【YMS】1年間でどれだけ英語が話せるようになったのか
「帰ってくる頃には英語ペラペラなってるんちゃう?」
ワーホリで2年間イギリスに行く、と伝えた時に浴びるほど言われた言葉だ。あれから早くも1年が経つ。果たして私は英語が喋れるようになったのか。
結論から書くと、「余裕で日常会話ができるレベル」にはなったと思う。言われた言葉を全部完璧に聞きとれてはいないが、何を言っているかは把握できる。「あ、いまのちゃんと伝わってないな」と思うこともあるが、言いたいことをサッと口にできるようになってきた。
8月頃、立て続けに初対面のイギリス人と話をする機会があった。私が「イギリスに来てまだ10カ月だ」というと、すごく驚いて「英語上手だね!」と言ってくれた。それも1人ではなく2,3人がだ。急に「自分の英語がちゃんと通じてる」という実感がわき、鼻高々になった。
これなら仕事も余裕だろうと、9月から日本食レストランで働き始めた。日本食と言っても日本人は私だけだ。当然、他のスタッフともお客さんとも英語でやりとりする。わりと自信があったのだが、やっぱり仕事となると焦りやプレッシャーを感じてしまって、なんだかうまく話せない。特に今はマスクをしているので、より一層聞き取りにくいし、こっちの言葉も聞き取ってもらいづらい。膨らんだ自尊心がちょっとへこんだ。
それでも仕事に支障はない。一度でわからなくても聞き直せばだいたい理解できるし、多少言葉に詰まっても必要なことは伝えられている。なんにせよ、英語力が鍛えられるのは間違いない。まだお客さんに何か言われたときに気の利いたことは言えないが、近いうちにもっとさらっといろんな返しができるようになりたい。
というのがいまの私の英語力だが、もともと英語が得意だったのかというと、そんなことはない。渡英前は全く自信がなくて、「イヤ英語全然話せないですよ、ハハハ」という感じだった。直前に受けたTOEICの点数を曝しておくと、585点だった。まあ平均点だ。
ただ、イギリスに到着した当初から、送迎に来てくれたおじさんともホストマザーとも何となく会話できていた。つまり「全然」ではなかったようだ。最初は「簡単な受け答えができるレベル」だったと思う。
それからすぐ語学学校に通い始めた。基本的には学生時代に一度習ったはずの内容がほとんどだったので、特に難しいとかわけわからん、ということはなかった。
だからと言って、すぐ英語が話せるようになった訳ではない。「話す」というのが私にとっては最も難しいことだった。どれほど文法を正しく理解していても、会話になると途端にどれを使えば良いかわからなくなる。たくさん単語を知っていても、言いたいときにパッと出てこない。
これに関しては、性格とかコミュニケーション能力によって個人差があるんだろうなと思う。人と話すのが大好き、たくさん人とお喋りしたい、というタイプの人は、英語が全然ダメでも勢いでコミュニケーションが取れてしまう。そういう人は、文法が間違っていようが発音がおかしかろうが全く気にしないようだ。
話すよりも聞く側にまわることが多い、なんならできるだけ喋りたくない、コミュニケーション回避タイプの私には、この「間違っていても気にせず話す」というのがポイントだった。実際の会話ではだれも文法なんか気にしてないし、ちょっと間違っていてもたいてい理解してくれる。試験や教室では「正しい英語」を話さないといけないが、実生活ではそんなこと気にせずどんどん話しなさい、と先生からアドバイスをもらい、何でもとにかく言ってみる、伝えようとしてみる、というのを意識するようになった。
語学学校の友達とのおしゃべりは良い練習になった。お互いちゃんとした英語を喋れないからこそ、変な英語でも伝わるし、間違っても気にせずにいられる。ただ、慣れてくると相手の不自然な英語が気になったり、ネイティブは使わないような言い回しが身についてしまっている感じがした。
なので、現地の人と話す機会も増やすことにした。すると今度はリスニングという壁がたちふさがってきた。難しいことは何も言ってないのだが、彼らが「普通」の速さで話しだすと突然、全く別の言語のように聞こえてしまうのだ。その人の声やアクセントによって全然聞き取れない瞬間は今でもけっこうある。
リスニング力を鍛えるにはとにかく耳を慣らすしかない。個人的に私は動画をじっと見るのが苦手で、普段テレビなど見ないのだけれど、ロックダウンが始まって時間に余裕ができたのもあり、こっちのニュースやドラマを見てみることにした。はじめは「ちょっと待ってくれよ」と画面に向かってツッコんでしまうくらい何も理解できなかったのだが、半年ほど経って最近は、字幕なしでもなんとなく、何の話をしているのかわかるようになってきた。でもまだまだテレビの英語はレベルが高いなと思う。
9カ月間申し込んでいた語学学校のコースは7月に終了したのだが、いまでも毎日少しずつ勉強を続けている。ケンブリッジ検定を受けるためだ。かなりハイレベルの試験なのだが、これに合格したら有効期限なしの「英語ペラペラ」の証明書をゲットできる。そしたら胸を張って帰れるかな。
いま思い返せば、3カ月くらいの時点で割と話せるようにはなっていたと思う。その頃出会ったイギリス在住の日本人に「ナチュラルに英語を話すからびっくりした」と言ってもらったことを覚えている。ロックダウンがなければ、仕事ももっと早い段階で始められていただろう。学生時代、英会話に力を入れて勉強していたので、何年も経ってその蓄積が役に立っている。昔の努力をいまの自分が有効利用できていると思うと嬉しい。あの頃の自分よ、よくやった。