第二部エラー完

エラーに入ってからウマの合わない人間が大多数を占めていたが、その中でも特に合わないのが代表のカストだ。

カストは自称がっつりの九州男児で、我が強く、席では人のことをすぐ小馬鹿にして笑いにするし、人の気持ちのわからない人間であった。

ホストとしてはそこそこ成熟していたが、人間としては未熟児そのもの。

それまでに幾度もいさかいがあったがいつも部下であるジゴ朗が引き下がった形をとっていた。

そんなカストとはいつバトルロワイヤルを繰り広げてもしょうがないところまで来ていたが、とうとうこの日に勃発してしまった。

それはジゴ朗がある事情を話してお店を辞めるという話をした時だった。

「代表すいません、前から話していたんですけど親父がいよいよ体調崩してしまって余命ももう僅かなので死ぬまで傍にいてあげたいので、一回辞めさせてもらってもいいですか?」

涙ながらの訴えだった。

 この話は事実だし、嘘いつわりなど一切ない話。

しかもお店にバンス(借金)も あるわけではなかった。

なのにだ

カストの口から出てきた言葉はこの世のものとは思えない言葉だった。

何言ってるの?みたいな顔で

「無理だね。やめさせねーよ。」

「なんでですか?親父がやばいのは前から話していたじゃないですか。」

 「駄目だよ。お前働きたくてこの店選んだんだろ?」

「そんなこと言われても状況が状況ですもん。どうしても辞めさせてくれないなら飛ぶしかないっすよ。」

「飛んでみ?お前の実家行ってそっこー詰めてやるから。家族全員土下座もんだぜ。」

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