「組織の未来はエンゲージメントで決まる」から学ぶ事
最近「働き方改革」に世の中の人がより一層敏感になっているのではないかなと思い始めました。
つい最近なんかはZOZOの田端さんが非正規雇用の処遇について、TwitterやらAbemaで議論していたり、ZOZO前澤さんが「月に行く!」ってなったら「社員の給料を〜」と言う人が多かったり。働くをテーマに人々の反応が多くなってきていると思います。
その中で個人的には、「働く人の意思が置き去りにされてるな〜」と思ったりで、エンゲージメントという観点から現代の会社のあり方を考えてました。
いろいろ調べる中でアトラエの代表の著書が発売されたという事で読んでみました。今回は学びや気付きをnoteとして残したいと思います。
概要
書籍ではざっくり以下の内容が述べられています。
・エンゲージメントとはなにか?
・なぜエンゲージメントが重要か
・エンゲージメントを高めるキードライバー
・これからの組織とエンゲージメント
これらを今の日本のエンゲージメントにおける認識や、アトラエ社での取り組み、他企業の取り組みを踏まえ展開されていました。
(*結構ざっくりとまとめてるので詳細は本をご確認ください。)
より詳しく知りたい方はぜひ手にとってみてください!
エンゲージメントというざっくりとした概念を紐解く
世の中の働き方が多様になり、1社で定年退職までといった概念も今の若者にとっては当たり前ではなくなる中で、人材の流動性が高まり採用担当者は採用や離職について頭を悩ます事も増えてきたのではないかと思います。
そういった時代の中でエンゲージメントという概念が注目を浴びてきました。最近リンクアンドモチベーション社のモチベーションクラウドやアトラエ社のwevoxを先頭に「エンゲージメント経営」といったワードを見かける事も増えてきました。
しかし、エンゲージメントって具体的には何を意味しますか?と聞かれて答えられる事はきっと少ないと思います。
書籍ではコンサルティング会社のウイルス・タワーズワトソンによる定義から以下を紹介しています。
従業員の一人ひとりが企業の掲げる戦略・目標を適切に理解し、自発的に自分の力を発揮する貢献意欲
そしてエンゲージメントを更に分解した時に、以下の2つになるというのは新たな気付きでした。
・従業員エンゲージメント・・・組織に対する自発的な貢献意欲
・ワークエンゲージメント・・・「仕事内容」と個々の社員の関わり合い
営業の仕事は好きだけど(ワークエンゲージメント)、会社は嫌い(従業員エンゲージメント)といった具合です。
一概にエンゲージメントが低いといっても、何に対するエンゲージメントが低いのかはしっかり考えた方が良いと気付かされました。
エンゲージメントが求められる時代背景
ではなぜエンゲージメントが求められる時代となってきたのか。
先程人材の流動性について軽く触れましたが、書籍では
①人材の流動化が進んだ事
②クリエイティビティが求められるようになった事
が挙げられています。
①についてはおおよそ検討がつくでしょう。フリーランスやインスタグラマー、ユーチューバーなど様々な働き方が生まれましたし、転職は以前に比べてハードルは下がってきています。
もはや終身雇用といった概念はなくなりつつある中で、自社に優秀な人材を引き止めたいからこそエンゲージメントが求められているのでしょう。
②は新しい気付きでした。今の時代、変化が激しく数年で世の中は変わっていきます。Facebookが主流になったと思えば、もう若者はFacebookを使っていないなどと・・・
「こうすれば上手くいく」といった、正解が無いからこそ、ゼロからイチを生み出すクリエイティビティが求められるようになりました。だからこそエンゲージメントが求められると。
嫌いなものについて「ああしたらいい、こうしたら面白くなる」などといった発想は生まれないでしょう。
しかし好きなものであれば「こうしたら面白いよね、もっとこうしたいよね!」といった自発的なアイデアが生まれてきます。
そういったクリエイティビティを発揮してもらうためには、自社に対するエンゲージメントが求められるわけです。
組織の形を変えればエンゲージメントが変わるわけではない
ヒエラルキー型ではなくホラクラシー型組織を。トップダウンではなくボトムアップを。最近ではティール型組織なんてのが話題を集めたと思います。
多くの書籍では、ボトムアップできる組織が良い、ホラクラシー型組織にすれば1人1人の帰属意識が高まるというのを見かけます。
この書籍で新たな気付きとなったのは、エンゲージメントの強弱は組織形態と相関性が無いという指摘です。
ヒエラルキーでもエンゲージメントが高い会社はあるし、ホラクラシーでもエンゲージメントが低い会社がある。
では組織形態はどう決めるべきか、
その時代に応じて自社のビジョンに合った適切な組織構造を選択すること。
そしてそこには環境・業務・人材の3つのファクターが関係する
と述べています。
自社を取り巻く環境はどのような特徴を持つのか、自社における業務はどのような特徴を持つのか、そして求める人材の特徴はどのようなものか。
これらを適切に見極めた上で組織形態を取ることが、エンゲージメントを考慮する以前のステップです。
エンゲージメントってそんな大掛かりなものではない
自社のエンゲージメントを測定してみましょう!となるとなんか大掛かりのものにも聞こえますよね。ただエンゲージメントは手軽に測れるものなのだなとも書籍を通じて実感します。
社員数人に「あなたの親しい友人に自社をおすすめしたいと思いますか?」とヒアリングをしていけば、簡単に測定できます。10段階の評価で分けた時に、高評価であればエンゲージメントは高いと考えられますし、低ければ何かしら問題があるのでしょう。
書籍でも指摘されていますが、もちろんどこに原因がありその評価になっているかはこれだけではわかりません。数値が出されるものには必ず根拠が伴います。だからこそ昨今エンゲージメントを測定する、wevoxやモチベーションクラウドは脚光を浴び始めているのではないでしょうか。
