アウェーの洗礼

移籍して初日、HOSTでナンバー1だったこともあり、ジゴ郎は当たり前のように周りからは注目される。 

人生でどんな場面でもプレッシャーというものを感じたことのないジゴ郎は平然と自己紹介をし、自分の仕事に就く。

ホストクラブというものは、売り上げがあるやつやイケメンだけでは絶対に成り立たない。

 (例外としてよっぽど色恋、本営が上手な人材が揃っている以外)

そこで、お店を盛り上げたり会計を上げたり色恋ホストのサポートをするヘルプという役割を果たすホストが絶対不可欠で、お店もそのホストを優遇する。

もし、色恋以外で売れようとするのならばこの仕事が出来ないとほぼ無理と言って過言ではない。

ジゴ郎はこのヘルプという、ホストをサポートする仕事には絶対の自信があった。

しかし、このエラーという店は会社の方針から盛り上げることなど一切なく、 ヘルプもくだらない世間話をだらだらと話している。

従業員は飲みコールすら知らない。
初日に気付いた。

「店、間違えた」

と。
しかし、移籍金を三日で使い果たしたジゴ郎は引き下がれない。

店になじめないジゴ郎は、得意のマシンガントークを打ちっぱなしてもエラー客には全て不発。

もちろん、新規など掴めない。

そもそもこういう有名店に来るのはミーハーな女の子で、店に来る前からお目当てを決めてきている。 

そこに割り込むにはそーとーな会話のテクニックが必要であった。
完全なアウェーの中で仕事をしていると、時には精神的にくるときもあり、 しょうがなくHOSTを辞める時にゲットした元ガングロの客を呼んだ。

これは、ホスト界のタブーの一つであった為ためらったが、自分の客がこないとこの空間はジゴ郎にとって辛すぎた。

そして、店では自分のお客さんをゲット出来ないと感じたジゴ郎は、毎日仕事の後キャッチをする。

キャッチはジゴ郎の大の得意分野。

有名店から出てくる上客を外で待ち構えていればいいだけだ。

おかげで最初の月は、ナンバー7で終えた。

しかし、仲良くなったホストは未だ0である。


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