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Ami Ⅲ 第14章-ヘクシス(一見死んだように乾いた惑星にある美しい世界)

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「ペドロ、そろそろあなたの家に到着します。
モニターを見てください。」
画面にはクラトとおばあちゃんが、テーブルを囲んで笑っている姿が映し出されました。
「わしは、一人のテリの首をこの腕で、もう一人のテリの首をもう片方の腕で掴み、頭をぶつけたんじゃ。
カボチャのように破裂したが、なんとテリの頭の中は空っぽじゃったんじゃ、ほっほっほっほっ!」
「あははは!」
なんとおばあちゃんはクラトの話を喜んで聞いたのです。
クラトはいつもの嘘というか冗談を話していたのですが、誰も彼の誇張した話を信じない事も良く知っていたのです。
すると、ビンカは、「でも......。でも......どうしたの?あの人、クラトに似てるけど、クラトじゃないわ...もっと若いのよ!」と戸惑いをみせました。
そこで僕たちは、彼が変化した経緯について説明したのです。
すると、ビンカは、アミに「私の足を太らせてほしいの。」とお願いしました。
でも「当分はこのままでいい。」とつっぱねられてしまったのです。
「女の子らしくて綺麗だよ。」
と僕が褒めましたが、彼女は自分の脚を見て反論しました。
また、おばあちゃんは、クラトに空想話を続けるようお願いしたのです。
「それで、3人目のテリとあなたはどうしたの、クラト?」
「ああ、あれか... そうだ... 思い出したよ。
昨日、この美しい星のテレビで見た牛のように大きくて幅のあるやつじゃった。
恐ろしいテリは、口から泡を吹いて、目に火花を散らしながら、唸ったんじゃ。
それで、そいつはわしに攻撃しようとした。
憎悪が滴り落ちるような目をしとったよ。
奴は片足を蹴り散らし、勢いをつけてわしに襲いかかり、崖から投げ落とそうとしたんじゃよ。
わしは瀬戸際に立たされとった。
武器は自分の拳しかなかったんじゃからな。」
「それで、どうしたの?」
「何もしていない。
指一本分の距離まで近づいたとき、素早く身を引いだけじゃ。」
「それで?」
「あーーー!」と言って、テリは崖から落ちたんじゃよ。
「ホー、ホー、ホー!」
「あは、は、は、は、は。」
「どうやら、このペアは相性がいいみたいですね。」
アミは、まるで知っていたかのように笑いながら言いました。
それを見てビンカが喜んでいるのも伝わってきたのです。
「おばあさんは、とても素敵で明るい女性だから、私たちはきっと仲良くなれるわね。」
「もちろんだよ、ビンカ。」
そして、アミは僕のビーチハウスの上で宇宙船を止めたのです。
「到着しました。
さあ、降りてお祝いのパーティーに参加しましょう。」
僕たちは、黄色い光のビームを通って降りていき、彼らの前に姿を現したのです。
彼らは、これほど速く解決され、ビンカがここにいることが信じられない様子でした。
パーティーを再開し、今はみんなが一緒で、誰も欠けていないのです。
おばあちゃんは僕のガールフレンドを見つめ、賞賛し、愛撫して言いました。
「ビンカは素晴らしい存在ね、ペドロ!
