Ami 第9章-基本の法則①
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スッキリと目覚め、まるで生まれ変わったかのように元気になっていたのです。
友人はいくつかのコントロールをチェックして、僕にウインクしました。
「楽になりましたか?」
「うん。すっきししたよ。
あっどうしよう!おばあちゃんが!
何時間寝てたの?」
「15秒です。」と彼。
「えっ!?」
僕は窓の外を見るために立ち上がりました。
僕たちも、僕が前に見た人々も、動いていなかったのです。
白髪の男は、まだそこにいて、僕たちの船からそう遠くないところで話をしていました。
何も変わっていなかったのです。
「どうやったの?」
「あなたは充電するために眠ることが必要でした。
我々は15秒で8時間分の睡眠を補給する『充電器』を持っています。」
「驚異的だね!
じゃあ、君は全く寝ないってこと?」
「全くというほどではありません。
時々は必要です。
睡眠によって、私たちは『充電』以上のものを受け取ることができるのです。
でも、わずかな時間で十分なのです。
私たちは、心をネガティブにしないで、ポジティブに生きているので、あなた方ほど『放電』しないのです。」
「だから、進化した人たちは、人生を最大限に楽めるんだね!
500年も・・・。
ほとんど寝ないでって!?」
「より多く、より良く、より幸せに生きる。
それが、このすべてを設計した方の真の意図です。
多くの人は、神は私たちが苦しむのを見るのを好むと信じていますが。」
「だからあの人は、5世紀も生きているんだね。
彼は、そんなに生きてて疲れないの?」
「彼に聞いてみたいですか?
来てください。」
僕たちは、スクリーンの前に座りました。
アミはマイクを持ち、ボード上のいくつかのポイントに指を滑らせました。
男の顔が現れると、アミは奇妙な言葉で話しかけたのです。
ほとんど聞き取れない「シー」のバリエーションに似た音で、僕はすぐに蒸気機関車の吹き出しのような音楽を思い出しました。
男性はそれを聞いて船に近づくと、画面の中の僕たちを見て微笑み、はっきりと言いました。
「こんにちは、ペドロ!」
唇の動きと聞こえてくる音が一致しないので、彼の言葉が機械翻訳に過ぎないことは理解できました。
「こんにちは。」僕は緊張して答えました。
「知ってますか?私の祖先は地球の文明から来たのですよ。」
「ああ。。。」
僕は、それ以上、知的なことを言う気になれませんでした。
「その文明は、連帯感の欠如のために破壊されたのです。」
「ああ ...知ってるよ。」
「あなたは何歳ですか?」
「えっと..... 12歳だよ。で、あなたは?」
「およそ地球歴500年です。」
「500年、なんて幸運なの!でも退屈しないの?」
「退屈する?」
彼は理解できないといった顔をしていました。
「知性が活動を求めても見つからない時にだけです。」
アミがそう説明しました。
「そうだったよ、忘れていた。
いや、飽きないよ。
どうしてそんな事を聞くんだい?」
「長生きしているからですよ、たとえば...。」
その時、とても美しく若い女性が彼に近づいてきたのです。
彼女はとても優しくその男に挨拶しました。
すると、彼は彼女を抱き寄せ、愛撫し、何度もキスをしたのです。
二人は会話をし、微笑みあいました。
二人はお互いをとても愛しているように見えましたのです。
それから間もなく、彼女はそこを離れ、彼は僕に話すのを再開しました。
「幸せとは、人間の自然な状態です。
人生が、自然が、今この瞬間に調和しているとき、そこには退屈はなく、満足があるのです。」
彼は、微笑みながら言いました。
そして僕は、彼がその美しい女性に恋をしているのだと思ったので、彼に尋ねました。
「あなたは恋をしているのですか?」
彼は深いため息をつき、こう言いました。
「もちろん、完全に恋しています。」
「一緒にいた女性にでしょ?」
彼は同情したように微笑み、こう言いました。
「人を、宇宙を、私のこの幸せな人生をです。」
すると、また、もう一人の女性が彼のほうに近づいてきたのです。
彼女は前の女性よりもっときれいに見えました。
そして、二人は顔を撫であい、キスをし、目を見開き、話し、笑い、そして長い抱擁をして別れを告げたのです。
この人は、何か異次元の空間をあやつる、女ったらしだと思いました。
「地球を訪れたことはありますか?」
「ああ、はい。何度か行ったことがありますが、悲しいですね、とても悲しいです。」
「どうして?」
「最後に行ったとき、人々は自殺し、飢え、何百万人もの死者、破壊された都市、収容所・・・。
それは悲しいことです。」
僕はとても嫌な気分になりました。
まるで自分が原始人のように、残酷で狂気じみた世界を、そして僕が、非難されているような気がしたのです。
それから、オフィル以外の他の場所を訪れるために、僕たちは別れを告げました。
「あの人は奥さんが二人いるの?」
と僕は飛行中にアミに尋ねたのです。
「いいえ、一人だけです。」とアミ。
「でも......彼は二人ともにキスをしたよ。」
「顔へのキスや健康的な愛撫や抱擁のどこが悪いのですか?
