1月31日:あなたの指示が下手な理由。
おはようございます。
週末にふらっと参加したいくつかのオンライン勉強会で、なぜか毎回シメの一言を依頼されたへいなかです。
昨晩に至っては、名だたるグローバル企業を渡り歩いたスペシャリストのお話を伺っていたのに、突然その方から指名されて結果的に僕の話が最後になってしまった。
とはいえまぁ…
「誰かがうまくまとめなきゃ…」という場面で僕に振るというのは、基本的に外れない選択だと思うので、ありがたく受け切ります。
さて今日は…
学校の先生や会社の上司、家庭の保護者など…人に指示を出す側の人間が押さえておくべき超々常識イロハのイについて。
みんなで再確認しましょ。
・・・・・・・
1)大前提
基本的に、人と連携するのは時間がかかる。
それでも相手がプロフェッショナルで自分より優れた成果をあげてくれるというのなら、その時間を割く価値はある。
美容師に好みの髪型を伝えたり
バーテンにお酒の好みを伝えたり
グラフィックデザイナーにサムネを頼んだり…
でも
学校や会社、家庭ではそうはいかない。
基本的に指示は自分より未熟な者に対して出すものだ。だから連携に時間がかかる上に、結局クオリティも低いというのが基本。
娘に食器の片付けを依頼するくらいなら、黙って僕が片付けた方が速いし正確。娘に自分で保育園の準備をしてもらうよりも、僕が着替えさせた方が圧倒的に速い。ボタンの掛け違いも起きにくい。
質もスピードもこっちが上。
それが、学校や家庭、会社における指示を出す側の大前提だ。
・・・・・・・
2)うまい指示の基本
いろいろあるが今日は1つに絞る。
うまい指示の重要項目…
それは…
タイミング
だ。
指示は、出すタイミングが死ぬほど重要なんだ。
そして
だからこそ指示は難しい。
多くの人は指示のタイミングを逸している。
・・・・・・・
3)行動の”起こり”
人は身体を動かす前に頭(心)が動いている。
「トイレに行きたい」と思ってから席を立ってトイレに向かう。
映画を観てたり会議中でもない限り、尿意を感じてから動くまでは一瞬で、もはや自覚すらできない。でも本当は…「思う」と「動く」の間に「判断」も挟まっている。
普段は一瞬で動き出す尿意だが、映画や会議の最中は「トイレに行きたい」のあとに「でも今は行かない」という判断が行われて、身体は動かない。
とってもざっくりだけど、人の行動はこうやって起こっている。
では「指示を受けて動く」場合はどうなるか…。
・・・・・・・
4)指示を受ける側の行動のプロセス
想像すればわかることなのでざっくりとした結論だけ書く。
指示を受けて行動する…そのプロセスはこんな感じだ。
工程が1つ多い。
そして
「聞く」は時間がかかる。
身体のサインを受け取り「トイレに行きたい」と思うのは一瞬だが、それを「トイレに行きたい」と声に出すと時間がかかる。
基本的に、言葉は思考より時間がかかるのだ。
そんな言葉でコミュニケーションを取るのだから、「指示を出す」のも「指示を聞く」のも、一人で考えるより遥かに時間がかかる。
ただでさえ工程が1つ多い上に、その「聞く」という工程自体に時間がかかる。だからこそ、指示は早く出すことが大切なんだ。
これが指示の基本だ。
ところがこれが難しい。
こんな感じだ。
指示を出してる間に時が過ぎてしまう。
アニメを観はじめる前に指示を出しておけば、実はもっとスムーズだ。
ここで先に「うん」と返事をもらっておけば、CMになった途端「よし、CMになった。トイレ行こう!」ですぐ行ける。
動いてほしい瞬間(CM中)に指示を出すというのは、実はその時点ですでに遅いのだ。動いてほしい瞬間なんて、指示を出している間に通り過ぎてしまう。
だから
もうひとタイミング早めに声をかけておくべきなのだ。
・・・・・・・
5)わかっていてもできないのはなぜ…?
言われてみればあたりまえのこと。
でも実際それができる人は少ない。
なぜか…?
考えてないからだ。
行き当たりばったり。
その場の状況判断だけで生きてる。
全体の工程を先に考えていない。
自分が動くなら、思いついた瞬間に行動できる。だからその行動を起こすべきタイミングで思いついても全然問題ない。「CMになった⇨あ、トイレ行こう⇨行く」で全然問題ない。
先に考えておく必要がない。
普段そうやって生きてるから、指示を出す側になっても、行動を起こすタイミングで思いついてしまう。思いついた瞬間に指示を出してるから自分としては最速のつもり。でも実は、その時点ですでに遅れている…。
最速で指示したのに相手の行動が間に合わないから…結果、相手が悪いと思って無駄に不機嫌になったり、慌ててしまうことになる。
自分の指示の遅さのせいで相手の行動が遅れているのに、そんなことをまったく自覚せずに、相手に対して文句を言う。「素直に聞かないから…」なんて言ってしまう。
実に理不尽な状況だ。
指示は、先に思いついておいてじっくりタイミングを図るくらいがちょうどいい。
・・・・・・・
6)料理番組に学べ
料理人が横にいて、タレントが調理する形式の番組がある。
その手の番組では、調味料などは最初にすべて計量され、小鉢に入って置かれていることが多い。
料理人が自分でやるなら、投入するタイミングで取り出しても間に合うが、指示を受けながら適切なタイミングで適量を投入させるにはそうしておく必要があるのだ。
指示というのはそうやって出すべきだと僕は思う。
指示の対象となるものを最初に整理しておき、相手から見てもわかりやすい状態にしておく。そしてタイミングを見計らって1つずつ指示を出し、的確に処理してもらう。
指示を出すということは…本番が始まる前に一度頭の中で本番をシュミレーションし、準備する必要があるということだ。
コショウを入れる段階でコショウを探すのではなく、「この料理ではコショウを2g使うな…。ここに置いておこう。」という感じ。
本番前に頭の中で一度本番を終えていれば、本当の本番では子どもが動くべき場面よりはるか手前でゆとりをもって指示が出せる。
シュミレーションが大事なんだ。
これができてないと指示は常に遅れていく。学級崩壊する先生などの中にはこの手の先生が少なくないと思っている。
指示の出し方は料理番組に学ぶとよい。
__________
ここから先は
放デイのスタッフをしながら、わが子の非行に悩む保護者からの相談に応じたり、教員等への研修などを行っています。記事をご覧いただき、誠にありがとうございます。