親指からの手紙
今、僕がつまんでいるものはシャカシャカと音を鳴らす。
僕はちょっと水分不足で、シャカシャカと音を鳴らすビニール袋はいつも以上に僕に擦り付けられては、さらにシャカシャカと音を鳴らす。牛乳パックと触れ合う。玉ねぎの萎れかけた皮と触れ合う。今度は土が少しついているじゃがいもだ。にんじんからも土を感じる。お肉を包むプラスチックと触れる。「今日はカレーかな。シチューかな。肉じゃがかもしれない。美味しいんだろうな。」
ガッタンゴットンと音がする。ビッという音がたくさん聞こえる。僕は切符をつまんでいる。一瞬僕から離れたかと思うと、またすぐ僕は切符と再会だ。「また会ったね、切符くん。さっきはにんじんの土をつけられたんだ。君にもつけてしまっていたらごめんね。」
冷たい金属をつまむ。今日は冷えるから鍵と触れ合う僕の顔はヒリヒリする。「君はいいよね。いつもカバンやポケットの中で暖かいところにいられるものね。だけど、夏はきっと暑いよね。君は暑がり屋さんかな、それとも寒がり屋さんかな。」
「やあ、こんにちは。僕の相棒。僕らはいつも水に打たれながら会うね。いつかは君の顔もはっきりみてみたいな。今日もたくさんのものをつまんだね。君は何をつまんだの。僕はね、それはもうたくさんのものをつまんだよ。これが僕のお仕事さ。」
カタカタと光を浴びて僕の友達が音を奏で始める。「小指くん。君は今一番最後の決定権を持っているんだね。大きなキーを君は誇らしく押すよね。いつも僕らは離れているけど、僕はカタカタと音を立てて誇らしげにエンターキーを押す君に実は憧れているんだ。ちょっとの間、僕はお休みできるんだよ。君のおかげでね。」
僕はね、きっと君たちの中で一番の働き者かもしれない。そして、一番に彼のことを知っているんだ。ほら、僕のご主人がもっと小さくて、僕たちも小さかった頃のことだよ。彼はよく僕を温かくて、ちょっとぬるぬるした暗くて大きい洞窟の中に入れては、力一杯僕のことを吸っていたんだ。僕が誇らしいのはね、一番小さい時から今まで彼のことを君たちよりも知っていて、助けていることなんだ。
これからもよろしくね。