読書記録Vol.23『クスノキの番人』東野圭吾・著
久しぶりに
東野さんワールドに
どっぷりつかった
東野圭吾さんといえば
わたしが特にすきなのは
秘密
赤い指
白夜行
東野さんの本は
いい意味で無骨な感じがして
すごく『男性』が書いた
本だなと思う
コース料理のような
繊細さや華やかさではなく
素材の味だけで勝負できる
野性味とパンチの効いた
家庭料理のような印象
クスノキの番人も
まさに東野さんの直球って感じ
何冊も読んできて
いいように東野さんの手の上で転がされて
騙されて泣かされて(なんだか悪い人みたい。笑)
「こういう話だろうな」
「これはきっと伏線だな」
と思って注意しながら読み進めるのに
最後に必ず裏切られる。
しかも、とてもあたたかく裏切られる。
その裏切りの痛快さ
知ってしまったときの
「あぁ、そうだったの・・・」という
温かい緑茶をじっくり味わうような安心
生きていく上での心の源のようなもの
が、やっぱり家庭料理のように
あったかくてしみわたる
東野さんって
なんとなく閉塞しているように感じる
日本社会に
全力でエールを送っている気がする
もしかしたら
そんな生易しいものじゃないかも
どうにかこうにか
未来へ希望をつないで
世の中そんなに捨てたもんじゃない
と、包み込みながら
がつんと背中を押してくれて
東野さんご自身も
ずっと最前線で戦っていて
その母性と父性の両方に癒されるのかな?
特にこの「クスノキの番人」では
登場人物がそろいもそろって
最後にはみんな凛々しくてかっこいい
こんな風に生きられたらと願うほど。
そして思い知った。
自分の居場所など、探す必要はなかったのだと。
東野さん作品では
鍵になる「特殊な力」をめぐって
物語が進んでいくことが多いけれど
きっと最後は
人の想い。情念。想念。
そういったものの力強さを
描き続けていているのかなと思う
わたしは東野さんの作品から
そういうあたたかさや力強さのようなものを
受けとるために
騙されても泣かされても(笑)
東野さん作品を読むのだと思う
美保