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「加法定理の証明」問題はこんなに簡単なのです!
東大の1999年の数学の入試問題ですが
(1) 一般角θに対してsin θ, cos θの定義を述べよ.
(2) (1)で述べた定義にもとづき、一般角α, βに対して
sin(α+β)=sin α cos β+cos α sin β
cos(α+β)=cos α cos β-sin α sin β
を証明せよ.
非常に簡単な解答があり
(1) 一般角θに対し、θ=α+βとなる任意の一般角α, βについて、sin θおよびcos θを
sin(α+β)=sin α cos β+cos α sin β
cos(α+β)=cos α cos β-sin α sin β
を満たすなんらかのものと定義する。
(2) 定義により自明。
安全タイプはこちら。
(1) 一般角θに対し、sin θ, cos θを
sin θ=cos θ=0
と定義する。
(2) 定義から
0=0*0+0*0
0=0*0-0*0
(証明終)
「定義を述べよ」だからsinやcosはたんなる記号であり自由に定義してかまわないのです。「なんらかのもの」は自由変数なので定義に用いてもかまいません。「なんらかのもの」には触れないので高階性は問題ありません。入試の採点は減点法であり、瑕疵がないのだからこれで満点なのです。
ただしsinおよびcosは-1から1の範囲の実数を与えるθの関数とし、sin 0=0, cos 0=1と定める。
これを追加して値域と位相を定義すると、一般的なsinとcosの定義と等価になるのです。sinとcosの連続性はαとβの任意性により保証されると思います。
幾何学的に証明するのはけっこう大変なのです。回転行列を用いて証明する人はユークリッド空間がベクトル空間であることを証明しないと大幅に減点されるのです。
多くの受験生は「証明に使っていい知識」「使ってはいけない知識」の区別ができません。後者を使うとたいていはトートロジーになり証明にならないのです。