外見はこの辺の普通と少し違うけど、中身がとてもいい子なのがわかるわ。聖シリルは私を失望させないと思ってました。
よくやったわね。
どうやってビンカと叔父さんたちをPPの装甲病棟から救出したの?」
アミが説明をすると、僕たちは、彼に拍手を送りました。
その後、とてもデリケートで危険な仕事を効率よく手伝ったのだから、僕も拍手喝采を受けるに値すると言われ、それを受けたのです。
おばあちゃんが喜んでいました。
「遅い時間だけど、この家に喜びが溢れているわね。
明日は休日で、働かなくて良いしね。
夕食をごちそうしましょう、ビンカ。
直ぐに準備するわ。
ゆっくりしててね。
なんという喜びでしょうね!」
「僕の分もお願いね、おばあちゃん。」
さっきは中途半端に食べただけだったのでお腹が空いたのです。
ほどなくして、料理が運ばれてきました。
「なんて良い匂いなんでしょう!うーん。」
とビンカが言いました。
「でも、この料理が好きかどうかは、わからないわ...いい匂いだけど...。」
「ビンカ、きっと気に入るよ、ガラボロだと想像してみて。」
「そうね、このお肉、食べてみようかな、柔らかそうだし...。
うーん... 、とても美味しいわ。」
すると、アミが
「今日一日ほとんど何も食べてないから、私の船で健康的な食べ物を食べてきます。
すぐに戻ります。」と言ったのです。
「ここに持ってきて、みんなで食べましょうよ。」とおばあちゃんが言いました。
「リリー、あなたが食べているものを見たり嗅いだりすると、私の食欲が損なわれるのです。
残念ながらそれはできません。
でも、すぐ戻りますね。」
すると、ビンカはワインの色に心を奪われたようでした。
「このお酒はとても素敵な色をしているわね。」
「ワインは喜びじゃよ、ビンカ。」
「飲んでみる?」
と祖母が尋ねました。
「はい、お願いします、リリー。」
「どうぞ、お子様には小さなグラスでね。
クラト、ワインのおかわりはいかが?」
「今は結構じゃよ、どうもありがとう、リリー。」
クラトは半分くらい酔っている風に見えたので、お酒を断る姿に驚いてしまいました。
「まさか、もうワインを飲まないつもりなの、クラト?」
「何を言っているのかわからんよ、’ベトロ’。
わしは、お酒が大好きじゃが、早飲みしたわけじゃないんじゃよ。」
「わかんないよ、クラト。」
「’ベトロ’、飲むときはゆっくり味わんじゃよ。
一口一口をな。
早く飲むと眠くなっていびきをかくんじゃ。
この素晴らしいパーティーを逃したくないんじゃよ。
そして『ワイン』という美しい地球の発見の絶妙な味を楽しむ能力を奪いたくないんじゃ。
ムフロス酒が、ワインと比べると、粗い素朴な調合品のレベルであることを認めざるを得んのじゃよ。
この神々の酒の由来は何の果物なんじゃろうか?」
僕は冷蔵庫に行き、ブドウの房を持ってきました。
「これがそうだよ。
葡萄って言うんだよ。」
「なんて美しい房なんじゃ。」
「美しいわね!食べてもいいかしら。」
とビンカが叫びました。
「もちろんだよ。」
「これ絶品よ!」
「クラト・ワイナリーとして、この世界に支店を出そうかの。
そういえば... トラスクに餌をやってくれたのかい?」
「そうだったわね、クラト。
私のおじさん達があなたの小屋に泊まっているのよ。
トラスクの面倒を見てくれてるでしょう。
あなたのブゴは彼らにとても同情的だったのよ。
そして...。」
「あのテリが、わしの小屋で何をしとるんじゃ?」
そこに、アミが戻ってきたのです。
「彼らを隠れさすのに最適な場所だったのです、クラト。
どうか気にしないで欲しいのです。」
「フム...。」
クラトは、温かく微笑むおばあちゃんを見て、テリっぽさを隠そうとしたのです。
「もちろん気になんかせんよ。
そうすればトラスクも仲間になれるしな。
いつまでおるつもりなんじゃ、アミ?」
隠そうとしても、あまり嬉しそうには見えませんが。
「今すぐ帰りたいなら、あなたを戻し、ビンカの叔父さんと叔母さんをどこかに連れて行きます。
 行きますか、クラト?」
「いや、そうだな。
いや、ちょっと気になっただけなんじゃ。
それに...。」
「それにって何、クラト?」
「その... わしがここに残る可能性を聞きたいんじゃ...。」
「クラトを地球で過ごさせてよ、アミ!
