バトルから退いたMCの気分。
1.選考会には出ない
友達のざるさんが、大きなイベントを仕掛けています。
コロナ前、Twitterの教育界隈をとってもにぎわしたwatcha。僕も2019.3の名古屋で登壇。現在の活動につながる第一歩を記させていただいた。
紆余曲折あってコロナより手前で終息し、世相の波に乗ってイベントはオンライン化。僕はそのおかげで今こうしていろんな仕事ができている。
このタイミングでざるさんが、改めてオフラインのイベントをぶち上げた。年末に九州で本番。これから登壇者を決める選考会が始まるらしい。
僕は出ない。
本番には何らかの形で参加するかもしれないけれど、選考会には出ないと決めている。これが去年だったら出ていたかもしれないけどね。今の僕は出ない。
2.僕が選考会に出ない理由
(1)今訴えたいものがない
今の僕には、選考会に出てまで訴えたいものがない。
なんに対しても自分の意見はあるし、昨今の公教育について思うこともある。求められればどんなことでも自分のスタンスは言語化できるけれど…
あえて挙手して前に出るほどの衝動を伴ったものはない。この状態で前に出て、いいものができるとは思えない。
それは「watcha 九州の選考会に出るほどの」って意味であって、僕が自分でやってるセミナーはじめ、最近出ている場所で言いたいことは、もちろんまだまだあるけれど。
(2)仲間と戦いたくない
選考会はきっと、ざるさんなりの「盛り上げ」なんだろうと思う。選考会という形ではあるけれど、そこに出てくるのはそれなりに想いのある人達で、選考会自体が、小さなwatchaとして成立する内容になるだろう。
あえて選考会とすることで、登壇者(本番の候補者)もそれを視聴するお客さんも当事者にしてしまおうという理屈。たぶん。
でも
だからこそ僕は出ない。
だって
出てくる人、大半が友達だもん。
未確定の人も含め、既知のものだけでもこれだけ友人が出てる。こいつらと僅かな席を争ってプレゼン合戦なんて俺はやりたくない。みんな応援してる。
(こんなことはざるさんだってわかってやってるだろうけど)教育やその周辺領域ですでにいろんなアクションを起こしてる彼ら。その若さと勢いから出てくる言葉に、魅力がないわけがない。
どれもまちがってなどあろうはずがなく、どれも社会に実装してほしい話になるだろう。
そんな中、年齢も経験も一回りちがう僕が選考会で戦う…?
勝てるとは思ってないが、やっちゃいかんだろ、それは。
みんながんばれ。
(3)今さら人に選考などされたくない
ぶっちゃけこれが一番の理由だ。
正直な話僕は、「選考」がきらいだ。
されるのもするのも。
それでも、去年の今頃の自分なら出たと思う。法務教官を辞めて民間人に戻り、自分が何者かを改めて世間に伝えなければならない立場だったから。
今もまぁ、たいして状況は変わらないけれど、放デイでも主戦力になり、こはけんではレギュラー講師になり、自分のセミナーも作ってる。まだまだ生み出したいものがたくさんある。できることもわかってきた。
このタイミングで、どこかの誰かに仲間と比較されながら優劣をつけられるなどまっぴらごめんだ。
そういう意味でぶっちゃけた話、今回の企画は好きじゃない。ざるさんが仕掛けてて、しかも教育イベントを仕掛けるのは最後だと言うから、見届けるために近くにいるだけで、イベントの形態自体は僕のスタンスとは真逆なものだと感じている。
要するに「たぎって」ない。
3.バトルから足を抜くラッパーの気分
先日エスタさんには「意外」と言われたが、僕はMCバトルが大好きだ。
数年前に東大で晋平太さんとトークセッションさせていただいたけれども、それよりはるか昔から晋平さんのことは知っていたし、この一年、放デイまでの通勤中に一番聴いてるのはMCバトル(フリースタイルのラップバトル)だ。
ず〜っとバトルを観ていると、時々「バトル引退」するラッパーたちが出てくる。晋平さんも、何度も引退を表明してはまた戻ってきてる。(誰であれ戻ってくるのも大歓迎)
ただ、ぶっちゃけた話、「バトル引退」の意味がわからなかった。
呼ばれて出ていけばイベント全体でも数時間〜丸一日で終わるそんなに時間的なコストのかからないものなのに、なぜ引退するのかと。
大抵のラッパーは楽曲制作やライブに専念する目的でバトルを引退してくようだが、別に両方やりゃいいじゃねぇかと。
でも今は、想像だけど少しわかる。
って気分になっちゃうんだ。
ライブや楽曲で直接お客さんに届けることに専念すると、言いたいこと言ってるだけなのに勝手に優劣つけられるのが嫌になるし、まして相手がリスペクトしてる仲間ならやりたくなんかなくなっちゃうんだ。
そういうことが、最近少しずつわかってきた。
それはきっと、僕が今、自分なりにやりたいことをやっているからなんだろうと思う。
4.最後に
今日こんな動画が公開されてた。
近年のHiphopブームの火付け役になった二人のバトルとその裏側。
彼らがこのバトルをしたのは、この二人で、この文脈でセッティングされたものだからだ。
僕が偉そうに彼ら側で語るのはあまりにも身の丈にあっていないことだと思うが、あえて書いておこうと思う。
盛り上げるために、比較対象としてではなく出ろというなら、僕はよろこんで出る。許された時間の中で自分のスタンスをきちんと表現し、その上で本戦に出る人たちのことをきちんとアゲる自信がある。出ることで盛り上がるのなら、できることはやる。
イチ候補者として仲間を蹴落としてまで出ようとは思わない。候補者としてのオファーは断る。でも、盛り上げ役ならよろこんでやる。
僕は、自分のことをまだまだだと思っている。いろんな意味で。でも、若手から見れば図抜けた経験値と現場力であることもわかってる。
出たら気をつかわせてしまう。
そんなことはやりたくない。
みんながんばれ。
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放デイのスタッフをしながら、わが子の非行に悩む保護者からの相談に応じたり、教員等への研修などを行っています。記事をご覧いただき、誠にありがとうございます。