彼らはお互いを愛しています。
どちらも彼の妻ではありません。」
「え!?本当の妻が彼を見たらどうするの?」
アミに笑われました。
「進化した世界では嫉妬はありません。ペドロ。」
一応、僕は理解したつもりでした。
「じゃあ、完全な自由なんだね。
それなら、多くのパートナーを持つことができるってことなんだね。」
僕は、悪意を持ってそう言ったのです。
すると、彼は、透き通るような表情で答えました。
「いや、誰も複数の相手を持ちたいとは思いません。
彼女や彼に一致する相手がいるのです。
つまり愛する相手です。」
僕にとっては、この問題はまったくもって明確になりませんでした。
「アミ、あの人はすべての人に、すべてを愛していると言ってたよ。」
「そうです、彼はそう言いました。
あなたは、愛する人というと、まるで一人しかいないかのように言うけれど、あの男性は、普遍的な愛、すなわち、全ての人々とあらゆるものに対する愛を表していたのです。
でも、私たちにも個人的な愛があります。
自分自身やパートナー、親戚、友人、猫、植物、オウム、亀やカバを愛することです。」
「あるいは、おばあちゃんをね。」
「はい。そうです。
でも、個人的な愛しか持っていない人は、進化が進んでいないのです。」
「なるほど・・・じゃあ、特定の誰かを愛するのではなく、すべての人を愛する人が、愛することのチャンピオンってことになるの?」
「それは違います。
それは無茶です。
特定の誰かを愛さない人が、みんなを愛せるわけがありません。
普遍的な愛を知ることができるわけがないのです。」
「どうして?」
「知ること、世話すること、責任を持つこと、近くの木を愛することを学んで、初めて、森を愛することができるのです。」
僕は理解できず、黙って、スクリーン越しにパノラマを眺めていました。
僕たちは、機械が働く農地の上を走っていました。
ある一定の区間ごとに、以前訪れた場所と同じような街の中心が現れたのです。
半球形の家屋やピラミッドが点在しています。
大きな無人地帯はありません。
花や木や石の飾りが並んだ道、小川、橋、滝......。
まるで巨大な日本庭園のようでした。
道路はどこにもありませんし、人々は小さな小道を歩いているのです。
しかし、ゴルフ場などで使われているような小さな乗り物で移動している人も見かけました。
車、バス、トラック、電車も見当たりません。
「それらは必要ありません。
貨物や人の輸送にはいくつかの方法がありますが、特に空路が便利ですから。」
「なるほど、だから『UFO』がたくさん見られるんだね。
どうして衝突しないの?」
「私たちは『スーパーサイバー』につながっていて、緊急時にはこの銀河の各航空機のコントロールに介入することができるからです。」
アミはいくつかの制御装置を作動させました。
「あの岩に衝突しようとしてみます。
パニックにならないでください。」
船は凄まじい速度に達し、岩に直接打ち付けました。
すると、衝突する直前にコースを外し、数メートルの高さを水平に進んだのです。
なんと、アミは衝突を避けるために、操縦装置に手を触れていませんでした!
「衝突は不可能なのです。
『サイバー』がそれを許しません。」
「なんて素晴らしいんだ!」
僕は、安堵の声を上げました。
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