彼はもう地球人に変身してるんだから。」
「じゃあ、どこに住むのですか?」
と、アミが尋ねました。
「もちろん、ここで、僕たちと一緒にだよ。
ね、おばあちゃん?」
「喜んで。
ビンカは私の部屋で、クラトは空いてる部屋で寝ることにしましょう。」
アミはこの取り決めに納得したようでした。
「問題ありませんが、クラト、もう二度と自分の小屋に戻らなくていいのですか?」
老人は興奮していたのです。
「 実のところ、突然こんなことになるとは思ってもみなかったんじゃ。
あの美しい場所で何年も過ごしたわけじゃしな。
スワマになった時に、一度、過去を全部捨てなきゃいけなかったんじゃ。
歯ブラシすら持ってこれんかった…。
さもなくば家族はわしを殺したじゃろうよ。
わしは、家族に、わしがとても重要な存在なんじゃと言ってやりたいんじゃがな…。
いや、それはもうどうでもいい。
過去は常に置き去りにするんじゃったな。
そうじゃろ、アミ?」
「そうです、クラト。
それこそが死が存在する目的なのです。」
「どうじゃい、宇宙飛行士の少年さん?」
「あなたは何にでも執着しすぎるのです。
自分の場所、愛する人
持ち物、中毒、アイデア、外見、記憶、日常生活、全てにおいてです。
そして、宇宙は、他の経験、他の状況、他の場所、他の人々、他のアイデアを通して、自分自身を完成させ、進化することを必要としています。
だから、あなたの執着を外し、他の状況での学習や幸福に移行する唯一の方法は、その体をまとうローブを脱ぎ去るしかないのです。
そして、執着に別れを告げ、別の物語にページをめくり、ついに、その記憶さえも、魂の奥深くを除いては残らないものなのです。
「それが、死ぬってことなの?」
とビンカが尋ねました。
強制的に切り離される道しかないのですが、でも、もっと進化した魂のように、執着が少なければ、死という難しいプロセスは必要ないでしょう。
執着を簡単に手放し、宇宙が用意した新しい身体や状況に進んで移行することができるのです。
さらに、彼らは以前の状況の記憶を失うこともないのです。
私の記憶の中には、半分ゴリラだった頃から今日までのすべての前世があるのですから。

僕たちは皆、アミのシンプルな説明に深く考え込んでしまいました。
僕はこれまで何度も、死のような辛いものを発明した神の善意を疑っていたのです。
でも、今、その説明のお陰で、僕たちにとっての死は、神の考える愛と矛盾しない事を理解できました。
なぜなら、愛が私たちの進化や完成を求めるのは当然のことであり、もし私たちが自分の意志で執着を克服できないのであれば、古くて使い古された状況から新しい状況へと強制的に引きずり出される以外に道はないのですから。
「その通りじゃ、アミ。
いつかはあの場所を離れなければならんのじゃよ。
別れは避けられんのじゃ。
そうでならば、今すぐそうしてしまおうじゃないか。
そうじゃ、わしはずっとここにおると決めた。
もちろん、この美しい女性とな。」
クラトはそう言って、おばあちゃんの肩を抱いたのです。
すると、彼女は彼の胸に頭を近づけ、甘えるように微笑みました。
すでにロマンスが決まっているのは明らかでしたが、今はそれが気にならず、逆にクラトがいつもそばにいることが嬉しかったのです。
でも、ふと、彼はあることを思い出したのです。
「じゃが、トラスク...。」
と彼の目が潤みました。
するとアミが笑い出したのです。
「トラスクは大丈夫です。
私がなんとかしますから、クラト。
信じてください。」
「できるかな?そうじゃな...。
信じとるよ、ありがとう、アミ。」
「どういたしまして、クラト。
あなたがこの世界に入ったことについては、後で対処することにしましょう。
さて、そろそろこの楽しい会合も終わりにしましょう。
もう遅いし、明日は子供たちを別のものに会わせないといけないのです。」
「ビンカのベッドは、私の部屋の隣にすでに用意してあるわ。」
「でも、あまり喜びすぎないで下さいね。
ゴローがどんな人か知っているのですから。
じゃあ、私は船にもどります、明朝また来ますね。」
僕たちはおやすみなさいと言いました。
ビンカが僕の家で寝るということが信じられませんでした!
ビンカが僕の家で寝てくれるなんて!
