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「わからないこと」に無理やり答えを出さなくてもいい。

今日は、サッカーの話。

熱狂的なサポーターではない。だけれども、例えば、欧州のバルセロナやアーセナルのような歴史あるフットボールクラブと、アビスパ福岡のどちらを応援しているか、と聞かれれば、一瞬の迷いなくアビスパと答える。

サッカーを知らない人からすれば、福岡にアビスパというサッカークラブがあることは当然知らないだろうけど、今日はこのクラブのことに少し触れたい。

アビスパ福岡というクラブのこの5年間は、本当に輝かしい時間で、誰もが胸を張って誇れるようなかけがえのないものだった。それは、2025年シーズンから川崎フロンターレの監督に就任した長谷部監督の手腕によるところが大きく、長谷部監督の元で、選手がどんどん上手になって成長していく姿が印象的だった。

元々、アビスパ福岡はJ1に昇格しても、1年ですぐにJ2に降格しまた数年かけて昇格しても、結局降格を繰り返すという「エレベータークラブ」と呼ばれていた。

だが、クラブのフロントや強化部とともに、長谷部監督は、その負のサイクルに終止符を打った。

長谷部監督就任1年目でいきなり2020年にJ1に昇格して以降、J1の中では少ない人件費の中で、2021年(8位)、2022年(14位)、2023年(7位)、2024年(12位)と4年連続でJ1に定着させたばかりでなく、2023年シーズンはなんとルヴァンカップの初優勝という金字塔を打ち立てた。

英雄となった長谷部監督に、2025年シーズンもクラブは契約延長を打診した、とされるが、契約には至らず、アビスパは新監督を探すことが求められた。

そんな中で、秋ごろに新監督にキム・ミョンヒさんを招聘するという報道が流れた。以前、鳥栖の監督として在籍していた期間にパワハラ等で問題を起こしていたため、様々な反応が巻き起こった。

一番の反響が大きかった理由は、おそらく基本理念との新監督の就任の乖離の指摘だったのではないか。

<基本理念>
⚫︎アビスパ福岡は、地域に根ざしたスポーツクラブとして、地域に生活する人々とともに発展します。

⚫︎アビスパ福岡は、スポーツを通じて、子どもたちに夢と感動を地域に誇りと活力を与えます。
⚫︎アビスパ福岡は、スポーツを愛する新しいコミュニティづくりと世界に開かれた豊かなスポーツ文化の創造に貢献します。

アビスパ福岡の公式ホームページより(https://www.avispa.co.jp/club-info/club_profile

監督人事は、取締役マターとアビスパ福岡の川森会長も仰られていたが、最終的に報道の通りの人事となった。

ただ、以前の問題が問題だけに、センシティブでシリアスな内容であることを前提にしても、周りからは分からないことも多く、経営判断としてのこの意思決定に関しては、肯定も否定も難しい状況に思えた。

正直なところ、「シロ」か「クロ」か決めたくなる気持ちもあったし、そうできるならそうした方が楽、と思える部分もあったのも事実。ただ、全ての情報をわかるわけではないし、良い、悪いで簡単に判断できない。不確定要素が多いし、正解も簡単に見つけられそうになかった。

そういう時に、「ネガティブ・ケイパビリティ」のことを思い出した。これは、大学院でとある教授に教えてもらった概念である。

あらゆる物事はそう簡単に答えが見つかるものではありませんし、そもそも答えが存在しないものもあります。性急に答えを見つけようとするのはやめて、宙ぶらりんの状態に耐えていけばもっと良い解決に至るんじゃないかという心構えと、それに耐えられる能力が「ネガティブ・ケイパビリティ」です。
詩人のジョン・キーツ(1795〜1821)が提示し、のちに精神分析医のウィルフレッド・R・ビオンが精神分析の分野でその力の重要性を提唱しました。

セゾンの暮らし大研究(https://life.saisoncard.co.jp/health/longevity/post/tokushu20/

こういう何が正解か分からない状況だからこそ、ネガティブ・ケイパビリティの考え方が活かせるのではないか、と。結論としては、「判断」しないという判断をした。これが私が、今回のアビスパ福岡の新監督就任等と向き合ったスタンスだ。

そんなわけで、今年は大学院を無事に卒業できる予定なはずなので、久しぶりにDAZNも契約した。ファンクラブに入ったので、久しぶりにスタジアムにも足を運びたい。

現代は、本当に不確実なことや未知のことが多く、不安に苛まれる。このネガティブ・ケイパビリティの考えを持っておくことで、あまり深刻になり過ぎず、客観的に適度な距離を置いて、物事と向き合うこともできるかもしれない。

ともかく、早く暖かくなってほしいものだ。


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