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2024/07/08『あんのこと』

「こんな親がいるなんて信じられない」
そんな風に思う私は、間違いなく幸せなんだ、間違いなく…

映画「あんのこと」を観た。
最初に出る"事実に基づいたストーリー"という文字に少しだけ覚悟を決める。

映画「あんのこと」

映画は静かに静かに進んでいく。
起きることは犯罪絡みの事件であったり親からのDVだったりセンセーショナルなものばかりなのに、静かに日常に織り込まれていくことに不安な気持ちが押し寄せてくる。
こんな人生もある。
そんな風に客観的に眺めるにはリアルすぎる。

親は子どもに無償の愛を捧げる。
それが当たり前のことではないことを頭ではわかっている。わかっているけど、自分に置き換えて考えられるほど私の想像力は逞しくはないようで、スクリーンに映る親子のやりとりを遠い世界の出来事のように感じてしまう。もしかしたら向かいのマンションの一室に同じ光景があるかもしれないのに。

たぶん街ですれ違う人の中には杏ちゃんと同じ虚ろな表情の人もいて、私はそのことに気づかず生きているんだなぁ。私もいつ同じ表情になるかわからないのに、自分の生活圏にはこんな少女はいないと思って暮らしている。なんて傲慢なんだろう。なんて鈍感なんだろう。

河合優実ちゃん、この映画で一体どれくらい賞を取るんだろう。

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