2024/08/29『しそびれる』
帰省したら「よく使ってるなぁ」と実感する言葉、
私のベストテン第一位は『〇〇しそびれる』だ。
「卒業後仕事が無くて地元に帰りそびれました」
「縁遠くて結婚しそびれています」
よくよく考えたら、地元にいる時に限らずこんなことよく言ってるなぁと思う。
私の人生そんなにいろんなことをしそびれてるの?
いや、もちろんしそびれていることはあるけど、上の2つについては確信犯だ。
でも、そう言わなきゃ角が立つというか、相手はその返しを予定してるでしょ?ていうか、そもそもこの答えにそんなに興味ないでしょ?だったら一番丸く収まる答えがいいでしょ?
で、使ってしまう「しそびれた」。
ヘラヘラオドオドしながら思ってもいない言葉を吐く、そう、私はしそびれピエロ。
そもそもそもそも、人はある程度大人になると自分がいかに幸せかということを人に言わなくなる。
この卑下する感じ、言い換えれば奥ゆかしさとも言えるわけで日本人の美徳の一つかもしれない。
かもしれないけど、欧米のように「I am happy!」と言わないまでも、「私は今満たされています」「充足しています」ということを嫌味なく伝えることは出来ないものか。
確かアラサーと呼ばれる世代だった頃、仲の良い友達が結婚をした。
盛大な式は挙げず衣装を着て写真を撮って親族で食事会をしたとのこと。その時の写真をハガキにして送ってくれたものには、満面の笑みの新郎新婦の横に「とても幸せです」というメッセージが添えられていた。見た瞬間、心がぽかぽか温かくなるような、親友の着せられた感満載のドレス姿にニヤニヤしてしまうような、何とも幸せな気分になるハガキだった。
その数日後、別の共通の友達に会った時そのハガキの話になった。その友達はまた別の友達にそのハガキを見せてもらったが「とても幸せです」の部分を2人で声を揃えて読んで笑っちゃった〜と明らかにバカにしたような共感を私に求めてきた。普通は幸せだなんて書かないと言うのだ。
うーん、結婚報告だから「ご指導ご鞭撻〜」的な?「今後ともよろしく〜」的な?、その方がよかったのかなぁ。私は本当にこちらまで幸せになるハガキだったんだけどなぁ。
ただひとつ言えることは、その友達には送る必要なかったねってことくらい。それ以外は何であんなにバカにしたのか、いまだにわからない。
話がそれてしまったけれど、大人になってから自分の環境に満足していると言うのは何で難しいんだろう。欲を言えばキリがないけど、そこそこ生活が出来る収入があって、その収入を得るための仕事が出来るくらいは健康で、困ったら弱音を吐ける友達がいる。充分じゃないかと思う。
そんなことを心の中で思いながら、また「〜しそびれちゃって〜」とあまり興味のない相手の環境を羨ましがる振りをするのだろう。とんだピエロだけど、こんなことくらいで円滑に回るならそれでいっかと思ったりして。
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