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名目GDP初の600兆円超え
日本の名目GDPが600兆円を超えました。
GDPは、Gross Domestic Productの略で、「国内総生産」、国内で生産されたモノやサービスの付加価値の合計です。
簡単に言えば、売上-原価=付加価値ですから、企業でいうところの粗利益みたいなモノの合計ですね。
このGDPが2024年の速報値では、前年比2.9%増の609兆円2887億円で過去最高となりました。
2015年に当時の安倍晋三首相が2020年頃にGDP600兆円を達成することを目標に掲げていましたので、それがやっと実現した形です。
1992年にGDP500兆円を超えて以来、600兆円へは届かずに足踏み状態でのGDP上昇が続いていましたが、今回の数字は一つの節目となりますね。
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とこで、このGDPには、「名目GDP」と「実質GDP」の2つがあります。
「名目GDP」とは、GDPの数値をその時の市場価格で評価したもの。物価変動の影響を受けたもの
国内の付加価値を単純に合計したモノです。
実質GDPは、物価変動の影響を差し引いたもの、ある基準となる都市の価格水準を基準として、物価変動要因が取り除かれて推計されています。
名目GDPから物価変動の影響を取り除いて一国内の総生産額を出したものを実質GDPと呼びます。
実質GDPが前年度と比べてどの程度上昇したのかを示したものが経済成長率です。
今回の600兆円突破、というのは名目値です。
実質GDPで考えるために物価変動を除いた数字を見ると、557兆円4,064円で、昨年度比ではほぼ横ばいでした。
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今回の伸びの牽引役となったのは個人消費に次ぐ民需の柱でもある設備投資の拡大でした。
国内での新工場の建設といった半導体関連の投資が活発になったことに加え、DX(デジタルトランスフォーメーション)関連の投資も堅調に伸びたようです。
他方、個人消費には先行きが不安でもあり、様々なモノやサービスの値上がりにより、名目の購入額が増えても家計が実際に購入する数量自体は増えていない、という状況もあるようです。
企業が賃上げを進めている傾向はありますが、物価高の影響で家系の購買力は低下しています。
こうした議論の中には、そもそもGDPを増やすべきか否か、という問題もあるかと思います。
経済成長することだけが日本の進むべき方向なのか、日本は何を目指すべきなのか、といった議論です。
様々な課題を抱えながらのGDPの大台突破ではありますが、少しでも良い未来を創るために、一人一人が努力していきたいものですね。