切り身、二つの亡骸なきがらが内側に……重力に従って倒れていく。

そして、駆かけ出した化け物も前方の人形たちのヤリにブッ刺され、動きが止まる。


その瞬間、横から回り込んだ男の人形のカタナがクビに
スパッッッッッ


キレイな一文字斬いちもんじぎりは、化け物のクビを切り落とし……クビが宙ちゅうを舞い、重力にのまれて地面にボン、ボボンと、ゴムまりのように はねて転がる。

首のない化け物は、首から血を噴ふき出しながら両手で身体の筋肉を引っかき、ニクをケズル。
ソレも数秒後には止まり、ヤリが引き抜かれると身体を震ふるわせ、前のめりにバタンと鈍にぶい音を立てて倒れた。

男の人形はソレを見届けると、カタナを鞘さやに収おさめ……カッコつけて


<狼おおかみ>　シュウヤ［修也］
「また、つまらぬモノを切って

言わせるかよッ‼︎
いきなり画面外がめんがいから現れたアカリが、そう言いたげにシュウヤの後頭部こうとうぶを思いっきり叩く。


<狼おおかみ>　シュウヤ［修也］
「痛っ‼︎」


アカリは少し怒った表情をして


<頭かしら>　アカリ［明莉］
「舐なめプ 禁止」

奥の方からアカリたちに向かって歩いてきた女性の人形(化け物を両断りょうだんした人形)が、その一言に対して、やわらかいゴムボールを顔面がんめんにぶつけるように


<虜トリコ>　アヤノ［綾乃］
「弾たまを使わなかったから黒字くろじっ」


ボムぅ、と言った音はしないが……考え直したようで


<頭かしら>　アカリ［明莉］
「せやな」


<狼おおかみ>　シュウヤ［修也］
「せやろ」


言葉のボールが地面を転がり
化け物の亡骸なきがらが三日月みかづきに照てらされる。

シーン5　短めキャラクター紹介

●<頭かしら>　アカリ［明莉］
腐京人形ふきょうにんぎょうコミュニティのトップ。
非常時は優すぐれたリーダー。
でも、平時へいじはただの昼行灯ひるあんどん……

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●<狼おおかみ>　シュウヤ［修也］
コミュニティで働く農家の人形。
古株ふるかぶの一人。
放浪ほうろうと登山とざんを愛する変わり者。
だけど、帰るべき場所をちゃんと知っている人。


●<虜トリコ>　アヤノ［綾乃］
古株の一人。
見た目はキレイな女性。
でも、中身は天真爛漫てんしんらんまんな女の子。
キャラクターコンテンツに熱中する重度じゅうどの虜とりこ。