僕の幸せは、際限なく広がっていきました。
ゴローの存在を除けばですがね。
しかし、その日はとても大変な一日で、時間もかなり遅かったので、枕に頭を乗せた途端、すぐに眠りについてしまったのです。
翌日、僕はドアをたたく音で目を覚ましました。
まだ半分眠っていて、前日に何があったのか、何も覚えていなかったので、「おばあちゃん、入って」と言いました。
しかし、おばあちゃんの代わりに、トレーを持った美しいビンカが現れたのです。
この世で最も美しい夢を見ているように思えたのですが、それは夢ではなかったのです。
僕のソウルメイトがトレイに朝食を載せて持ってきてくれたのです!
そのトレイには、朝食と彼女のすべての愛が載っていました。
「ああ...ビンカ!
こんな事してくれなくてもいいのに......。
ありがとう!」
「やりたくてしてるのよ、ペドロ。
本当に嬉しいの。
よく眠れた?」
彼女は僕の隣に座り、愛情を込めて僕を見て言ったのです。
「うん、よく...。
ありがとう。
君もよく眠れた?」
「私の人生で最も美しい夜のひとつだったわ。
私の近くにあなたが居たんですもの。」
すると、おばあちゃんも入ってきたのです。
「おはよう、ペドロ。
アミとクラトが待ってるから、急いでね。」
「え、アミはもう来てるの?」
「そうよ、少し前に。」
「なんでもっと早く起こしてくれなかったの?」
「ビンカがもう少し休んで欲しいって...。
彼女はあなたを大切にしてくれるわね。」
と、ある種の共犯関係にあるようなことを言ったのです。
そこに、「"ベトロ "は怠け者じゃの。
何をしとるんじゃ。」
と、クラトがアミと一緒に僕の部屋に入ってきました。
兄弟がおらず、家での孤独に慣れている僕にとって、これはとても不思議な状況でした。
普段、僕が寝ている時には、誰も部屋に入ってこないのに、今は、ビンカ、おばあちゃん、クラト、アミがいるのですから。
そして、クラトがTシャツにショートパンツを着ていることに気付きました。
なんと、白いトレーナー、白いソックス、赤いプラスチックベルトのビーチウォッチ、きれいに整えられた髭、バイザーのついた帽子をかぶっていたのです。
まるで休暇を過ごす普通の地球人のようでした。
「その服はどうしたの、クラト?」
するとアミが「私が準備しました。気に入りましたか、クラト?」
「いや... いや、気に入っとるよ、じゃが、あの子に笑われちゃったよ。
鳥に見えるかい?」
「もちろんよ。」とビンカが笑いました。
彼女にとっても、その服は奇妙なものだったのですから。
でも、おばあちゃんは、
「いいえ、クラト、その服装はとても素敵よ。
スポーティで若々しいわ。」
とクラトを慰めたのです。
「クラト、似合ってるよ。」
僕はびっくりして笑ってしまいました。
「予言者」から「ビーチのプレイボーイ」へなったのですからね。
冷やかしている訳ではないのです。
「ペドロ、星空の散歩に行く用意はできましたか?」
と、アミが嬉しそうに聞いてきました。
「まだだよ、お風呂に入らないといけないし......。」
「いや、そんなことする必要はありません。
私の船のクリーンルームに入ればいいだけです。
知ってますよね?」
「あ、そうだ、忘れてた、でもとりあえず歯は磨くよ。」
そうして、それからすぐに朝食を食べて、少ししてから、おばあちゃんに別れを告げました。
「クラト、君の小屋から何か取りたいですか?
