Ami Ⅱ 第18章-高価な軍備
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「あなたの家族が待っています。」
アミがビンカに念を押しました。
「私にとっては、ペドロのほうが、家族より大切なのよ。」
と、僕の手を握りながら彼女が答えました。
「あなたの小さな家族ではなく、あなたの大きな家族、つまりキアの全ての人々について話しているのです。
あなたが、この世に生を受ける前に約束した使命を忘れないでください。
もし、あなたのような人が、愛の神性について、基本法則について、普遍的な兄弟愛について、普遍的な愛によって動機づけられた宇宙的で神聖な計画における、私たちの存在についての良い知識を広めなかったとしたら、キアの人々は、私たちを侵略するモンスターと考え続けるでしょう。
もし、誰も愛への道を開かなかったとしたら、どうやって別の生き方へと昇華するのでしょうか。」
「その通りだわ、アミ。
でも、ペドロと私の新しい絆は?」
「それは新しいものではなく、永遠のものであり、あなた方には、それを実現する未来があります。
今は約束を果たすのです。
後で再び会うのですから。」
「別の化身でだよね。」
と、僕はかなり悲観的に、落ち込んだ様子で言いました。
「次の本を書いたらと言いましたよね。
それとも、私が嘘つきだとでも?」
僕たちは、目を輝かせて、希望に満ちた表情で見つめ合ったのです。
「本当に?」
「もちろんです!
いつか、ペドロとビンカを迎えに行く日が来るでしょう。
そして、あなた達が疑いもしないようなものを見に行きましょう。」
「どんなことなの?教えてちょうだい。」
と、ビンカは焦った様子で言いました。
「いいでしょう。
あなた達は、地球やキアのような第3文明圏に住んでいます。
それはいわゆる外側にあります。
しかし、内側には第4文明圏の進化した惑星があり、その惑星に出会いに行くのです。
前者は後者の存在を知りません。
その内なる文明は、完全に人工的なものであり、その住民によって創られたものであり、それは非常に高度な文明の形態なのです。」
目をつぶり少し考えてから僕は言いました。
「アミ、君と出会う前は、自然と触れ合う生活は野蛮人のものだと思ってたんだよ。
君がやってきて、オフィルでは、僕の世界よりも進んだ人々が、自然と密接に接触して生活していることを知り、これこそ文明の最高形態、自然な形なんだと思ったんだ。
でも、今、君は、人工的なものって言ったよね。。。」
「ペドロ、人間が宇宙の法則と調和して創造したり実行したりするものは、すべて自然なことなのです。
人間が永遠の法則と調和して行動するとき、全宇宙は彼の財産であり、彼は自分の幸福のために、持てる限りの想像力と技術を駆使してそれを創り出すことができるのです。
それは誰もが同じです。
自分の魂が想像していることは、努力と忍耐力、不変の信念があれば実現できるし、実現しなければならないのです。
しかし、あなた方は、飢えと苦しみを代償とする軍備を根絶することなど夢にも思っていません。
あなた方の世界で、1年にどれだけのお金が武器に使われているか知っていますか?」
と聞かれ、「わからないよ。」と答えました。
「世界の人口を養うのに十分な資金なのです。
それで、どれくらいの期間を救えるか知ってますか?」
計算しようとしてみました。
1年分の武器が、その間の地球の人々全員の食料を買える金額でした。
それを僕は知りませんでした。。。
「もし兵器にお金を使わなかったなら、その間、みんな食べていけるんだね。」
「そうすれば、誰も飢えることはないのね。」
とビンカも言いました。
「それは、間違いです。
1年間の戦争費用だけで、1年どころか何年も世界の人口を養えるだけのお金を使っているのです。」
「有り得ないよ!武器だけで?」
「戦争を意味するものすべてについてです。
兵器、新兵器の研究、戦争の装置など、最終的には他者に対してより大きな力を得ることを目的とした科学プロジェクトを装った、多くの大きな支出も含まれます。
武器にお金をかけなければ、誰も飢えないばかりか、みんな、金持ちのように暮らせるでしょう。
誰も飢えたり寒がったりせず、病院も十分で快適、貧しい国も豊かな国もなく、みんなが王様のような存在になるのです。
そして、子どもたちの不安な将来を心配することなく、安心して眠れるようになるのです。」
「それなら、私の国に武器を持たない方がいいと提案するわ。」
とビンカ。
「それはまだできません。
解決策は、すべての国が共通の合意によって、平和的に団結し、惑星の統一を形成することを決定しなければならないのです。
今のところ障害はありますが、例えば、非常に強力なセクターが、恐ろしい方法で惑星の自然を破壊しています......、それに......。」
「神は、そんな不当なことを、許し続けることなんか出来ないわ。」
と、ビンカは熱っぽく遮りました。
「神は物事を正されます。
神は愛であり、彼らの心には愛が宿っているのです。
その愛が、あなた方の世界を正そうとするのです。
しかし、あなた方自身が、あらゆる平和的手段によって、実行しなければなりません。
押し付けるというより、教えるということです。
それは、道を示すことであり、そうすれば、平和的に、互いの合意によって、他の人たちが従うようになるのです。
神や他人がやってくれるのを待つのではなく、行動することです。
待っていても、今、皆さんの世界で加速している、災害が多発するような結果しかやってこないのです。」
「そうなる前に、防ぐことはできないの......?
