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頑張らなくていい
皆さんこんばんは、今日も元気に過ごせましたか?あしたも一緒に頑張って行きましょう。
さて今日は「頑張らなくていい」についてお話ししましょう。
この前、器械出しをしていて執刀前に器械の個数があっているかカウントしたり、オペが始まるようにしていた時に
「頑張らなくていいんです、頑張らなくていい」
という発言が聞こえました。
これは麻酔科の医師が言ってた言葉でした。
硬膜外麻酔が終わり、いよいよ麻酔導入する前に、患者さんがおそらく緊張して疲れちゃったと言ったニュアンスの発言をしたんだと思います。
その時、麻酔科の医師が上の言葉を言っていました。
皆さん患者さんや困っている人、これから何かをしようとしている人にどのような言葉をかけますか?
「頑張ろう」「頑張って」って言ってませんか?
そもそも頑張るとはどういう意味なのでしょうか?
広辞苑には頑張るは当て字であり、我を張るの転であると書いてあります。意味としては我意を張り通す、どこまでも忍耐して努力する、ある場所を閉めて動かないとなっています。
また、頑張るは目上の人にいうのは好ましくないというのを昔、日本人の知らない日本語という漫画で見た覚えがあります。そこで、目上の人に頑張ってということを伝えたい時には「お疲れの出ませんようになさってください」という風に言うのが適切というのを見ました。
それ以来、僕はそもそも目上の人には頑張ってくださいという言葉を使わないようにしています。もちろん言ってしまうこともあるんですけどね。
そして、僕は患者さんに頑張ってというのが怖いのです。
なぜなら、患者さんは今まで様々な治療を頑張ってきているかもしれないのです。もしかしたら、化学療法や放射線療法をして手術に望んでいるかもしれません。化学療法などは様々な副作用が出てくることは有名なことです。それに耐えて治療してきたのです。
そんな患者さんに頑張れと言って、もし患者さんが「今までも治療を頑張ってきてこれ以上何を頑張ればいいんだ」と思って、僕は怒られたり、協力的でなくなってしまうかもしれません。そもそも患者さんは僕よりお年を召していて、人生の大先輩なので、そもそも敬語から見ると頑張れという言葉は不適切ですし、かと言ってお疲れの出ませんようにというのも堅苦しくて言えないのです。
こんな色々なことを考えてしまい、"頑張れ"という言葉を使えないんですね。
こんなに考えすぎないほうがいいのかもしれません。もっとフランクに使ってしまっていいのかもしれない。まだ経験の浅い僕にはなかなか判断が難しいところなのです。
ここで、元の話に戻りますが、患者さんに「頑張らなくていい」伝えるのは適切な対応なのでしょうか?
これも僕にとっては非常に難しい。
村川ら(2011)は"我が国における術前不安の素因と影響要因および看護援助に関する文献考察"というもので、術前の患者さんが不安に感じることをまとめています。
例として、手術は成功するのか、死への恐怖、術後の疼痛、家庭や社会生活についての不安、経済的不安などが挙げられています。
このような不安を解消することは非常に重要な援助であります。
きっと「頑張らなくていい」と伝えることで、不安などを解消できる可能性もあります。しかし、そう思えない患者さんがいるのも事実なのです。
これはもしかしたら経験を積まないとわからないのかもしれません。
さらにオペ室の看護師はカルテで患者さんの情報を取りますが、全ての情報があるわけではないので、全体像を正確に捉えられるわけではありません。オペ室にきて、導入までの短い間で患者さんの特徴を捉えてコミュニケーションをとっていかないといけないのです。
適切なコミュニケーションをとることで、患者さんが自主的に治療に臨めるのは間違いないことです。
時には、”頑張って”
時には、”頑張らなくていい”
そんな風にその患者さんの特徴を捉え、その患者さんにとって適切な対応をできるようになって行きたいなと思いました。
治療の第一歩になる手術というものを無事に終えられるようなコミュニケーション技術をつけて行きたいなと思いました。
ちなみにこの時の患者さんは頑張らなくていいと言われてどう感じたのでしょうか?
麻酔科の医師は患者さんの特徴を捉えそういったのでしょうか?
特に何も考えず、マニュアルや教科書通りに言ったのでしょうか?
この患者さんにとって適切な援助になったのでしょうか?
答えはわかりません。
それを常に考えて、看護・医療を提供して行きたいと改めて思いました。
ではまた、明日お会いしましょう。