それとも私が何か取ってきましょうか?」
「いや、わしは、キアでは死んだんじゃ。
死者は来世に何も持っていかんじゃろ。
わしもこの世に何も持ってこんのじゃよ。
哀れなトラスクの世話をするのも忘れるなよ。
でも、太くてジューシーなガラボーロを2つ持って帰ってくれんかの。
ホー、ホー、ホー!」
再び、僕たちは宇宙船に乗り別の時空を滑り始めました。
アミ、ビンカ、そして僕の3人です。
「どこに行くの、アミ?」
「この銀河系にある何千もの進化した世界の一つで、面白いものを見せてあげたいのです。
それほど時間はかかりません。
そのあと、クロルカとゴローの様子を見に行きましょう。」
すると、ガラスの向こうに、完全に乾いた惑星が現れたのです。
僕たちの月とよく似ていますが、もっと赤みが強く、火星に似ていました。
そして、僕たちの船は、ものすごいスピードでその表面に向かっていたのです。
「あれがヘクシスの世界です。
ここには、これまで見てきたよりもはるかに進んだ文明があるのです。」
アミがその球体を1分もかからずに一周するほどのスピードで移動し始めたとき、僕はすぐに海がないことに気がついたのです。
「これは、死んだように乾いた惑星のようだね...。」
アミはとても嬉しそうでした。
「はい、そうです。
表面には岩しかないけれど、中には?」
「まさか、この世界の人たちはみんな中にいるの?」
「その通りです、ペドロ。
この星に住むほど進化を遂げた人類はすべて、その文明を内部に移したのです。」
ビンカはとても興味を持ちました。
「つまり、より進化した世界は、もう地表には住んでいないということなの?」
「はい、そうです。
内部はずっと安全ですから。」
「どうして?」
「同じ理由で、地下基地の話をしました。
地下基地では、太陽の光や迷惑な光線の好ましくない部分が当たらないし、暴風や嵐、雹や竜巻などもありません。
より狭い空間で自由に気候を調整できるし、外は大気も水も一滴もないのに、明るく、水と酸素に満ちた素晴らしい生態系を作ることができるのです。
昆虫や細菌など、生態系に好ましくない種は避けることもできます。
そして、必要であればそよ風さえも発生させることができるのです。
しかも、進化していない隣人の注意を引くこともありません。
あなたのような不誠実で戦争好きな世界の隣に住んでいても、あなた達は、その隣の惑星が、一見死んで乾いたように見えるので、偉大な文明が存在していることに気づかないのです。
世界の内部で生活することは、宇宙の生命においてはるかに高い進化段階なのです。」
「へぇー!これは斬新だね!想像もつかなかったよ!」
そう考えると、太陽系の他の惑星には生命がいないように見えるけど、他の生命体が存在する事の裏付けになるかもしれないね?」
「私たちの太陽系にも同じことが言えるわね。」
とビンカが言いました。
アミは喜んだ様子でした。
「そうです。
宇宙には、あなた方が思っているよりも遥かに多くの生命があるのです。
でも、当分の間、あなたたちの文明は、とても スピリチュアルな一段上の存在を知らないほうがいいし、その楽園からは離れていたほうがいいのです。」
「そうなんだね。」
「一方、その生きる世界は、魂の姿勢を反映しています。」
「どうして?」
「あなた方の世界の人文科学は、外側に向いているでしょう?」
「もちろんだよ。」
「あらゆるものが外側に...。
つまり、内面に目を向けず、表面的であることが、あなた方が表面の世界で生きている理由です。
それは、あなた方の魂の姿勢の反映なのです。
「もっとうまく説明してくれない?」
「あなたがたは、外にあるもの、はるか彼方にあるものをすべて知りたがっています。
だから、はるか彼方、可能なら何百万マイルも離れた他の太陽系に到達しようと、大変な努力をするのです。
しかし、少し離れたところ、惑星の内部、海の底に存在するものについて何も知らず、余り興味もありません。」
「本当だ!そうだよね!
