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経済成長の実現には、何が必要なのでしょう
日経新聞の経済教室で月1回に掲載される「エコノミクストレンド」、今日は小林慶一郎慶應大学教授が書かれた「成長実現には何が必要か」という論評です。
結論として、経済成長の実現には大事、と書かれているのは、政府・企業による資本投入・投資とされています。
というのも、経済規模を示す「国内総生産(GDP)が増える」ということは、
・労働投入
・資本投入
・TFP Total Factor Productivity 「全要素生産性」
のどれかが継続的に増える続けることを意味するからです。
ここで、TFPとは、資本や労働といった量的な生産要素以外の質的な成長要因のことを指します。様々な要素を含むので難しい意味合いではありますが、具体的には、技術進歩や生産の効率化、経営の質、技術的なイノベーションなどが挙げられます。
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このうち、労働投入は日本においては人口減少社会であるため、国内だけで賄うのであれば、投入量は減っていくことが間違いありません。
また、TFPは米国よりも2割ほど低い水準ですが、欧米諸国と比べて格別に低い数値ではないようです。
他方、問題が大きいのは資本投入の部分、というのが本論考で論じられている内容です。
なお、資本投入とは、ここでは、国内の設備投資として書かれています。
現在、企業の設備投資は減少し、それよりも貯蓄を増やしていく体質になっているということです。
ただ、これは本論評で初めて言われ始めたことではなく、数十年前くらいから様々な方が述べられてきたことかと思います。
この企業の投資不足が原因で経済成長ができていないのであれば、逆に考えれば、成長を実現するためには、企業の投資を増やすことが重要になるはずです。
そこで必要になるのが政府の政策ですね。
どのような政策なら、企業の投資を中長期的に増やせるのか、ということで小林先生が書かれているのが以下の2つの支援です。
・補助金による投資支援
・公教育や大学・大学院への研究支援
そして、さらに企業の投資を減少させる要因の一つとして、企業を取り巻く環境(政策や制度の不確実性)の悪化についても触れられています。
そうした不確実性には、財政や社会保障のような経済に関連するものだけではなく、政治的なものもあります。
例えば、トランプ米大統領の就任以来、世論を様々に騒がせていますが、最近はトランプ大統領の関税政策が世界貿易を脅かしている、との懸念も上がってきています。
そうした政治のありかたにも考慮しつつ、どのような社会を築きながら、より良い成長を築くことができるのか、そうした難問に向き合わなければいけないため、私たちの企業人生というのは常に難しい状況だと思います。
でもそこで暗くなったり落ち込んだりせずに、自分たちに何ができるのか、を常に考え、行動していきたいですね。