9月9日:組織で働くということ。
おはようございます。
少年院で非行少年にダンスを教えてたのに、家では娘にダンスを教わる安部です。
今日は友人からの相談をきっかけにふと考えたことを書いてみます。
1)仕事で一番大事なこととは…?
商売で一番大事なことは何?
と尋ねると、大抵の中高生は「いい商品を作ること」と答えてくれます。まちがってはいません。
でも
視点を変えるとその答がちょっとズレたものであることがわかります。
仕事で一番大事なことは…
集金
です。
考えてみたらそうですよね。
どんな商品を作ろうが、それをどれだけの人に提供しようが…そこで対価を受け取れなかったらどうしようもない。
営業マンの仕事は契約(注文)を取ってくることではあるのだけれど、それ以上にきちんと代金を回収することが大事。
商売において「代金引換」というのはむしろレアなケースで、大抵の場合は「提供」が先で「支払い(集金)」はあとになる。
だから
売ったはいいけど集金できなかった
というのは一番避けなければならない事態なんだ。仕事で一番大事なのは集金だ。
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2)組織で働くことの必要性
集金の例でわかるとおり、仕事というのは意外とバックヤードの方が多いものだ。
ラーメン屋の仕事はラーメンを作ることだけではないし、サッカー選手の仕事は試合だけではない。
材料を仕入れたり、選手紹介のための写真を撮影したり、集客のための動画を撮ったりする。
店や練習場所の確保には様々な手続きが必要だし、ラーメンの材料や練習中の飲み物は仕入れなければならない。
ラーメン作りやサッカーの試合は確かに一番大事な勝負どころだけれど、そこにたどり着くまでにこなさなければならない作業は膨大な量になるわけだ。
だから人は組織を作る。
役割分担するために。
そして
組織で生み出したお金を分配するために、給料という仕組みがある。冷静に考えると給料もまた結構面倒だ。
この国ではヒト・モノ・カネが動く時には基本的に証書が必要だし、それが個人のものなのか組織のものなのかもきちんと区別しなければならない。
給料というのは、お客さんから回収したお金を組織のメンバーに分配することによって配られるもの。そしてこの国では会社が社員の納税を代行する仕組みになっているから、給料を支給するだけでも結構な事務手続きが必要になる。
ラーメン屋はラーメンを売ることで金を集めるけれど、ラーメンを作るだけでは店が回らない。
サッカーチームは試合にお客さんを集め、チケットやグッズを売り、選手が広告塔になることでお金を集めるが…選手が試合で力を発揮するために、様々なスタッフが分担して仕事をし、その分だけ給料が分配される。
サッカー選手に動画制作させるのはもったいないし、ラーメン職人に仕入れ代金や給料の管理ばかりやらせるのは非効率だ。
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3)組織で働くことの意味と弊害
モノ(サービス)を作り、提供するために付随して発生する様々な作業。それらを分担して効率よく処理するために、人は組織を作る。
それは人体の仕組みにも似ている。
口も食道も胃も腸も、食べ物からエネルギーを得るためにそれぞれの役割をこなしている。やっていることは違うが目的は1つだ。単体では生み出せない効果を協働して生み出している。
組織はそういう意味で「得意分野を持ち寄って協働する」というのが1つの理想だ。
人は学び、成長する生き物だから「得意分野を増やしながら協働する」というのがより正確な理想かもしれない。
そして
なかなか理想通りにはいかないというのが非常に大事な問題だ。
「なかなか」どころか、理想通りにいくことなんて100%ありえない。
なぜならば、社会も人も変化するからだ。
30年前、事務処理のほとんどは手書きだった。電卓が必須アイテムで固定電話と郵便が大活躍。
20年前、ケータイが普及する。情報伝達のスピードは上がり、それと同時に組織が作らなければならない書類の数は増え、事務処理要員は増大する。
10年前スマホが登場し、コロナ禍でビデオ通話は市民権を得た。
制度は変わり、
使えるツールも変化する。
新しい仕組みへの対応は必須で
新しいツールの導入は任意だ。
そして
時代と場所によって客のニーズも変化する。
組織が市場から必要とされ続けるには、変えるべきところは変え続けることが大切だ。適応と成長は組織の避けられない宿命とも言える。
ところがここが問題になる。
人の対応力には差があり、特にツールに対する感覚は個人差が大きいから、時とともに組織の中で様々な意見の相違が生まれてくる。起きないことはありえない。
組織は人体と同じく1個体であることが大切。手足がバラバラに動けば容易に転倒する。同じように意志(個々の内面ではなく、組織上の個々の仕事の向かう先という意味での意志)が統一されていない組織は遠からず崩壊する。
意志統一は組織の必須条件だ。
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4)マネジメント層に必要なこと
ここでマネジメントの手法を論じることに意味はない。どこのどんな組織がどこを目指しているのかによってその手法の是非は変わってくるからだ。
しかし
いかなる場合においても必ず求められるものもある。
それは
決断
だ。
自分を含む組織メンバーの中で大なり小なり発生する意見の相違を踏まえ、組織としての結論を出し、それをメンバーに浸透させる。
決断するだけではダメで、その決断を組織の統一意志になるよう決め方と伝え方も工夫しなければならない。
権力にあぐらをかいて強制的に遂行を求めるリーダーでは、遠からずメンバーの離脱を招く。
意見の異なるメンバーを前に、決断によって結束力を高められるリーダーは優秀だ。八方美人でなく、時に意見の却下や変更を求めながらも人心を放さない在り方にこそ、リーダーシップの本質が表れる。
ビジョン?
確かに求心力としてのそれは大事だけれど、リーダーに大事なのはやはりリーダーシップだ。
要するにこれ。
(『BLEACH』44巻)
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5)メンバーに求められるもの
当然ながら組織のメンバーにも求められるものはある。
それは端的に言えば…
決断を尊重すること
だ。
組織の一員である以上、
自分がリーダーでない以上…
リーダーの決断を尊重するのは義務だ。
その決断をどうしても尊重できないのならば、組織を離れるのは自由だが、組織の一員として決断を無視することは許されない。
組織を出るか残るかの決定権はある。
が
組織にいるなら決断を尊重し、その決断を具現化するために働くことは構成員たる者の必須条件。
胃や腸は、いくら身体に悪いものが入ってきても消化を拒否できない。
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6)メンバーに本当に求められるもの
とはいえ…
上の決定に従うだけのもの言わぬメンバーである必要はない。
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放デイのスタッフをしながら、わが子の非行に悩む保護者からの相談に応じたり、教員等への研修などを行っています。記事をご覧いただき、誠にありがとうございます。