ただツールを使えば組織が自然と変わってくれるわけでもないので、まずは手軽にヒアリングして、エンゲージメントの重要度を感じてきたらサービスを使っていくのが良さそうです。
エンゲージメント経営を実践する組織
ここについてはぜひ書籍を手にとってみてください。
wevoxに組み込まれる評価指標とそれらに基づく組織改善の事例が複数社のインタビューといった形で載せられています。
どのように課題を認識し、どのような施策を取ったか具体的イメージが湧くと思います。
注意しなければいけない事として、この本自体に具体的な成功の仕方は記載されていない点です。アマゾンのレビューで酷評もありますが、働く人それぞれ価値観が違うように、会社の状況もそれぞれ違うと思います。会社によってエンゲージメントの改善の仕方や落とし穴はそれぞれきっと違うでしょう。
ちなみに以下の書籍も中小企業の経営から見る働きがいをテーマに展開されていて面白いです。
エンゲージメントが高いことでのメリット
やはり会社経営はメリットがなければ動かないものでしょう。
書籍ではエンゲージメントと業績の相関性や離職率との相関性が挙げられています。
エンゲージメントが高ければ、業績が上がったり離職率が低くなったりするでしょう。
個人的には以下もメリットだと考えています。(データに基づいているわけではないので、あくまで推測です。)
・ステップアップとして転職した人が戻ってくる可能性が高い(企業が伸びていれば)
・社員紹介によるリファラル採用が上手くいきやすい
・エージェントなどが味方になりやすい
最後の部分については簡単に説明します。私は前職派遣会社の営業を務めておりました。その経験からしてエンゲージメントが高い会社は、エージェントからも好かれやすと思います。
詳しくはキャスターCOOのnoteが参考になると思います!
営業担当も人間です。人の人生を左右させる転職や就職において、やはり入社したあとに後悔はしてほしくありません。だからこそ、(求職者が求める要件を満たした)似た会社が2つあった際に、求職者に優先して紹介するのはエンゲージメントが高い会社だと思います。(ここでいうエンゲージメントの根拠は、働いている人からの評価を元に考えています。)
最後に・・・何のためのエンゲージメントなのか
ここからは読んでいて感じことなので、もし興味がある方は読んでいただけたら嬉しいです!
一生働きたい職場のつくり方で、和歌山の酒造メーカーのビジョンを示すといった改革事例で2000人もの若者の新卒採用応募があったと記述されています。そしてその事例の中で興味深いエピソードがあったので一部引用させてもらいます。(*文字数の都合上省略して説明します。)
その酒造メーカーの専務は、2000人もの応募となるまでに至りつつも、ゆくゆくは年収1000万を提示できるくらいに会社を成長させたいという思いを抱いていたそうです。しかし新卒入社の社員から「1000万も要りません。600万あれば十分です。残りの400万は誰か他の人がもらった方がいいです」という言葉を受け、彼らは高い給与を求めているのではなく、ビジョンに共鳴し、ものづくりの喜びや醍醐味を感じたいから入社しているのだと気付かされたそうです。
この事からエンゲージメントの先にあるものを考えさせられます。
もちろんビジネスである以上、売上だったり転職率が低くなるだったりビジネス上のメリットとしてエンゲージメントを考える事もあるでしょう。
会社は人で成り立ち、人が働いてこそ会社が成り立っていると思います。人生の大半の時間を「働くこと」に費やすでしょう。
だからこそ、「楽しく働きたい」と個人は思うでしょうし、会社としても「楽しく働いてもらう」方がきっと良い影響をもたらすと思います。
エンゲージメントの先は、常に働くひとのためにあると思っています。
今の時代、そしてこれからの時代、組織の属さなくても生きていけるようになると思います。フリーランスやユーチューバーやインスタグラマーのような働き方も出てきています。
もしかしたらゆくゆくは、ロボットが全部生産活動をしてくれて、働かなくても生きていける時代になるかもしれません。
もし本当にそのような時代が訪れたのであれば、「働かなくていい時代に、この会社で働きたい」と思える事は非常に素敵な事だと思っています。
(ゼク◯ィの広告っぽいですね...)
最近はTwitterで社畜であったり会社にとらわれないフリーランスこそが良いというような投稿も見かけます。
別にフリーランスであろうが、会社員であろうが、そこに「意思」を持って働いているのであれば素敵な事だと私は思います。
「If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together. 」
早く行きたければ、ひとりで行け。
遠くまで行きたければ、みんなで行け。
これはアフリカのことわざです。会社員の面白さはきっとこの中にあるのかなと思っています。
そして最後に自分の大好きな漫画「ジャイアントキリング」から以下を抜粋します!
全ては「楽しむ」ことから始まると思います。だからこそエンゲージメントは大切であり、今後より一層注目されていくのではないでしょうか!
まとめ
・人材の流動性が高まった事、クリエイティビティが求められる時代となりエンゲージメントが重視されている。
・エンゲージメントには従業員エンゲージメントとワークエンゲージメントが存在する。
・組織形態を変える事がエンゲージメントにつながるわけではない。
・エンゲージメントを高める事は、多くのメリットにつながる
・楽しむことが大切!だからこそエンゲージメントが大切!(個人的な見解です)
最後まで読んで頂いた方、拙い文章でしたが読んでいただきありがとうございます!
今まで組織開発系で読んだ本をご紹介します!どれもおもしろい本なので読んでみてください!