優勝賞金100万円の野球大会
エラーに入店してから一つだけ楽しみなことがあった。
それは野球チームがあり、ホストクラブ同士でよく交流戦が行われていることであった。
HOSTは他との交流も少なく、スポーツなど健全なことには無関心であったために野球の野の字も出てこない。
HOST時代からキャッチ中によくバッティングセンターに通っていたジゴ郎は この日をいつかいつかと待ちわびていた。
そしてどうしてもレギュラーで出たかったため、とんでもない嘘をついてしまうのである。
「東京代表の4番ピッチャーで甲子園に出た」
と。
普通に考えれば、秒で分かる嘘である。
体重50キロ半ばくらいの小柄なジゴ郎が硬式野球経験者には到底見れない。
それは素人目にも一目瞭然だ。
もしそんなウソに騙されるのは、せいぜい野球初心者以下のア○ルパール野郎くらいだ。
しかしながら、アナ○パール野郎団は見事騙された。
なんという素人集団。
試合当日、ピッチャーは当然ジゴ郎。
後攻の攻撃だった。
投球練習は肩慣らし風に投げていたからなんとか周囲にはバレなかった。
この日の審判はなんと奇跡的にも少年野球チーム頃のコーチの平井さん。
久々の再会で状況的に優位に進められそうな雰囲気だった。
そして試合開始。
注目の第一球目。
ひゅ~~~ひょろひょろ~~~
パスッ。。。
「ボール。」
90キロ出ていたかどうか分からない。
周りは変化球を投げたのかそれとも本気で投げていたのか分からない。
しかしこれは紛れもなく、ジゴ郎の100%のストレートだ。
すぐにキャッチャーは気付いていただろう。
そしてすかさずキャッチャーが駆け寄る。
「今の本気か?」
「大丈夫。今のはナチュラルフォーク。誰も打てはしない。」
「・・・俺は打てるぞ。」
「まあ、お前は座っておけ。」
二球目、 ヒューッパスッ。
ボール。
三球目、
ヒューッパスッ。
ボール。 まともやキャッチャーが立ち寄る。
さすがにもうベンチにもバレただろう。
しかし
次の一球
そこでやっぱり持ってる男は違う。
ジゴ郎から
『100%中のぉぉぉぉぉぉぉぉ、、、、、、、、85パーーーセントォォォォォォォォォーーーーーーーーーー!
ボール。
『ピッチャー交代。』
ジゴ郎は必死にマウンドに縋りついたが結局打者一人でジゴ郎の出番は 終わった。
ちなみにこの後3安打の活躍で優秀賞として5万頂いたが、帰りの風俗に全額突っ込んだ為この日は合計
4安打&サヨナラ
トントンでフィニッシュ。