外側に向かうNASAはあるけど、内側を調査するNASAはないんだもんね。
遥かに近いのにね。」
なぜなら、あなた方は外だけを見ているのです。
他人や自分の外見だけを見て、内面にはあまり注意を払わないからです。
そして、それが、全体に反映されているのです。

「不思議だけど、わかってきたような気がするよ...。」
「あなた方の魂が同じように表面的な態度をとるので、あなた方は本当の自分自身を知ることが出来ません。
なぜなら、あなた方は自分の内面や心を見ようとしないからです。
外部、目で見えるもの、素材、密度の高いものだけに興味があります。
だから、あなた方の魂の反映である世界に住んでいるのです。
その世界では、霊的なもの、内的なもの、繊細なものよりも、物質的なものが非常に強く支配しています。
そして、それが、全てが、それぞれのドラマに起源があることを見ずに、あなたのドラマについて他人を非難する傾向がある理由でもあります。
ビンカはこう結論づけました。
「オフィルは結局のところ、それほど高度な世界ではないのね。
そしてアミの世界もそうなのね。」
「もちろんです。
もちろん、今のところ私たちは外側の文明ですが、オフィルも私の星である銀河ドールも、長い間、内側の生態系の準備をしてきました。
だから、私の星に連れて行った時も、帰る時にも、『外側しか見ていない』と言ったのです。
覚えていますか?」
「ああ、そうね、覚えてるわ。」
「僕もだよ。
ところで、アミのお母さんは元気?」
「完璧に元気です。
父と一緒にキリアに行く準備をしています。」
「いいね!
お母さんのアドバイス、『地に足をつけ、目線は高く、心には愛を』をいつも心に留めてるよ。
みんなによろしく伝えてね、アミ。」
「わかりました。
ありがとう。
内側の世界の中で生活してみたいですか?」
するとビンカはためらいました。
「美しく感じるけど...。
なんていうか、閉ざされた感じがするのよ。
星を見ることもできないし...。」
「このドームでは、外の空の様子も映し出すことができるのです。
地平線もあるし、素晴らしい星空もあります。」
「そうなのね... まあ、慣れるのでしょうね。」
「どんな進歩でも最初は拒絶されることが多いのですが、後になると、人はそれを失いたくないと思うものです。
例えば、文章を書くこともです。
昔はインクと羽ペンで書くのがロマンチックでしたが、今はコンピュータのキーボードで書きます。
それに戻りたい人は殆どいないのです。
アミは、ヘクシスの乾燥した地表に向かって船を急降下させるように舵を切りました。
シャヤ・サリムのときと同じように、認可された入り口から入ります。
地面に激突しそうになっても慌てないで下さいね。」
そうして、僕たちは「非物質化」し、入り口をふさぐ暗い岩を越えました。
もちろん、ビンカは恐怖のあまり両手で顔を覆っていましたが...。
その直後、僕たちは光と色に彩られた印象的で予想外の世界に現れたのです。
自分たちが見ているものを信じることすらできませんでした。
「ウアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!! 」
湖、緑やオレンジ色の草原、色とりどりのクリスタルでできたような建物、オフィルでも見ることのできなかった近未来的な建築物。
空中に浮かぶ巨大な球体の建物やその他の形状。
色とりどりの芝生が敷き詰められた巨大なテラスでは、多くの人々がスポーツに興じ、美しいスタジアム、何千もの宇宙船、木や茂み、花でいっぱいの自然の庭園は、上から見るのが一番美しいデザインになるように植えられていたのです。
「今まで見た中で一番きれいだわ!」
と、ビンカが喜びを爆発させました。
キアの基地と同じように、「空」は本物の空のように見えましたが、ここでは水色というより薄いピンク色がかっていたのです。
そして何よりも印象的だったのは、巨大な洞窟の境界が見えないことでした。
「この世界では、何十キロも続く窪地に人が住んでいるのです。」
とアミが説明してくれました。
「そこに彼らの家が建てられており、あなたの世界程、混雑することはありません。
大都市は人間にも地球にも良くないと言ったでしょう。
この広い空間では、すべてが宇宙と調和し営まれています。
この世界には、大小さまざまなこのような居住地があり、それらはすべて相互につながっているのです。」
「これは超文明なんだね、アミ!」
「そうですね。
「今から惑星間美人コンテストを見に行きましょう。」
と彼は笑いながら言いました。
「今日は様々な世界からたくさんのお客様が来ているのです。」
「美少女コンテストというと、平凡なイメージがあったので、不思議に思ったのですが、アミが予想外のサプライズを見せてくれるのにも、だんだん慣れてきていました。」
結局、僕たちが想像したものとは全く違うものだったのですがね。


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