いや、禁止されているんだったよね。」
「あなたがそれを生み出し、それを許せば、あなたはそれに値するのです。
私たちは介入することができません。
もし、重大なことが起こった場合、私たちは、それに値する人たちだけを救出することができます。
この無知と危険の危機的な時代には、人々がはっきり見えるように、エゴと知恵、無執着と愛の区別を学ぶのを助ける必要があります。
彼らの世界の病気に対する治療法に無関心な人々に対してです。
何事も必要ですが、何事にもその時があるのです。
もし、あなたの子供がお腹を空かせていたら、まず食べ物を探します。
しかし、子供がお腹を空かせているだけでなく、崖から落ちそうになっていたら、最初に何をすべきでしょうか?
食べ物を探すか、崖から助けるか?」
「勿論、崖から救うよね。」
「これがあなた方の世界の状況です。
子どもは衣食住を必要とし、文化、芸術、快適な環境、医療、一定の快適さ、知恵、愛情も必要としているのです。
でも、もし死にそうなときは、まず命を救ってもらうことが必要です。
彼らが危険にさらされていない時、真の力に触れることができるのです。」
人類滅亡の可能性があるんだと知り、「彼らが死なない可能性はどのくらいあるの?」と尋ねました。
「それは、あなた方次第です。
断崖絶壁にいる人間の例を続けましょう。
3人の弟が、奈落の底にぶら下がっている赤ん坊の服をつかんだとします。 しかし、彼らはそれを引き上げるほど強くはありません。
彼らは何をすべきでしょうか?」
「大声で助けを呼ぶとか、親を呼ぶとか、他の兄弟を呼ぶとか?」
「それが、あなたの本の目的です。
人々を無知から抜け出し、進化するのを助けるためのものなのです。
警告の呼びかけであり、助けを求める叫びです。
しかし、3人の子供のうち1人が諦めて、すべてが失われたと言い、立ち去った場合、どうなるのでしょうか?」
「もしかしたら、他の二人が疲れて、赤ん坊が手から滑り落ちてしまうかもね。」
「人々が知識の光を広める仕事から手を引けば引くほど、災難が起こる可能性は高くなるのです。
もしかしたら、あなたが参加することで、そのバランスを好転することが出来るかもしれません。
この本を読んでいるあなた、あなたの行動、あるいは行動しないことによって、あなたの地球全体の運命が決まるかもしれないのです。」
アミは、まさにこの最後の言葉を本に書いてほしいと言ったのです。
より高い次元のシステムを反映しているのだと。
僕には理解できませんでしたが、彼の要求通り、読者へのアピールを込めて書きました。
もちろん、ビンカも同じことをしたのでしょう。
「お腹が空いてますか?」
とアミが聞きました。
僕たちは憂鬱な気分でいっぱいだったので、まるで侮辱されているかのように感じました。
「バッテリーの充電が必要です。
さあ、お座りください。」
首の付け根に、わずか15秒で8時間分の睡眠効果が得られるという装置をつけてくれました。
なんと目が覚めると、何もかもが上手くいっていて、悲しみがなくなっていたのです。
それどころか、少しずつ、別れのことも思い出しましたが、影響が少なくなっていたのです。
「今度会うときは、あなたの想像を超えるものも、見せてあげられるし、宇宙のほかの場所にも連れていってあげられます!」
と、アミは僕たちを元気づけようと言いました。
ビンカは甘く切ない目で僕を見て、それからアミに向き直り、「アミ、あなたの帰りを待つ一番の理由は、新しい知識を得るためでも、他の世界を訪れるためでもなく、あなたとペドロに再び会うためなよ。」と言ったのです。
彼女は僕のそばに来て、僕の手を握りました。
「もうメロドラマは懲り懲りです。
私は頭をすっきりさせるために数分間瞑想しますね。
だから、別れを告げ、嘆き、服を破り、床をひっかき、肘掛け椅子に噛みつき、暴動や自殺を企てるなど、色々なことをする時間がありますよ。
しかし、その無駄な騒ぎの後、ビンカが降りて、ペドロは地球に戻るのです。」
彼は、瞑想部屋に閉じこもりに行きました。
悲しいながらも、僕たちは、アミの言葉に思わず微笑んでしまい、少し慰められたような気がしたのです。