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2024/05/14『好きっていいなよ。』

好きだったら好きだと言っていいんだよね。
頭ではわかっている。何の問題もない。頭ではわかっている。
でも、いつも考えてしまう。
好きならそこそこ知識がなければダメなんじゃないの?
そこそこ好きになってからの時間が経っていなければいけないんじゃなの?
この2つの"そこそこ"がクリアできないとにわかだと思われるんじゃないの?

少し前に若い女の子と話をする機会があった。
日常会話では全く接点が見つけることが出来なさそうな若い陽キャの女の子だ。
「友達の結婚式で友達とダンスを踊ったんです〜」と(たぶん)K-POPの女の子グループをコピーしたダンスを10人ほどの華やかな女の子たちが踊る動画を見せてもらった。ただただ眩しかった。ザ・自己肯定感の集まり。
私が頻繁に出席していた頃の結婚式は友達の余興で何を踊っていたかな?えっ、踊ってなかった?歌ってた?それさえも思い出せないくらい遠い昔の華やかな場所…
まぁ、そんな感じの可愛くて明るくて華やかな女の子だ。ちなみに留学経験あり。別世界の生き物かと思うくらい天真爛漫で、ここまで来たら羨ましさの遥か向こう側だ。
で、同席していた私含め年上連は普段接することのない人種の彼女に興味津々。会話の糸口を探って「最近どんなことに興味があるの?」という私のお見合いパーティー初心者のような問いに「お笑いです〜好きな芸人さんがいてぇ〜」と。
お笑い??
だったら私も少しわかるかも!
でも地下芸人や売り出し中のマニアックな芸人さんだったらわからないかしら?
意外と劇場に足を運んでいたりして…
私、テレビの知識しかないしなぁ…
数秒間で頭の中をいろんな思いがぐるぐるしたけど聞いてみた。
「推しの芸人さんは誰なの?」
「コットンキョンですっ!」
"素っ頓狂"のイントネーションでにこやかに答えてくれた。
「コットンキョン…コットンキョン…あぁー、コットンのきょん!?」
しばらくして年上連の疑問が解ける。
周りの戸惑いも気づかず、彼女はひとこと。
「あぁ、そういう名前なんですか?ニコリ」

そう、この程度でもいいのだ。
一番好きな芸人さんの名前がわからなくても彼女はお笑いが好きと言っていいのだ。
おそらくSNSのショート動画か何かで見かけて面白かったのだろう。
だから今はお笑いが好き。いいじゃないか、それで。

好きなら広く深い知識がなきゃ。
好きになってから何年経つの?
そんなこと、どうでもいいじゃん。
さっき見かけて好きかも〜と思った、明日はわからないけど。
それでいいんだな、いいんだよ、そっちの方が楽しいよ、好きよ、でもね、たぶん、きっと…

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