第二部 エラーグループ
エラーの社長のエラ男はファッション雑誌等に出ていたジゴ郎に元々興味があったらしく、移籍の話はスムーズにすすんだ。(共通のセフレからの紹介というのはナイショの話)
おたふくというおでん屋で待ち合わせをして、その場には綾野という同世代のホストも同席した。
よく見るとその綾野はHOSTとエラーの喧嘩の時にトイレに案内したホストだった。
「君がジゴ郎ね。うちの店を選んでくれてありがとう。これうちの綾野ね。同世代だし歌舞伎町の歴も同じくらいだから仲良くしてね。」
そうエラ男が切り出すと、
「はい。仲良くさせて頂きます。あの、出勤はいつからでいいですか?」
「いつでもいいけど、今年末だし年明けがいいんじゃない?」
ぶっちゃけ手持ちがないジゴ郎は一日も早く働きたかった。
「クリスマスを休みにすると客と一緒にいなきゃいけなくなるんで、クリスマスくらいから出勤でいいですか?」
「早い分には全然構わないよ。今月からでHOSTの方は大丈夫なのか?」
「HOSTにはもう話通しているのでもう大丈夫です。」
実はこの時HOSTの社長に正式に退職を認められたわけではなく、弁護士仲裁の元「一年間の修行」という誓約書を書かされていた。
「そうか。この前の騒動の時は君はあの現場にいたのかな?」
「いいえ、店番を任されていました。」
「あの、代表のガングロ君はさそえないのかな?」
「HOST自体がガングロさんのお兄さんが経営しているので、それは難しいと思いますよ。」
少しの間沈黙が続きエラ男が切り出した。
「そうなんだ。うちのギャル男系ホストの手本にしたいんだよね。難しいかな。」
「もし来る可能性があるなら、代表以上のポストを用意出来れば来るかもしれないですよ。」
「うちの店じゃそれは厳しいな。」
そう言い、エラ男は引き下がったが喉から手が出るほどガングロを欲しがっているように見えた。
そう言い、移籍の話がまとまりかけた頃思いもがけないことをエラ男から聞くこと になる。
「移籍に当たる支度金はこれでいいか?」
と用意されていたのは50万円。
予想外の所得に断る理由もなく、頂戴した。
(後にこれが問題になるとも知らず)
そして、この三日後ジゴ郎はエラーに初出勤となる。