放射線科と仲良くするために -レントゲン編-
はじめまして。
都内で放射線科医として働いているheinと申します。
このnoteは主に医学生や研修医の先生達の為にどうやったら放射線科といい仕事ができるようになるか?という事をまとめています。
なぜ書こうと思ったか?
研修医の先生達ならば放射線科の技師さんや、読影をしてくれる放射線科医に嫌な顔をされたことぐらいあるんじゃないでしょうか?
僕も研修医の時にはそういった思い出が沢山あります。そして放射線科医になって逆にどうして自分が怒られたかもわかるようになりました。
そういったことが世の中で減らせて、結果的に患者さんにいい医療を提供できれば嬉しいなという思いがあるからです。そして基本のレントゲンから始めることにしました。
僕自信がまだまだ未熟です。ご意見がある方は感想をよろしくお願いします。
レントゲンが見れるようになるまで
例えば夜の救急外来で働いていて患者さんの診断のため、レントゲンを撮ろうとした時、具体的にはどのような手順が行われるのでしょうか?
既に医師として働いている方なら想像するのは難しくないですね。電子カルテを立ち上げて、患者さんの診療画面を開き胸部レントゲンをオーダーする。そうすると看護師さんが技師さんに電話をしてくれて、待っていると画像が見れるようになる。
大体はこれで終わりですが、、、これかなり不親切です。
レントゲン室で撮るの?ポータブルなの?
学生の方はピンと来ないと思うのでまずはポータブルレントゲンとは何か?ということから始めます。
通常時の外来で比較的元気な人のレントゲンを撮るのであればレントゲン室に来ていただいてそこで撮影すれば充分です。しかし、状態が悪い方や様々な理由でレントゲン室に来れない方の場合は写真のようなポータブル撮影装置を使います。
入院中の病床や、外来の診察室に写真のような機械を運び入れることでどこでもレントゲンが撮れるという優れものです。ただし結構重い代物ですし撮影に制約もあります。あとぶっちゃけめんどくさいです。したがって何度も呼びつけると技師さんの機嫌を損ねます。
なので状態が比較的安定している方で移動がそこまで大変でない方ならレントゲン室での撮影をおすすめします。実際その方が綺麗な写真が撮れます。ポータブルを考えるとしたら状態が悪くて救急外来の診察室から外に出すのが怖い、挿管していて移動が大変等々の状況を加味しましょう。
多くの場合はレントゲン室で撮影するオーダーとポータブルで撮影するオーダーは別れていると思います。適切に使い分けてください。
そしてなるべくならレントゲン室をおすすめします。あと研修医の間ぐらいは患者さんの移送とか手伝ってもいいと思いますよ?
立位ってそれ無理じゃね?
胸部レントゲンを撮ることを考えてください。健康診断などでは当然ですが立って撮影していますね。
しかし全ての患者さんが立って撮影できるわけではありません。車椅子の人もいるでしょうし、寝たきりかもしれません。足の骨折をしている人かもしれません。
そういう時は立位で撮る代わりに、座位や臥位で撮影することになりますね。患者さんをちゃんと診察していればこれは判るはずの事です。車椅子の方に立位胸部レントゲンのオーダーを出す医者は、放射線科からすると不信感を覚えます。ちゃんと考えてオーダーしましょう。
私が研修医時代によくやっていた方法としてはオーダーのコメントに以下の文章を入れていました。
「できれば立位で、無理っぽかったら座位で、最悪臥位で」
この一言を入れておくと放射線の技師さんに「この人はADLが悪くて立てるか微妙です。なので適宜諦めつつもベストを尽くしてください」というメッセージが伝わります。技師さんもプロなので出来る限りの事をしてくれます。あんまり頻用しちゃ駄目だよ。
先生〜モニターのコード外していいですか〜?
救急外来で働いているときや、ICUで患者さんを担当しているとしばしば患者さんのバイタルを把握するためのモニターがついていますね。当然のことですが撮影に際してコードは異物としてレントゲン写真に映り込んでしまうので、可能な限り外したいです。しかしモニターのコードを放射線技師の方は勝手に外せません。また重症な方であればレントゲンを撮影する数分の間でもモニターを外したくないかもしれません。快く答えましょう。というか手伝いましょう。
感染、だめ、絶対
2020年新型コロナウイルスは猛威を奮っていますね。
もし技師さんが新型コロナウイルス患者さんのポータブル撮影に知らずに行ってしまったら?感染対策が不十分だったら?感染してしまったら?
コロナウイルスだけじゃありません。インフルエンザだって結核だってあります。そういった感染症が疑われるような症例の場合は事前にお知らせしましょう。これは他の検査でも言えることです。オーダーのコメント欄に「結核排菌中」とか「インフルエンザ陽性」といった情報をちょこっと書いておくことが親切という奴です。
何がみたい検査なの?
レントゲンを撮るタイミングは無数にあります。
肺炎を診断したい時でしょうか?経鼻胃管や挿管チューブの位置を確認したい時でしょうか?
前者であれば可能な限り肺野を広く正確に撮る必要がありますね。後者であれば留置したデバイスの先端位置が別れば、ぶっちゃけ及第点ではあります。こういった細かい情報も技師さんに伝えてあげると喜ばれます。オーダーにコメントしておいたり、直接伝えておくと良いでしょう。
まとめ
世の中なにごとも気遣いとコミュニケーションです。お世話になったことがある技師さんであればすれ違った時に挨拶をする。ちょっとした世間話もする。普段からコミュニケーションをとっておきましょう。そうしないと忙しい時に上手く動けなくなっちゃいます。
電子カルテにレントゲンのオーダーを入力したら是非自分で電話をかけてみましょう。
「10分後に大動脈解離疑いの人が来ます。ポータブルを救急室にお願いします。多分、造影CTも撮るので準備しといてください。」
「ICUで挿管後位置確認のポータブルお願いします。COVID-19の方です。」
些細なことですがオススメです。
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