家族のこと
2022年の夏、祖父の米寿祝いのため帰省しました。家族5人で、大正8年から続く、愛知県一宮市の懐石処「末木」さんに昼食に行ってきました。
冒頭、祖父のスピーチで泣きそうに。特別なことは言っていなかったと思う。すごくすごく、普通のことを言っていたと思う。だけど、「家族の支えがあったからここまでやってこれた」「ありがとう」を、家族を目の前にして、自分の言葉で伝えられるって、ものすごく素敵なことだなぁと思いました。
そして料亭に来てもマイペースすぎる我が家です。店員さんにやたら話しかける祖父と母、部屋の中を歩き回りそこかしこの襖を開けてみる父(やめてくれ)、動画を撮ろうとした瞬間に全員が料理に集中しだして無言で悲しむ弟・・・
帰宅後はお墓参りに行って、墓石に水をかけながら「あれ、そういえば何で水かけるんだっけ?暑いから?」(違います)。「あ、水が足にかかったごめん」「いいよ、むしろ暑いからもっとかけて」「もっと早く言ってよ、もう水終わったわ」(不謹慎)。
さらにお墓参り後にスイカと梨を食べて団らんした後、急に弟がバナナケーキを作り始め、それを手伝う母(まだ食べるのか)。
ただただ、普通で
ただただ、あたたかくて
圧倒的な、平和。
が、愛おしくて。またちょっと涙が出て、でもそのあとは寝落ちしてしまいました(そりゃあ、それだけ食べれば・・・)
「生まれる前に、家族を選んでくる」という話を聞いたことはありますか?信じる信じないや、実際どうかはいったん置いておいて。
『もし、わたしがこの家族を選んで生まれてきたとしたら』。
この平和で、食べ過ぎで、自由な我が家を選んで生まれてきたとしたら。わたしは一体何を得て、何を感じて、何をしようと企んできたのかな、と、夕食後のケーキタイム(まだ食べるのか)の前にふと考えてみたのだけど・・・
きっとわたしは優しくなるためにこの家族を選んできた。優しさで周りの人の力になるために、優しさで周りの人の痛みに気が付けるように、この家族を選んできたんだ、と今は思っています。
みほ