【YMS】コロナ禍、イギリスで仕事を探す(後編)
前編のつづき
CVとカバーレターを準備せよ
無事NINoを取得できたので、次は履歴書に取り掛かる。履歴書は英語でCVと呼ばれているが、日本のように専用の記入用紙などはない。基本的にフォーマットは自由で、Wordなどで各々作る。内容はほぼ履歴書と同じで、住所や職歴、資格などを記入する。
日本の履歴書との大きな違いは、写真を貼付しないこと。年齢や性別、人種も書かない。そういった情報で雇用差別を生まないためだ。すごく理に適っていると思う。全部手書きが当たり前で、ちょっとでも書き損じたら何度も書き直すとか、少しでも良い印象を与えるためにお金をかけて写真を撮るとか、日本での履歴書経験が心底馬鹿らしくなる。
一方で、イギリスではCVと一緒にカバーレターを提出するのが一般的だ。雇用主に向けて、志望動機や自分がどんな人間かを紹介する手紙のようなものである。CVは基本情報だけで良い代わりに、ここで自分をアピールしないといけない。何ができるかとか、性格だとか、どんな職種を希望しているといったことだ。
カバーレターにも決まったフォーマットはないが、フォーマルな英語で、正しい文法を使う必要がある。特にネイティブでない人の場合は、ここである程度英語力を証明しなければならない。英語についてはじっくり推敲、添削すればいいのだが、問題はその内容である。私は自分がどんな人間かを言葉で表現するのが大の苦手だ。これがあるから就活は嫌いだ。
しかしこれを書かなければ先に進めない。語学学校の講習やネットに上がっていた他の人のカバーレターを参考に、いろいろと書いてみる。
面倒なのは、応募先によって少しずつ内容を変えないといけないこと。さすがに全部同じというわけにはいかない。試行錯誤しながらいろいろ試してみるしかない。下記は最終的に就職したレストランに提出したものだが、これのおかげで採用された訳ではないので、あくまで参考程度に載せておく。
ネットで応募してみる
語学学校のコースが終わったタイミングで、ちょうどロックダウンの緩和が始まった。イギリスに来て9カ月、ようやく本格的に仕事探しを始めることにした。
といっても、その時はまだ閉まっているお店が多かったので、まずはネットで探してみることにした。「job bristol」などで調べると、Indeedやらローカルの求人サイトが出てくる。気になる求人があれば、サイトを通じてCVとカバーレターを送り、応募することができる。
ロックダウン中はやはり求人は少なかった。その中でも募集していたのが、看護・介護系の医療職、スーパーの従業員、清掃員など。特にクリーナーの募集は常にあり、掃除は好きだし高い英語力も求められないだろうと思い、候補としていろいろ見ていた。
クリーナーの求人にもいろいろあり、オフィスビル、学校、商業施設、一般家庭など清掃場所は様々だ。しかし、週2日で1日2時間だけとか、車が必要だとか、場所がやたら遠いなど、なかなか自分に合う条件がなかった。
そうこうしているうちにロックダウンの緩和が進み、徐々に求人も増えていった。スーパー、レストラン、小売店など、とにかく良さそうなところにCVを送ってみるが、一向に返事は来ない。
イギリスではロックダウンの影響で大量の失業者が生まれている。1つの求人に対して相当な数の応募があったはずだ。有名なスーパーの求人なんかは、見つけてすぐ応募しようとしても、CVやらを準備している間に「この求人の募集は終了しました」となってしまった。
そんな感じで、一カ月ほど毎日ネットで求人をチェックする日々が続いた。チェックしていたのは求人サイトともう一つ、MixBという日本人向けのサイト。イギリス在住の日本人に向けて、求人だけでなく部屋探しや友達探し、ものを売ったり買ったりもできる掲示板サイトだ。
MixBは日本人向けなので、当然日本人を求めている求人ばかりだ。この国での私の一番の武器は、日本人であること。イギリス人に交じってローカルで仕事を探すよりはいくらか可能性がある。
MixBに載っているのはほとんどがロンドンの情報である。私は都会が苦手なので、ロンドンに行くつもりはない。その中でも、たまに上がってくるロンドン以外の場所で、日本人がやっているレストランの店員募集などをチェックする。どうしてもブリストルで仕事が見つからなかった時のための保険だ。
もう一つ狙っていたのが、ごく稀に出る翻訳などリモートでもできそうな仕事だ。経験者を対象にしたものがほとんどなのでかなり厳しいと思いつつもいくつか応募してみたが、全く駄目であった。
持つべきものは友達
そうこうしているうちに、夏が来た。友人の紹介で、B&Bでお手伝いをすることになったので、夏の間はそちらに専念することにした。しかし、こうしている間にも家賃は発生している。そろそろ本気でお金を稼がなくては。
B&Bの繁忙期が終わった9月、本腰を入れて就活しようと思った矢先、近所に住んでいる日本人の友達から連絡が来た。以前働いていた日本食レストランでウェイトレスを探しているが、興味はないかという。興味ありあり、おおありです!さっそくオーナーにCVを送り、面接をすることになった。
ここまで、応募しても箸にも棒にも掛からなかったので、面接の練習は全くしてこなかった。慌ててYoutubeなどでいろいろ参考にしながら軽く練習し、いざ面接へ。
知人の紹介ということもあり、面接というよりは顔合わせという感じだった。仕事の説明を受け、いつからどのくらい働けるかなどを確認し、じゃあ来週から来てくれと言われて、面接は終了。あっけなくもすんなりと、仕事をゲットできてしまった。
日本食レストランといってもオーナーはマレーシア人だ。働いているのはほとんどがアジア人。ただ日本人は私しかおらず、即採用されたのは日本人ということもあったのかもしれない。ウェイトレスなのでお客さんとは話すし、英語力の向上にはもってこいの仕事である。
コロナ禍でたくさんの人が仕事が見つからず苦労している中、職を得られたのは本当に幸運だったと思う。結局は、知り合いの紹介が一番手っ取り早く確実だということだ。
以上が私のイギリスでの仕事探し体験である。途中持ち帰りとデリバリーだけの営業になったりしつつ、今もそのレストランで働いている。年末から続いていたロックダウンが、ついに今週から開けた。ロックダウン中とのギャップに疲れ気味だが、まだまだあちこち行きたいと思っているので、旅費を稼ぐためにも気張って働こうと思う。