Apple Siliconについて思ったこと

2020年11月11日(アメリカだと11月10日)はPCに新時代をもたらす日だと感じました。11月17日にApple Silicon M1チップ搭載のMacbook Air、Macbook Pro、Mac miniが発表されました。

少しここでおさらいを。
現在使用されているmacOS(旧名 Mac OS X)、iOS、iPadOSはUNIXベースです。またAppleは4度目のCPU変更を行います。
680X0系からPower PC系へ、Power PC系からIntelベースに、そして今回はAppleが設計したARMベースのプロセッサに移行します。ちなみにPower PCの開発にはAppleも参加していたのでiPhone等に搭載されるAシリーズSoCを開発する以前からAppleは研究していたと考えてもおかしくないでしょう。
チップのアーキテクチャも
・680X0系:CISC
・Power PC系:RISC
・Intelプロセッサ:CISC
・Apple Silicon:RISC
つまりAppleはCISCにもRISCにも適応できる能力を持っているという事になります。

CISC用プロセッサの代表的OSというと一般的にはWindowsの様なMicrosoft系OSが有名かと思います。一方RISCベースプロセッサのOSとなるとSUNのSolaris、Sillicon GraphicsのIRIX、DECのTru-UNIX、IBMのAIXあたりかと思います。単純な比較は今ではできないものの
・CISCベースのCPU:PC系がメイン(後にサーバーやワークステーションも登場)
・RISCベースのCPU:ハイパフォーマンスなワークステーションやサーバー
という感じでしょうか。
仮にSUNやSillicon Graphicsが生き残っていたら、多分SUNならSPARC+Solrisベースのラップトップを出してきたでしょう。今はSUNはOracleに吸収され、DECとSillicon GraphicsはHPに吸収、かつてはCGで存在感があったAmigaを作成していたCommodoreは消滅と事実上、現時点でPCとなるとWindowsとMacのいずれかになるでしょう。そういう中、AppleがARMベースのRISCプロセッサへの切り替えは大きいと思います。
実際ARMベースの最強プロセッサは現在スーパーコンピューター1位の富岳ですから。そう考えるとARMベースのプロセッサというのは本当に大きな進化を遂げたな思います。

もちろんApple Siliconだけが画期的ではなく今回出るmacOS Big Surもかなりすごいと思います。実際デモも行われましたがMacbook Airで4K動画の編集が可能というのは正直すごいことだと思います。しかもMacbook Airの最高スペックは16GbのRAM、2TbのSSDですからWindowsのゲーミングパソコンやワークステーションからしてみるとなんじゃこりゃ?というスペックですが、これで4K動画でコマ落ちなし(しかもファンレスノートパソコンで)というのは驚きだと思います。これは如何にOSが最適化され、PCと一体でないと引き出せないことです。
実際SUN Solarisは自社開発したSPARCだからこそあの性能が発揮できたわけですから。

正直言うと最近のゲーミングPCこそ最強という風潮には違和感を感じておりました。あれほど莫大なエネルギー消費をし、大量のメモリーを消費するパソコンが最強というのはなんか変だと思いました。むしろこういう風に環境にも配慮するという時代だからこそ電力消費を減らし、パワーは向上させ、RAMの使用は最適化されたPCが出ればと思っていましたが、Appleがそれを実現させました。正直言えば今回出たMacbook Airは私にとって理想的なPCといっても過言ではありません。省エネ、高効率、ハイパワーなパソコン。もちろん購入しましたよ、Macbook Airを。ちなみに私が発売前からパソコンを予約購入ってのはこれが初めてかもしれません。それだけ衝撃的な事だったからです。正直Intelのプロセッサにはあまり魅力を感じていませんでした。確かにデファクトスタンダードであるのは間違いないのですが、どうも電力消費が多く思ったほどハイパフォーマンスではないと感じていました。仕事の都合上、現在Windows PCを使っていますが、個人的にはMac派ですし、スマートフォンはiPhone、タブレットはiPadを使用している位Apple信者と言っても過言ではないでしょう。スマートフォンもAndroidという選択肢もあるのですがあまりにもバラツキが激しく何を買えばいいのかわからないというのが実情です。またAndroidの場合はインターフェースも機種によって若干の違いがあったりとどうも好きになれませんでした。逆にApple製品は基礎がしっかりしているのでiPhoneが使えればiPadは問題なく使えますし、Macとの親和性は抜群です。(まあベースとなるOSが共通な部分があるといえばそれまでですが)如何にユーザに対して不快な体験をなくすかというのがAppleの信条なので、個人的には可能な限りApple製品をお勧めしています。実際70代の母はMacだからこそ色々と情報収集やオンラインショッピングを楽しむことができています。iPadも使いこなしているとは言い切れませんが、抵抗なく使っています。また多言語化もMacはWindowsよりもいち早く取り組んでいたので私が在仏時代、AZERTY配列のキーボードをWindowsで感じ入力を利用しようと思うと
・DLLをリネームする
・特殊なプログラムを使う
・レジストリを細工する
という事をしないとできなかったのが、Macではいとも簡単にできました。

他にも無線LANやBluetooth、USB等Appleは数多くの分野でけん引役となってきました。そのAppleがこのタイミングでIntelと決別し、自社設計のSoCに切り替え、そのSoCがMac Proに近い成績を出すというのは正直驚きでした。時代は新たな局面を迎えたと思えるような日がこのAppleのApple Siliconのイベントだったかと思います。先にも述べましたが今やスーパーコンピューターもARMベースのSoCですから、そういうものがPCにも搭載されるというのは感慨深いものです。

ここで一つたどり着いた結論としては
・AppleのハードとOS:両方とも密着しているので最大限のパワーを引き出すことができる
・WindowsやAndroid:CPUとOSは別物なので完全にはパワーを引き出しきれていない
という感じがします。実際全く同じCPU、メモリ量(スペック)であってもA社のPCと、B社のPC(若しくはスマートフォン)とでは異なる結果が出たりします。多分それはWindowsもAndroidも基本的なところとして複数のメーカーに対して供給し、動作可能という事が前提にあるのに対し、Appleは自社製品のみ対応と言う所でしょう。多分Appleの真価はM1チップもそうですが今後リリースされ、完全にIntelのCPUが使われなくなった時こそ問われるかと思います。Appleは2年で移行を進めると言っているので2年後、どのようにPC市場が変わっているのか楽しみです。少なくともCatalinaみたいな黒歴史は出してもらわないよう願っております。

おまけと言っては何ですが、実はMicrosoftもある意味先駆者的なところはあったと思います。代表例としては初代Surface。そうですあのWindows RTを搭載したパソコンです。またほかにもPocket PCもあります。どちらも最終的には失敗作で終わりましたがMicrosoftも挑戦者的な側面があったのは間違いないかと思います。ただあまりにもOSが駄作過ぎたのと当時のハードが時代にそぐわなかったというのが不運だったのかもしれません。これからの時代は高効率、省エネ、ハイパワーが両立できるコンピューターこそがコンピューターの未来を創っていくと思うように感じます。

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