教え子の話を聴いて | R5.9.28
認定NPO法人育て上げネットの事業に少しだけ協力しています。
こちら↑のプロジェクトでは支援者のコミュニティが作られていて、メンバーを対象とした少年院のスタディツアーなども行っている。
このコミュニティ内で公開されているコンテンツの中に「少年院出身の人のストーリー」を紹介するものがあります。
少年院を出て社会で生活している人にインタビューし、少年院でのこと、非行のこと、出てからのことやこれからのことをじっくり聴いてマンガと記事で紹介するもの。
僕はこれに少し協力しています。教え子やSNSでつながった元非行少年を紹介し、いっしょにインタビューを受ける。少年院の中の事情は外からはイメージしにくいことも多いので補足説明を加えたり、教え子の場合には塀の中でのエピソードを紹介してる。
ということで今日、ある教え子のインタビューに同席していました。直接的な関わりはそこまで多くなかったけれど、法務教官時代に少年院で関わった子です。
少年院には個別担任という制度がある。少年一人ひとりに担当する教官がつき、個別の課題設定やそれに対する指導を行うもの。五月雨式に送致されてくるので、学級担任ではなく個別に担当を決める。
交代制勤務のため担任一人ですべてを指導するわけではないけれど、それでも個別担任と少年の結びつきはとても強くなります。
今回は、僕が担任をもった子ではないので、直接的な関わりはそう多くなかった子です。
出院後、Twitterを介してつながっていたことから、取材を依頼し承諾を得て今日のインタビューになった。彼の個人情報にかかわるため詳しいことは書かないけれど、本当に凄い話でした。
今の彼を見て、少年院に入ったことのある(凶悪な犯罪をした)元非行少年だと気づく人はおそらくいない。少年院にいたときよりもさらに丁寧な口調でしゃべる彼を見て、今日に至る経緯を想いただただ感動しました。
何度も挫折を味わいながら、それでも自分の人生を投げ出さず、変えられるものを変える挑戦を繰り返しての今。時折思い出す少年院でもらった教官達の言葉、そこで身につけた内省し書き出すことで思考を整理する術、出てから出会った刺激的な大人たち…。
そんな彼を支える多くの力のひとつに僕のツイートがあったのだという。
まだ匿名だった僕のアカウントを見つけ、間違いなく安部だと確信し、日々ツイートを見て「話したい」と思いながら機会を探していたのだとか。
少年院に入って最初にもらった日記のコメントが僕だったそうで…そこに書かれていた「自信?勇気?そんなものなくても自分を変えることはできるよ」みたいな言葉が反骨心につながったらしい。
と言っていた。
価値観や考え方をゆさぶるチャンスを常に探し続けていた僕にとって、こういう感想をもらえるのは本当に嬉しい。
法務教官は基本的に、教え子のその後に触れることができない仕事だ。それでも彼らの支えになれば…と思って #塀の中の教室 をはじめた。そのたった140文字のつぶやきが、本当に彼の力になっていたのだとしたら…
たった一人かもしれないけれど、僕の発信は報われたと思う。こういう未来を信じてやってきた。そういう奴がいるはずだと思ってやり続けてきた。
彼の今は、ほかでもない彼自身の力によって構成されている。僕はそれをほんの少し手助けしただけ。だけど、そのほんの少しすら得られずに人生を投げ出して再犯する者もいる。
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放デイのスタッフをしながら、わが子の非行に悩む保護者からの相談に応じたり、教員等への研修などを行っています。記事をご覧いただき、誠にありがとうございます。